インスタグラム攻略【マイノリティのWeb戦略07】

「マイノリティのWeb戦略」は、フラメンコ等のニッチなジャンルの発信者が、インターネットを介して新たなファン層を獲得していくためにはどうしたら良いのか?というテーマの連載です。

前回までで、YouTube・ニコニコ動画・TikTokという3大動画サイトの紹介と攻略法の考察をしました。

動画サイトもSNSの一形態なのですが、今回からは、必ずしも動画がメインではない一般的なSNSの攻略法について考えていこうと思います。

今回は、日本でも「インスタ映え」という流行語を生んだインスタグラム(Instagram、インスタ)を研究します。

インスタグラムの概要

インスタグラムは、日本国内において主に若年層と女性層から支持を集めてきたSNSです。

2010年にアメリカでiOS専用の写真共有アプリとしてリリースされましたが、最初は米国内のみで使用されるローカルなSNSでした。

2012年にFacebook社の傘下に入ったのと同時にAndroidにも対応して本格的な世界展開を開始。2014年からは日本語に対応して日本国内でも普及し始めます。

日本では2015年から2018年頃にかけて急速に普及しましたが、ここ2、3年はTikTokに若年ユーザーを奪われて伸び悩みの傾向だといわれています(※最新の情報ではダウンロード数でTikTokを再逆転したようです)。

インスタ映え

2017年流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」という言葉がありましたが、この言葉に象徴されるように、インスタグラムユーザーの行動は「見映えの良い写真を投稿・共有し合う」というスタイルが主流でした。

投稿の内容的には、自撮りや食べ物、ファッション、旅先の景色などの写真が中心の、いわば「リア充のSNS」というイメージで、ファッション・美容・グルメ・旅行、というような事に興味を持ったユーザー層が集まっていたと思います。

現在のインスタグラム

2017年前後に「インスタ映え」ブームによって、日本で急激にユーザー数を伸ばしたインスタグラムですが、2019年頃からはTikTokに若年層ユーザーを奪われる事態となり、インスタグラム側も巻き返しのために運営方針を変えたりしているので、現在はユーザー層がかなり入れ替わっているものと思われます。

現在のインスタグラムは「インスタ映え」の勢力も一定数残っていますが、一時期よりユーザーの志向性が分散されて、多様な属性のユーザーが利用している印象です。

そして、近年になってYouTubeやTikTokへの対抗策として急激に動画サービスを拡充していて、大手SNSの中では動画サイト寄りのサービス展開になってきました。

文章のみの投稿は不可

インスタグラムが他のSNSと決定的に違うのは「文章のみの投稿が出来ない」という点です。

インスタグラムに投稿するには、写真や動画などのアップロードが必須で、文章はメディアに付属するキャプション(説明文)という形でしか投稿出来ません。

そして、キャプションにURLを記載してもリンクにならない(唯一、ストーリーはスタンプで外部リンク可能)ため、外部への誘導が出来ないという制約もあります。

運営としては、スパム対策と、インスタグラム内での囲い込みをしたいという事なんだと思いますが、自分としては、メインとしているブログやYouTubeへの誘導が出来ないため、インスタをメインのSNSとする事は無いと思います。

インスタグラムの動画サービス

インスタグラムは2018年頃から動画サービスの拡充に力を入れていますが、サービス内容の変遷が激しいので、現時点(2022年8月上旬)で提供されている動画サービスの情報をまとめておきます。

インスタグラム動画

2021年10月よりインスタグラムの動画投稿サービスは、従来からあるフィード動画と、ロング動画プラットフォームであるIGTVが統合されて、インスタグラム動画(Instagram動画)という名称になりました。

統合前のフィード動画とIGTVの概要は以下の通りです。

フィード動画
従来のスタンダードな動画投稿サービスで、60秒までの時間制限があり、正方形にトリミングされた動画がフィード上で直接再生されるのが特徴でした。

IGTV
YouTubeへの対抗として2018年6月に始まった60分までのロング動画に対応するサービスで、キャプションにURLリンクを設置することが可能でした。

この2つが統合されてインスタグラム動画となってからは、一律に60分以内の動画に対応し、アスペクト比は縦長・横長・正方形から選ぶ、という形になりました。

URLリンクについては、統合後はリンクが無効にされていて、IGTVのメリットだったURLリンクは廃止になる流れのようです。

リール動画

リール動画(Reels)はTikTokに対抗して2020年8月に始まったTikTok類似の縦長画面ショート動画サービスです。

リール動画は、フォロワー以外にも露出するチャンスがあるので、再生回数の伸びやすさはインスタグラムの動画サービス中トップと言えるでしょう。

インスタグラムのリール動画は、カスタムサムネイルや長文のキャプションにも対応していますが、キャプション中のURLリンクは不可となっています(ハッシュタグは可)。

リール動画には今まで60秒以内という制限がありましたが、2022年7月に「15分以下の投稿動画は全てリール動画として共有される」という発表がされました。

その発表によると、間もなく以下のようなシステムに移行すると思われます。

15分以下→リール動画
15分超→インスタグラム動画

なお、現状ではリール動画はスマホアプリからでないと投稿できません。

今後のインスタグラム動画とリール動画の仕様(URLリンクの可否、アスペクト比の扱い、PCからの投稿など)については、現時点では不明ですが、流れ的にURLリンクは期待薄ですよね。

ストーリー

ストーリー(ストーリーズ)は、Snapchat(アメリカで人気を伸ばした写真共有チャットというスタイルのSNS)に搭載されていた「1日限定1画面投稿」機能ですが、Snapchatで爆発的人気を博したために、インスタグラムもこれを採り入れました。

インスタグラムのストーリーはフィード上段にあるアカウントアイコンをクリックすると表示されるようになっています。

ストーリーとして投稿できるのは、静止画と15秒までの縦長画面ショート動画(最大60秒までの動画が投稿可能だが、15秒以上の動画は自動的に分割される)ですが、24時間で消えるのが特徴です。

ストーリーの投稿にはキャプションは付けられませんが、文字入れやスタンプといったデコレーションが可能で、インスタグラムのものは「リンクスタンプ」という外部リンクボタンを設置出来るのがポイントです。

インスタグラム攻略

ここからは「ニッチジャンルでのコンテンツ発信」ということを軸にインスタグラムの攻略法を考えてみましょう。

なお、ハッシュタグなどの基本的なことは、全プラットフォーム共通の攻略法として、こちらの記事にまとめてありますので、あわせてお読みいただければと思います。

Facebookと連携させる

インスタグラムは2012年からFacebook(現Meta)の傘下になっていて、Facebookとは連携がとりやすいように配慮されているので、この2つのSNSは組み合わせて運用していくのが良いのではないでしょうか。

とくに、ストーリーに関しては、Facebookのものには外部リンク機能が付いていないのですが、インスタグラム側でリンクスタンプを付けて投稿したストーリーをFacebookにシェアすることで、リンクスタンプ付きのストーリーをFacebookに投稿することが可能となります。

外部リンク設置

インスタグラムは投稿のキャプション等でのURLリンクは不可なのですが、現在、以下の2箇所には外部リンクURLを設置できますので、これらをフル活用して他との連携を図りましょう。

プロフィール
プロフィール欄に外部サイトURLを一つだけ設定できますので、自分のサイトや他のSNSのURLを設置しておきましょう。これをやっておけば、フィードへの投稿などでも自分のアカウントへのリンクを貼ることで、間接的にですが外部サイトに誘導することができます。

ストーリー
インスタグラムのストーリーにはリンクスタンプという機能があって、ストーリーへ掲載する写真や動画に外部リンクのボタンを設置できます。

リール動画でインスタグラム内に拡散

インスタグラムの動画サービスの内、最も拡散力があるものはリール動画だと思います。

インスタのリール動画は、TikTokやYouTubeショートと比べても広範囲にインプレッションしてもらえる感触で、自分の場合、平均して通常のインスタグラム動画(旧IGTV)の10倍以上の再正数を得ることが出来ています。

これは、まだ競争率があまり高くないというのもあるかもしれませんね。

ただし、インスタグラムのリール動画は外部リンクが出来ないので、これだけでインスタグラム外にコンテンツを拡散させることは難しいです。

リール動画はインスタグラム内での露出とフォロワーを増やすための飛び道具と考え、キャプションにはURLなどを入れるかわりに、ハッシュタグを沢山入れるのが効果的なのではないでしょうか。

インスタグラム攻略のまとめ

今回はインスタグラムの特徴と攻略法を考察してみましたが、総合的に考えると、以下のような使い方をする人はインスタグラムと相性が良いと思われます。

①インスタグラムをメインとして使用する人
インスタグラムは外部リンクが自由に出来ないかわりに、インスタグラム内でのコミュニケーション機能が充実しているので、インスタグラムをメインに据えて発信するなら、力を入れてやる価値は高いと思います。

②「インスタ映え」的な写真を撮るのが好きな人
元々のユーザー層を考えると「インスタ映え」の要素を楽しめる人は向いているのではないかと。

③文章の読み書きはやりたくない人
インスタグラムのシステムは写真や動画の共有がメインで、文章のみの投稿が出来なかったり、タップしないとキャプションが表示されなかったりと、他のSNSに比べて文章は重要視されていません。そんなシステムなので、文章の読み書きをやりたくない人には最適なSNSとなるでしょう。

④動画サイトとして割り切って使う人
インスタグラムは2018年頃からYouTubeやTikTokに対抗して次々に新たな動画共有サービスを打ち出しており、その結果、かなり動画サイト寄りのSNSになってきています。動画サイトとして割り切って使うなら、やり方によってはYouTubeなどよりも楽に視聴者を獲得していける可能性はあります。

――インスタグラムは使い勝手の面で癖が強いSNSだと思いますが、日本国内のアクティブユーザー数は3300万人(2019年6月時点の数字なので、今はもっと多いと思われる)と、Line・YouTube・Twitterに次ぐ巨大コミュニティに成長していますので、まだ活用していない方は、今回の記事も参考にして運用を検討してみてはいかがでしようか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました