フラメンコポップバンド「Galeria Rosada」での挑戦

Galeria Rosadaは2005年から2008年頃に自分がやっていた日本語POPS+フラメンコというコンセプトのフラメンコポップのグループで、2007年にはアクースティカレーベルより『Secrets of the world』というCD作品をリリースしています。

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CD販売
フラメンコギタリスト=後藤晃のフラメンコ・ポップグループ「Galeria Rosada」のCDアルバム「Secrets of the world」を販売しています。

今回は自分のやってきた活動の一つとして、このグループの紹介をしたいと思います。

Galeria Rosadaでやりたかった事

Galeria Rosadaは女性ボーカル+フラメンコギターを核としたフラメンコポップグループで、Jポップとフラメンコの融合を目指していました。

メンバー構成は、ボーカル、ギター、ベース、打楽器2名の5名で、ライブの際はこれに鍵盤とパルマが加わったりするかなり大所帯なバンドでした。

フラメンコポップというのは日本で馴染みのないジャンルと思いますが、フラメンコポップ&フュージョンについて、こちらの記事で解説していますので、ご一読いただけたらと思います。

フラメンコ+POPというと、一般的にはジプシーキングスをイメージされる方が多そうですが、ジプシーキングスはフラメンコ側のアーティストではなく、フランスのジプシーのバンドで、リズムはほぼ全部ルンバです。

一方、スペインのフラメンコ・ポップアーティストとしては以下のようなものが代表的です。

  • ケタマ
  • パタ・ネグラ
  • ディエゴ・カラスコ
  • ライ・エレディア
  • ニーニャ・パストーリ
  • バルベリア
  • キコ・ベネーノ
  • オホス・デ・ブルッホ
  • ディエゴ・アマドール(チューリ)
  • ナバヒータ・プラテア
  • マルティレス・デル・コンパス

自分は1990年代からこのあたりをよく聴いていて、自分自身もいつかこういう音楽をやりたいと思っていました。

日本でも「スペイン風にしたかったから、とりあえずアレンジにスパニッシュギター入れてみました」「部分的にスペイン音階入れてみました」みたいな音楽は結構沢山あると思います。

ですが、自分がやりたかったのは表層的な「フラメンコ風アレンジ付き音楽」ではなく、もっと曲の根幹部分からフラメンコ形式と日本語POPSを融合させたスペインのフラメンコポップにも無いものであり、それがGaleria Rosadaのコンセプトでした。

百見は一聴にしかず(笑)というわけで、サンプル音源をアップしますので聴いてみて下さい。自分が2004年頃に作って2007年にCD化したものからの抜粋です。

Galeria Rosadaサンプル音源
※サンプル用のため、曲の途中でカットして音質も落としています。完全版はCDをご購入下さい。

Secrets of the world(Guajira)

魚は水に,月は空に(Tanguillo)

Clear Blue(Buleria)

約束の瞬間(やくそくのとき)

Galeria Rosadaを始めた経緯

自分がGaleria Rosadaを始めた経緯ですが、2003年頃から自分の曲を演奏していくグループの構想はあって、最初はギター中心の音楽を考えていました。

では、なぜ自分で歌わないのに、歌もののバンドとしてGaleria Rosadaをやろうとしたか?というと、2003年から2004年くらいの時期、歌ものの音楽をよく聴いていて興味をひかれていたのが一つ。

あと、その時期は身の周りで色んなことが起こって、日常の物事もそれまでより深く考えるようになり、自分の中で「言葉」で表現したいことが貯まってきていました。

それらを歌詞にして自分の音楽と融合させてオリジナルな音楽を作ってみたくなったのです。

そんな動機から作詞と作曲を始めたのが2004年の初め頃ですが、2004年後半には主要な曲を書き終えて、それらを演奏するためのバンドメンバーを探し始めました。

翌2005年に入るとライブ活動を始めたり、Galeria Rosadaのために書きためた曲を音源化するためにPCを買ってDTMを勉強し始めることになりますが、それは現在の活動に物凄く役立っています。

ボーカリスト探しと活動維持に苦心

そんな経緯で始めたGaleria Rosadaの活動ですが、ボーカリストをどうするか?が最大の課題でした。

最初、作曲段階では自分で歌ったりしていましたが、自分が歌がめちゃめちゃ下手クソな事が良くわかりました(笑)

そこで、パートナーとなるボーカリストを探すことにして、カンテの人を含め、色んなボーカリストとリハーサルを重ねましたが、カンテの歌い方は濃すぎて自分の楽曲イメージに合わず、最終的にはインターネットで募集したポップス出身の方にお願いしてレコーディングを行っています。

ボーカリストに関しては本当に紆余曲折あり、メインボーカルが何回か変わっていて、その度にバンド活動が停止し、自分はボーカリスト探しに奔走ました。

そんな感じでバンド活動としては色々苦労はありましたが、音源作品のほうは2005年後半から1年半の制作期間とレーベル探しなどの営業期間を経て、2007年末に9曲入りアルバム『Secrets of the world』を発表することが出来ました。

CD制作の過程

今回はGaleria RosadaのCD『Secrets of the world』の制作・発表までの過程を公開します。15年くらい前の情報ではありますが、これから自分のCDを出したいと思っているかたの参考になれば嬉しいです。

このCDはなにしろ超低予算で作らなければならなかったので、ボーカルと打楽器の演奏以外はほとんど独力で作っています。

自分は2005年前半時点ではPCすら持っていなかったのですが、音楽制作のほうは完全に未経験だったわけではなく、高校時代からMTR(マルチトラックレコーダー)を使ってデモ音源的なものは制作していました。

Galeria Rosadaの時も2004年に曲を作りはじめて、2005年の前半くらいにはMTRでデモ音源を完成させていたんですが、それを聴いてみて客観的に「これではダメだ」と思ったんですよね。

ですが、レコーディングスタジオに入ってプロに依頼するような予算はありません。

そこで2005年の5月頃にPCを購入して、腰を据えてPCによる制作を勉強するという計画を立てました。

なにしろ、やりたかったのが実験的な音楽だったため、とくにアレンジはもっと緻密に構成する必要性を感じ、一から練り直したかったのです。

その時点では既にGaleria Rosadaはバンドとして動き始めていたので、リハーサルとライブを繰り返しながら、その成果をフィードバックさせつつ、自宅で少しずつ音源制作を進めました。

MIDIの打ち込みに最も時間がかかった

音源制作は困難の連続でした。

PCに触るのも15年ぶりくらいだし、浦島太郎状態で分からないことだらけで、ネットで調べながら、時には半泣きになりながら格闘の毎日です(笑)

当時は機材も高価だったので、最低限のものを揃えるための調査にも時間がかかったりしましたが、一番時間がかかったのがMIDIの打ち込みの習得です。

基本的に自宅で一人でレコーディング用のアレンジを作るので、弾けない楽器のアレンジは打ち込みで作っていたのですが、ドラムスとベースと鍵盤は「もう少し頑張れば打ち込みで行けるんでは?そうしたらレコーディングや編集の手間や予算が大幅に圧縮できるのでは?」と感じたので必死で頑張りました。

最終的に、ボーカル、ギター、パーカッション、パルマ、コーラスはレコーディングをしましたが、それ以外のパートは全て打ち込みで作っています。

結局、1年半の制作期間うち1年間くらいはDTMの勉強とMIDIの打ち込みとの格闘だったと思いますが、その分、自分でコントロールできる領域が増えて緻密なアレンジが可能になりました。

逆に言うと、そのやり方でないと、あの音楽はできなかったのです。

バンドメンバーに細かいアレンジを指示してレコーディングして、全体の音に重ねてみて、また修正して、なんて事を繰り返すわけにはいかないですから。

このへんの制作スタイルは人によって全く違うと思いますが、Galeria Rosadaのような雛型の無い実験的な音楽をやろうと思ったら、打ち込みを習得して一人で構成出来ないと厳しいと感じました。

レコーディングは短期間で終了

Galeria RosadaのCDはそうやってMIDIの打ち込みでアレンジを煮詰めてからレコーディングに入ったのでレコーディング期間は短く済みました。既に何回もライブをやっていたので演奏的にこなれてきていたのも大きかったです。

曲数は9曲でしたが、パーカッションに3日、パルマとコーラスは各1日、ボーカルとギターだけは時間をかけて各10日間といったところで、レコーディング期間は正味1か月くらいでした。

それから編集とミキシング、マスタリングも自分でやって、2007年春頃にはCDのマスター音源が出来上がりました。

CDリリースへ

ぶっちゃけ、Galeria Rosadaでは「せっかく歌ものでやるのだから、どうせなら売れたい、爆発的に売れたい」なんていう野心もありました(笑)

ですので、音源が出来上がったら、それを色んな所に送ったり持ち込んだりして営業活動をしましたが、当時の音楽業界はフラメンコポップのような「売れるかわからない音楽」には冷淡で、厳しい現実を思い知らされることになります。

幾つかのメジャーレーベルや大手事務所は会社にまで交渉に行ったのですが、厳しい条件しか提示されず、相当悩みました。

例えばフラメンコの伴奏の仕事が自由に出来なくなる契約であったりとか、音楽の内容とボーカリストの変更が条件であったりだとか……。

今思うと、音楽の内容的に難しかったのもありそうですが、ボーカリストが雇われ的立場であるという所から、この形での長期継続は難しいという判断をされて(これは全くその通りでしたが)、良い条件は提示出来なかったのかも知れません。

悩んだ末、フラメンコのCDを扱うアクースティカさんに相談して、アクースティカレーベルからリリースすることにしました。

これはジャケット制作やCDプレスも自分でやって、ほぼ自費出版に近い形なのですが、フラメンコの仕事も一切制限される事もなく、原盤権等も全てこちらで持てるので、この形で出してライブ等で地道に売っていく選択をしたわけです。

総制作費はプレス代込みで30万円程度、PCや録音機材への投資を入れても50万円程度で済みましたが、自分の時間はどれだけ投入したか見当もつきません(笑)

まぁ、その結果、制作スキルという最強のものを手に入れたので、それだけでも十二分に価値がありましたが。

CD発売後活動停止まで

Galeria RosadaはCDを出してからもボーカリストに関してはずっと流動的で、活動に支障が出ることが多かったです。

そして2009年頃には自分の個人事情も重なり、バンドとしての活動を維持できなくなっていきます。

活動を維持するために後任ボーカリストを検討したり、インスト化を試みたりしていましたが、バンド活動どころか自分自身のギター・音楽活動全般を縮小せざるを得ない状況になってきてしまって。

当時は情熱だけで動いていましたが、後から冷静に考えると、①自分で歌えないのに歌ものでリーダーバンド、②音楽の内容が実験的で難しい、③ボーカリストはネットで募集した初対面の人、という形での長期継続は無理があったのかも知れません。

ギター中心の内容なら「自分が出来ない時は休んで、また好きなタイミングでメンバーを集めて再開」という事も出来ますが、歌がメインである以上は、常にボーカリストのモチベーション、コンディション、スケジュールに気を配って維持していく必要がありますので、リーダーである自分にその余裕が無くなった段階でアウトでした。

その後の話

2009年頃にGaleria Rosadaを休止するのと同時に、自分自身もギタリスト活動を縮小して、それが2018年頃まで続いたのは、こちらの自己紹介記事で書いた通りです。辛く苦しい10年間でした。

そして、2018年からこのブログを始めとしたインターネットの活動を中心にギタリスト活動を再始動させましたが、2020年に入って「これからライブも本格化させよう」という時にコロナ禍に見舞われてしまったため、現在も当面はインターネット中心の活動を継続するという形になっています。

そんな状況ですが、今もGaleria Rosadaのようなオリジナルな音楽を作りたいという気持ちはずっと持ち続けていて、現在取り組んでいるゲーム音楽演奏活動やインストユニット「羽風」の活動などもそういう気持ちを反映しているものです。

ゲーム音楽をソロギターでひたすら弾くブログ

ゲーム音楽をソロギターでひたすら弾くブログ
フラメンコギタリストがゲーム音楽(ゲームミュージック、VGM)をソロギターでひたすら演奏していきます。演奏動画・コード進行分析・読み物など掲載中!

羽風website

羽風Website
2019年6月に結成されたインストゥルメンタル音楽ユニット『羽風~HaFu』のWebsiteです。メンバー紹介・音源・動画・ライブ情報・公式ブログなどのコンテンツがあります。

ちなみに、羽風ではGaleria Rosadaの曲を何曲かインスト化してレパートリーにしています。

今後は、ゲーム音楽演奏や羽風の活動の他に、自分のソロプロジェクトを始動させることを考えています。

それは「Galeria Rosada等も含めた今までの自分の経験と音楽性を詰め込んだ音楽を自由に作ってみたい」そしてそれを「自分のペースで長期活動できる形にしていきたい」というもので、次はこれに向けて一歩一歩進んで行きたいです。これからまだまだチャレンジします!

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