YouTube攻略【マイノリティのWeb戦略04】

「マイノリティのWeb戦略」は「ニッチジャンルの発信者がインターネットを介して新規の視聴者を獲得していく」というテーマで書いている連載です。

前回は、インターネットの発信チャンネルの中でも重要な位置を占める動画サイトとSNSを攻略しよう、ということで、全プラットフォームに共通の基本的な事を解説しましたが、これから個別のプラットフォームごとに詳細に考察していこうと思います。

今回は、最大の動画共有プラットフォームであるYouTube(ユーチューブ)の攻略を考察してみましょう。

YouTubeの特徴

YouTubeは長い歴史(2005年創業)を持つ世界最大の動画サイトで、検索エンジンとしても親会社のGoogleに次ぐ世界第2位の規模を誇ります。

特徴はユーザー数が多く、長時間・高画質の動画投稿が可能で、外部リンクなどの自由度も高い事です。また、最近はTikTok等と同様のショート動画投稿にも対応しました。

YouTubeはハイクオリティーな動画を投稿する古参ユーザーが多いために競争が激しく、動画再生数がそれまでの実績に左右されるシステムになっているため、新規参入者がアクセスを伸ばしていくのはかなり大変です。

しかし、YouTubeの「スタンダード動画サイト」としての地位は磐石であり、コツコツとYouTubeアカウントを育成する事の価値は非常に高いのではないでしょうか。

YouTubeは正統派動画サイトの代表格ですが、攻略法も正攻法が中心となります。サムネイル・紹介文・ハッシュタグ・コメント・投稿ペースなどの基本的な事については前回「動画サイト・SNS攻略の基本」に書きましたので、ご一読ください。

今回は、YouTube固有の攻略法を考察していきます。

再生リスト

YouTubeでは複数の再生リストを作ることが出来ます。

再生リストは複数の動画を1つのURLにまとめて連続再生させるもので、主にチャンネル内動画のカテゴリー分けや、続きもの動画をまとめて連続再生させたい時に使われます。

再生リストのメリットですが、カテゴリーやシリーズ毎に動画をまとめておけるので管理が楽になります。どこかで紹介する時も1つのURLで複数の動画が紹介できますし。

そして、再正数アップにもプラスの効果があります。

再生リストはチャンネルのトップ画面に一覧表示させることも出来るので、視聴者の目にも止まりやすいです。

また、再生リストのURLは検索にもヒットするので、そこから複数の動画を視聴してもらえる可能性が高いのです。

再生リストの設定はそれほど手間もかからないので、ある程度動画数が増えてきたら是非設定しておきましょう。

終了画面

YouTubeでは動画の最後に、お知らせ・サブメニューを表示させる終了画面と呼ばれるオプションがあり、関連動画・動画リスト・他チャンネル紹介・自チャンネル登録などのメニューをサムネイルやアイコン付きで表示させる事が出来ます。

一つ注意したいのは、画面のアスペクト比(縦横比)によって、設置できる終了画面メニューの数が異なる事です。

フルHD(1920×1080)やHD(1280×720)などアスペクト比16:9の動画なら、最大4つのメニューを設置できますが、それ以外のアスペクト比では設置出来る数が減ってしまうので(大抵は2つ)、アップする動画はなるべく16:9のものにしましょう。

カード

カードは、動画中の指定したポイントで5秒間文字情報をポップアップさせ、そこをクリックすると、詳細情報が見られたり、関連動画や再生リスト、他チャンネル紹介、さらには、条件付きながら任意のURLへ誘導することも出来るオプションです。

カードと終了画面は同じような機能を提供していて、関連動画紹介と他チャンネル紹介は共通のものです。

ただし、自チャンネル登録アイコンは終了画面のみの機能で、カードでは表示出来ません。

終了画面のほうがサムネイル付きで目立つし、終了画面があればカードは要らないんでは?と思われるかもしれませんが、カードには「任意のURLへの誘導」という強力な機能があります。動画から直接自分のサイトへ誘導できるようになるわけですね。

ただ、この機能を使うには、パートナープログラム(後述)への参加が必須で、URLも独自ドメインのものに限る、という制約があります。

パートナープログラムに参加出来たなら、カードを使うメリットはかなり大きくなるのではないでしょうか。

字幕・翻訳

YouTubeでは文字情報として、通常の紹介文の他に字幕や翻訳文を追加することが出来ます。

字幕を設定すると、視聴者がプレイヤーの字幕をONに設定している場合に、画面下部に字幕が表示されます。

字幕が設定されている動画には「字幕」のアイコンが表示されるので、字幕が付いていることが視聴者に分かるようになっています。

翻訳文は、紹介文や字幕を多言語化出来る機能で、言語を選んで翻訳文を設定しておくと、アクセスしてきた端末の言語設定に応じて設定した翻訳文が表示される仕組みです。

世界中の視聴者に動画の情報を伝えることが出来るようになるということで、英語だけでも設定しておくとかなり違うのではないでしょうか。

最近は自動翻訳の精度も上がってきたので、最終的には不要になる機能かもしれませんが、現状では確実に情報が伝わるように自分で設定しておくのがベストです。

タグ

YouTubeではハッシュタグとは別に、チャンネルや動画にタグをつける事が出来ます。

以前はこのタグが重要視されて、人気動画のタグを丸コピーして自分の動画に貼って、その人気動画の関連動画として自分の動画を表示させる、といったテクニックが横行していましたが、現在はタグの重要度はかなり下がっています(これはYouTubeの運営が明言している)。

では、全く意味がないのか?というとそんな事もなく、紹介文に含められなかったキーワードを入れておくと、検索でヒットするワードは増えると思いますので、設定しないよりはしたほうが良いでしょう。

現在でも使えるタグのテクニックとしては、チャンネル内の全動画に対して、チャンネル名やチャンネルテーマなどの共通のタグをいくつか入れておくと、自分の動画が再生された時に関連動画に同じチャンネルの他の動画が表示される確率が高くなります。

ただし、タグの付けすぎもNGなようです。タグを大量に付けると「タグスパム」としてペナルティを受ける可能性があるからです。

自分も適切なタグ数が分からず、インターネットで調べたりしたのですが、サイトや時期によって推奨しているタグ数がバラバラなんですよね。

ネットの情報をまとめると、タグの最適数を5個から20個くらいとしている情報が多いです。

ちなみに、自分はフラメンコチャンネルの動画は10個前後、ゲーム音楽チャンネルの動画は20個前後にしていますが、10個と20個でそんなに顕著な差は無いように思われます。

パートナープログラム

YouTubeにはパートナープログラムというものが用意されていて、これに参加すると収益化が可能になったり、様々な優遇が受けられます。

ただし、登録者数1000人以上、かつ年間動画視聴4000時間以上という参加条件があります。

これはユーチューバーになる最低条件とも言えますが、ニッチジャンルの発信者にとってはかなり敷居の高い参加要件であり、中長期的な目標となるものでしょう。

YouTubeパートナープログラムの特典には以下のようなものがあります。

・広告による収益化
・Super Chat及びSuper Stickersの利用(ライブ配信での収益化)
・YouTube Premiumからの収益分配
・チャンネルメンバーシップ(有料会員制度)の設定
・グッズ紹介セクションの設置
・YouTubeクリエイターサポートチームの利用
・コピーライトマッチツールの使用
・カード機能で任意URL設定が可能

ちなみに、自分も参加を目指しているのですが「年間再生4000時間」という条件がなかなか達成出来なそうです。

自分のチャンネルの動画は1、2分程度の短いものが多いし、最近力を入れているショート動画は参加要件の計算から除外されるので、もっと長い動画を増やさないと難しいと思われます。

YouTubeショート動画

現在、自分が実践しているYouTube攻略法の一つとしてショート動画戦略というのがあります。

今回、ニッチジャンル向けの発信スキームとして、このYouTubeショート動画戦略をお薦めしようとして、この記事を下書きしたのですが、ここ1、2か月の間に状況が急変して来て、今までに比べて効果が落ちてしまいました。

ですが、自分自身はこの半年間ほどYouTubeショート動画に力を入れてきていて、その結果分かった事もたくさんありますので、今回はYouTubeショート動画に関する独自調査の結果と、それに対する考察を公開いたします。

YouTubeショート動画の概要

「YouTubeショート」は、TikTokの台頭を受けてYouTubeが対抗として始めたTikTok類似のショート動画共有サービスで、2020年9月にインドでテスト運用が始まり、2021年7月より全世界で正式にサービスがスタートしました。

インドでテスト運用が始まった2020年9月時点から、インド以外の国からもショート動画のアップロードは出来ていたようで、2021年7月の正式リリースまでに段階的にシステムが整えられていきました。

YouTubeショートの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 現在は60秒以内という時間制限がある
  • 正方形よりも縦長の画面である必要がある
  • 25秒以上の長さがあれば終了画面を設置できる
  • タイトルや紹介文に「#Shorts」というハッシュタグを付けることでショート動画として認識されるが、付けなくても長さやアスペクト比によって自動的にショート動画として認識されるようである
  • ショートフィードと呼ばれる専用のセクションに掲載される事で、新たな視聴者層にリーチ出来る
  • ショート動画の再生分はパートナープログラム参加の条件となる総再生時間からは除外される
  • ショート動画専用のファンドから利益を分配する仕組みがある
  • チャンネル登録先は通常の動画と共通で、ショート動画から登録したユーザーも正規の登録者としてカウントされる

日本での状況

日本でYouTubeショートが話題になってきたのは正式リリース前の2021年前半の事です。

テストリリース初期の段階ではショート動画の競争率が低く、システムが不完全だった事もあり、短期間で通常ではありえないような再生回数を記録し、登録者数も大きく伸びた事例が続出した、という事があったので、日本でも導入するユーザーが急激に増えました。

自分は残念ながら、この初動に乗れなかったのですが、2021年9月頃から実験的に運用開始して、2021年12月から本格的に運用しています。

ネットの情報を見る限り、ショート動画が一番おいしかったのは、2021年3月の米国リリースの前までで、その後は段階的に調整が入って、馬鹿みたいなバズは無くなってきました。

現状のショート動画運用のメリット

現状のショート動画運用のメリットの一つとして、60秒以内という性質上、通常の動画に比べて制作時間が少なくて済むため、更新頻度を高く出来るということがあります。

現在は、テスト初期に比べるとショート動画1本当たりの効率はかなり落ちていますが、新規視聴者開拓と更新頻度アップという事をメインに考えるなら、まだ有効な手段なのではないでしょうか。

半年間の調査結果

以下に半年間のショート動画運用の中で判明してきた事を公開いたします(※これらはYouTube側のアルゴリズムの更新によって変更になる性質のものですので、その点だけご承知おき下さい)。

  • 伸びる動画と伸びない動画がハッキリ分かれる
  • 動画の再正数の伸びと動画の内容とは必ずしも関係無いようにも思えるが、一般的に認知度が高そうな内容を含む動画は伸びやすい傾向にある
  • 再正数が伸びる時は短時間(数時間から1昼夜程度)で一気に伸びて、その後ピタリと伸びが止まる
  • ショート動画が大きく伸びるとしたら、ほとんどがショートフィードからのアクセス
  • 大きく伸びる可能性が高いのはアップロード後1日から5日程度の期間で、1週間経って伸びない動画はその後も伸びない
  • あまりショート動画の数を増やすと、お薦め動画や検索結果に表示される動画がショート動画ばかりになって通常動画が伸びなくなる
  • ショート動画から登録したユーザーは通常動画は視聴してくれない確率が高いので、登録者数は増えるものの、登録者数に対する再生回数の比率(視聴率)が下がって、チャンネルの評価が悪くなる可能性がある

YouTubeショートは「どれくらいショートフィードに露出できるか?」が勝負になりますが、半年おき位の間隔でショートフィードへの表示アルゴリズムが大幅に更新されているように感じます。

テストサービスを開始して以来、一貫してショート動画の再生伸び率は下落を続けていますが、これはYouTube側のアルゴリズム調整の他に、投稿者増加によるショートフィード枠の競争激化もあると思われます。

YouTubeショートの最新動向

この記事を執筆する少し前、2022年3月頃から急激にショート動画の伸びが悪くなったのですが、運営がショート動画表示アルゴリズムを大幅に変更した可能性があります。

具体的には、ショート動画1つあたりの再正回数が2月までに比べて1/10程度まで低下している感じで、これはもしかしたら自分のアカウントだけの問題かも知れないのですが、いずれにせよ、この状況が続くようだとショート動画戦略の根本的な見直しが必要になるでしょう。

これをお読みになっている皆さんも、YouTubeでショート動画を運用するなら、そのメリット(更新頻度増加、露出機会増加、登録者増加)とデメリット(通常動画の再生回数減少、その結果としてチャンネル評価の下落もあるかも)を天秤にかけて判断していただきたいと思います。

YouTubeのライブ配信について

今回はライブ配信機能については触れませんでしたが、各種ライブ配信プラットフォームについては、改めて記事を執筆する予定でいますので、その時に書きたいと思います。

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