YouTubeファルセータ動画も30本目ですね。
今回はシギリージャPart3ですが、イントロ向けのアルペジオのファルセータと、踊り伴奏用の転調が入るドラマチック系のものを二つ演奏します。
シギリージャ形式については、こちらの記事をご覧ください。

では、今回演奏したファルセータを解説します。
エル・ボラのアルペジオファルセータ
これは昔スペインでエル・ボラに教わったもので、彼の1stアルバム『Bola』(Carmenというタイトルで再販されています)の『Esencia Jonda』という曲でイントロに弾いているものですね。
エンリケ・モレンテ(カンテ)とファン・ラミレス(踊り、サパテアードで参加)と共演してるシギリージャです。
そういえば、これのマチョの部分で弾いているファルセータは今年の春に演奏しました。

テクニック上の注意点は、最初の8連符のアルペジオが少し変則的なパターンで慣れないと難しいです。
その後
D7(♭9)→B♭(onC)→B♭7(onA♭)→A7(onB♭)
という進行が出てきますが、半音ぶつかりのフラメンコテンション入っていたり、一筋縄で行かないコード進行です。
ここの二回り目
E♭M7(B♭7onE♭かも?)→A7
という落ちの付け方が、強引ですがカッコいいですよね。
このファルセータは全編に渡ってハイポジションコード+解放弦で複雑なボイシングを作る『フラメンコ・テンション』の手法をフル活用してます。
フラメンコ・テンションについてはこちらの記事で解説しています。


アドリアン・ガリアのビデオのファルセータ
二つ目のファルセータは、アドリアン・ガリアの踊りのビデオに入っていたものです。
前々回の『ティエントPart2』でも、これと同じビデオに入っていたファルセータを弾きました。

このシギリージャのファルセータは、ティエントPart2のファルセータを思い出して弾いたときに、芋づる式に思い出したもので、2002年頃にやった踊り伴奏の仕事の時に『このファルセータで踊りたいから』と、アドリアンのビデオを渡されて何個かコピーしたファルセータのうち一つです。
ちなみにティエントPart2で弾いたファルセータはAスパニッシュ(ポル・メディオ、Dマイナー)→C#スパニッシュ(F#マイナー)の転調で始まりますが、このシギリージャのファルセータも頭からいきなり転調して、CM7コードから入っています。
このコードは、フレーズや前後の流れから考えて、Bマイナーキーの♭ⅡM7(ナポリコード)もしくはEマイナーキーの♭ⅥM7ですが、この後すぐにBマイナー/F#スパニッシュ(ポル・タラント)に行っているので、Bマイナーキーの♭ⅡM7でいいと思います。
これらを作ったギターの人は、こういう突然転調する感じが好きなんでしょうね。
そして、しばらくF#スパニッシュ(ポル・タラント)を中心に展開しますが、後半の5度コード平行移動アルペジオで、やや強引にAスパニッシュ(ポル・メディオ)に戻しています。
この5度コード平行移動で転調するのってフラメンコだと常套句なんですが、メタル系の曲作りもこういう動き多いんですよね。
こういうコード使いの他にも、細かいリズム表現とか、速弾きとか、メタルとフラメンコは共通の感覚多いと思うのは自分だけでしょうか?
とくに自分の世代は1980年代~1990年代前半あたりにメタルブームがあったし、スペイン本国以外のフラメンコギタリストにアンケートしたら、メタルやってた人の比率が凄く高そうですが。
――ちょっと脱線しましたが、最後の3コンパス位のエストリビージョ部分は自分が適当に付け足して弾いているもので、オリジナルがどんなだったか憶えていません。
原版のビデオは紛失してしまって確認できないし、他の部分もかなり自己流と思われます。
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