2021年、明けましておめでとうございます!
フラメンコギターブログのほうは、これが今年最初の記事となります。
今回の記事は年の節目ということで、自分の音楽歴を振り返りつつ、今まで使用してきたギター達を紹介しようと思います。
昨年末から「今年の年頭記事は何か節目的な記事が良いだろう?」と考えていたのですが、動画の視聴者さんからも楽器の事はよく質問されるし、ここらで自分の音楽歴を振り返る意味でも、まとめておこうと思いまして。
現在所持しているギター
では、ウチに転がっているギターを1本ずつ紹介します。
リカルド・サンチス(1998年製)
リカルド・サンチス(Ricardo Sanchis)はバレンシアに工房を構える製作家で、現在は家族でいくつかのブランドを展開しています。
このギターは1998年末に購入して以降、2010年までメインギターとして使っていましたが、色々あった楽器で、2010年末に大破→大手術となって、2011年から弟に預けっぱなしにしてたのを最近になって手元に戻しました。
レスポンスが素晴らしく、変な低音の膨らみが無いタイトな音質で、踊り伴奏や、ソロでもリズムの強いものを弾くならやはりコレだなぁ、と思っています。
調整が終わったら踊り伴奏の舞台用にバンバン使うつもりだし、動画に登場することもあると思います。
ミゲル・サントス(2008年製)
ミゲル・サントス(Miguel Santos)はスペイン製の手工フラメンコギターとしてはリーズナブルな部類のものです。
この楽器は2010年末にリカルド・サンチスが大破したため、代打用に急遽買ったものですが、結果的にここ10年くらいの事実上のメインギターになっていて、YouTubeにアップしている演奏動画も大半はこのギターを使っています。
繋ぎのつもりで買った比較的安価な(新品で25万くらい)楽器とは言え、仕事で使えるクオリティーは必要だったので、予算内で20本くらい試奏しまくって選んだ一本です。
自分の体にあったサイズで凄く弾きやすいし、弾き込んでいくうちに音もこなれてきて気に入ってしまって「もうこれがメインで良いかなぁ」となって現在に至ります。
音の特徴は、白のギターにしてはかなり低音が出て、サスティンとレスポンスもそこそこ良いバランス型の楽器で、音量もあるので踊り伴奏もバッチリです。
YouTubeの演奏動画を聴いて頂けば分かると思いますが、マイクで録った時のバランスが良くて、繊細かつパンチの効いた音で録れます。
今後、ラスゲアード中心にガシガシ弾くプレイや踊りの伴奏などはリカルド・サンチス中心に、演奏動画や純フラメンコ以外の曲はミゲル・サントス中心に、という使い分けをする予定です。
レオナ・アマリオ エレガット(2019年製)
レオナ・アマリオ(Leona Amalio)のエレガットを2019年の夏に購入しました。
自分がフラメンコギタークラスをやらせて頂いている要町のプラサギターラで購入したフラメンコ仕様のエレガットで、自分が所持している中では一番新しい楽器です。
この楽器は、恐らくですがアリアが扱っているアマリオ・ブルゲのOEMで、プラサギターラのオリジナル商品と思います。
これを買う少し前に音楽ユニット羽風の活動を始めたりして、ピアノや管楽器とのアンサンブルを行う機会が増えそうだったので、どんな会場でも対応できるようにと、このエレガットを買ったんですよね。
結局、その後コロナになってしまったので、あまり活躍させていないのが残念ですが。
色んなライブ会場を経験して、エレガットの必要性は前から感じてはいたんですが、以前持っていたものがあまり良い印象が無かったのもあって、長らく手を出さなかったんですが、これを買う半年くらい前にプラサギターラで試奏したものが音も演奏性も好感触で、急激に欲しくなりまして。
このギターはShadow社のナノフレックスというピックアップを搭載していますが、これがピエゾピックアップとしてはかなり良いもので、フラメンコ奏法のラスゲアードやゴルペを音割れ無く拾ってくれます。
コンデンサマイクも内蔵しているので、会場や楽器編成によってピエゾとマイクのミックス具合を調整した上で、プリアンプエフェクターで音を作って増幅して出力してやれば、どんな環境でもある程度の音質と音量を確保できます。
ちなみに、この楽器の生音はボディ厚のわりに(かなり薄め)低音が強く、中音域はミッドブーストされたような音質で、やや癖があります。
まだ新しい楽器なので、これから弾き込むことで音は変わるだろうし、最終的にプリアンプとPAでまともな音が作れれば良いんですが、現状は、もう少し上の倍音が鳴って欲しいところです。
クレモナ オルフェウス・バレー
2015年頃からクレモナ(Kremona)のオルフェウスバレー(Orpheus Valley)を練習用ギターに使っています。
クレモナはブルガリア製のフラメンコギターで、調べたら定価は14万円前後するようなんですが、中古で5万くらいで入手しました。
材質がちょっと変わっていて、横板と裏板がアッシュで作られています。
練習用ギターとして吸音材を詰めて音が出ないようにしています。
夜間練習用にはサイレントギターも使っていましたが、サイレントギターはフラメンコギターと弾き心地が違いすぎるし、自分にとってはこういう消音ギターは必需品です。
自分はフラメンコギターを初めて間もない頃から安いクラシックギターを改造したりして、常に消音ギターを手元に置いていました。
これの先代練習ギターだった今井博水(後で紹介します)が2014年に再起不能になってしまったので、代わりに激安のクラシックギターを改造して急場を凌いでいましたが、やはりクラシックギターだとちゃんとした練習にならないので、これを買って来たんですよね。
音のほうは、入手直後に消音改造してしまったので、こいつの本来の音は知りません。
なんだか楽器に申し訳ない気もしますが、結局一番触る時間が長いのはこのギターだし、ある意味、一番活躍してる楽器といえます。
アイバニーズ エレキギター JS-1
アイバニーズ(Ibvanez)のJS-1、ジョー・サトリアーニ・モデル。手元に残っている唯一のエレキギターです。
確か1989年に買ったもので、所有しているギターの中で一番古いものです。
自分は1986年から1993年頃にエレキギターをやっていて、1989年頃まではメタル、1990年頃からはジャズ・フュージョンをやっていましたが、メタルからジャズ・フュージョンへ興味が移っていく繋ぎになったのがジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)やスティーブ・ヴァイ(Steve Vai)でした。
ちなみにその後は、マイク・スターン(Mike Stern)、ジョン・スコフィールド(John Scofield)、パット・メセニー(Pat Metheny)、ビル・フリーゼル(Bill Freezel)、そしてパコ・デ・ルシア(Paco de Lucia)、ビセンテ・アミーゴ(Vicente Amigo)なんかに興味が移っていきます。
このギターを買ったのはジョー・サトリアーニのギターの音が好きだったからですが、作りがしっかりしていて弾きやすく、ディマジオのピックアップはディストーションが綺麗にかかるし、クリーントーンも良かったので、それまで使ったエレキギターでは一番気に入っていました。
ですので、フラメンコギターに転向した後もこれだけは処分せずに手元に残していました。
今でもエレキギターで遊びたくなると、クローゼットから引っ張り出して、マルチエフェクターに繋いで弾いたりします。
レコーディングや曲作りで使いたくなることもあるので、エレキは手元に1本は置いておきたいし、このギターとは生涯の付き合いになりそうです。
YAMAHA ギタレレ
ヤマハのギタレレの初期モデル。中古でオークションで買いました。
旅行に持って行くのに、ギターだとデカすぎて飛行機に持ち込みもできないので、ギリギリ持ち込みできるコレを買ったんですよね。
で、旅先で弾いたかというと、ぜんぜん(笑)
なんか、思ったより指板が小さくて、ギターとスケール感が違い過ぎて同じ感覚では弾けない、また別の楽器という感じですね。
今は手元に無いギター達
過去に所有していたけれど、色々な事情で今は手元に無いギターのことを書いてみます。
数が多いので全部は書き切れませんが、印象に残っているものをピックアップしました。
トムソン フライングV
自分が最初に買ったギターは、トムソンという謎メーカーのフライングVです。1986年購入。
雑誌広告なんかに載っていた初心者セットみたいなやつで、アンプとチューナーとギタースタンドと教則本セットで3万くらいだったような。
当時、メタリカやメガデスが好きで、フライングVを選んだんですが、ファッションはパンクのほうが好きだったので、パンクの格好でフライングVを弾いていました。ファッションパンク(笑)
このギター、誰かにあげたような記憶があるんですが、誰だったかな。
フェルナンデスの白いギター
1987年購入。フライングVの次に買ったギターです。
フライングVはかなり粗悪な品質で弾きづらかったので、今度は普通のハムバッカーストラトタイプのアーム(フロイドローズのバッタもん)がついたものを買いました。
2、3年使ったと思うんですが、その後、このギターはどこに行ったのか、全く記憶にないんですよね。この年代、記憶喪失気味(笑)
ヤマハのクラシックギター
1989年の末頃と思いますが、フラメンコギターを始める時に瀬田先生の教則本と一緒に買ってきたものです。
地元の楽器屋で中古で1万円くらいで出てたもので、ブリッジの木のパーツをヤスリでガリガリ削って、無理矢理弦高を下げてフラメンコ仕様にして使っていました。音がビビりまくりでしたが(笑)
下の今井博水を買ってからは吸音材を詰めて練習用消音ギターとして5年くらい使いました。
これもどこにやったのか覚えてません。捨てたか?
今井博水
1991年に購入した今井博水は、自分がはじめて手に入れたまともなフラメンコギターです。
翌1992年のビセンテ・アミーゴ来日公演(フラメンコギターに完全転向するキッカケになった公演)の時、その前にリハーサルだかレッスンだかがあって、そのままこのギターを持ってコンサート会場に行ったんですが、楽屋(鈴木英夫先生にくっついてちゃっかり入室)でビセンテにギターにサインをしてもらって大喜びしたのをおぼえています。
それ以来「ビセンテアミーゴギター」と名前をつけて大事に使っていて、スペインでホセ・ロメロを買うまで、5年間ほどメインギターとして活躍しました。
2001年に実家を出て集合住宅住まいになったため、ちゃんとした消音ギターが欲しくなって、今井博水に吸音材を詰めて消音ギター化しました。
それから13年間くらい練習用ギターとしてお世話になりましたが、このギターはいつも手の届く場所に出していたので、何度となく壊れていて、可哀想な役回りでした。
そして2014年についに真っ二つになってしまって、修理代も高額だったので棄ててしまいましたが「やはり修理すれば良かったな」と、少し悔いが残ってます。
ホセ・ロメロ(1996年製)
1996年に、スペインでホセ・ロメロ(Jose Romero)のフラメンコギターを買いました。
その時にギターを習っていたギタリストが発注したものですが、事情があって買うのをやめようかと思っていたらしく、そのとき丁度自分はギターを買いたくて探していたので「お前が買わないか?」と持ちかけられて、そのギタリストと一緒にホセ・ロメロの工房に試奏に行きました。
弾いてみたら、確かに音は凄く良かったので自分が買うことに。
買ってから2年半ほどメインギターとして使っていましたが、このギターは665mmスケールのかなり大ぶりな楽器で、弦のテンションも硬く「やはりメインギターは体に合った楽器でないとしんどいなぁ」と感じて、このホセ・ロメロは売りに出して、代わりにリカルド・サンチスを購入しました。
ミゲル・アンヘル・セノビージャ
短い間でしたが、ミゲル・アンヘル・セノビージャ(Miguel Angel Senovilla)というギターも使っていたことがあります。
2002年頃にリカルド・サンチスを調整&修理に出したことがあって、1か月くらいかかるというので、代わりの本番用ギターとして、その時そのギター屋さんで中古で出ていたこのギターを買って帰りました。
価格がお買い得だったので衝動買いしたんですが、リカルド・サンチスが戻って来ると、ほとんど出番が無くなってギターケースに入りっぱなしだったので、2003年頃にギターの生徒に譲ってしまいました。
コンデ・エルマノス
コンデ・エルマノス(Conde Hermanos)は恐らく最も有名なフラメンコギターブランドで、自分も所持していたことがあります。
自分が持っていたコンデは2004年頃に友人から買い取ったものですが、ホセ・ロメロと同じような理由で体に合わず、使用頻度が低い状態が続いたので、2006年頃には売りに出してしまいました。
これ以来、弦長665mmの楽器は買わないことにしました。
エレガット(メーカー失念)
2006年頃にエレガットを買ったことがありました。
Galeria Rosadaの活動を始めて、ライブでドラムや鍵盤を入れると生ギター+マイクだと厳しいことがあったので、ライブ用に買ったギターです。確か5万円位。
ですが、このギターはピックアップがピエゾのみだったし、そのピエゾの音がバリバリいって好きになれなかったので、新しいうちにオークションで売却してしまいました。
それ以来、エレガットを買おうという気にならなかったのですが、2019年に13年ぶりにエレガット(上記のレオナ・アマリオ)を入手しました。
――以上、自分が使ってきたギターを紹介してみましたが、30年以上ギターをやっていると、それぞれ思い出があって感慨深いものがありますね。
今回は番外編的なテーマでしたが、次回から通常運転に戻ってやってまいります。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
コメント