今まで動画プラットフォームのトップを走ってきたYouTubeですが、昨年(2022年)末頃から名だたるユーチューバーが再生数や収入の激減を報告していて、「YouTubeはもうダメなんじゃないか?」という意見も散見されるようになりました。
今回は、そういう「もうYouTubeはオワコンなのか?」というテーマについて、ニッチジャンルの動画配信者という立場から考察してみたいと思います。
自分はメインの動画サイトとして2018年からYouTubeの運営に取り組んでいて、このブログでもYouTubeでの発信に関する記事を書いてきました。
フラメンコギターチャンネル
https://www.youtube.com/c/AkiraGoto
ゲーム音楽演奏チャンネル
https://www.youtube.com/c/VGMguitarist
YouTubeの攻略記事
上の記事をアップしてから1年も経たないうちにまた状況が変わってきた(というか、年末になってユーチューバー達の年間利益が確定して明らかになってきたというべきか)わけですが、今回のテーマについて結論から申し上げると、今の状況は配信者やライバルプラットフォームが増えて飽和してきたことにより、先行者利益が無くなってきている状態だと思われます。
ただ、自分のようなニッチジャンル配信者にとってはあまり関係ないというか、やり方によってはむしろチャンスが広がる事もあるように思うんですよね。
どういう事なのか、一つずつ解説していきましょう。
動画プラットフォームの現在の状況
まず、ほとんどのネットサービスに当てはまる事なのですが、先行者利益というのがあります。
これは、プラットフォームレベルでも、ユーザーレベルでも同じ事が言えるのですが、早く始めたプラットフォームやユーザーほど優位に立てるというものですね。
YouTubeの場合、2017年頃までは強力なライバルとなるプラットフォームが無かったために市場のパイ(視聴者と広告主)を独占してきました。
ユーザーレベルでみても過去の実績がチャンネルパワーとして評価されて露出機会が増える仕組みになっているので、早く始めた人ほど有利なところがあり、YouTubeの古参ユーザーは大きな先行者利益を手にして来たわけです。
ですが、現在の状況は、恐らく先進国人口の半分以上がYouTubeを視聴している状態まで普及しているため、視聴者の増加ペースは頭打ちになっているものと思われます。
そんな中、2018年頃からTikTokやNetflixの台頭があって動画プラットフォーム間の競争が激化。さらに2020年からのコロナ禍でユーチューバーを含む動画配信者が激増したわけですから、熾烈な視聴者・広告主の奪い合いとなりますよね。
その結果、先行者利益を享受していた古参ユーチューバーがその地位から引きずり下ろされる状況となっている、といった事なのではないでしょうか。
コロナ禍を契機として芸能人やTV関係者などプロの参入が相次いだため、お笑い系や雑談系なんかはとくに厳しくなりましたし、何の専門性も特異性も無い素人が突然注目を浴びて広告収入で生活できる、なんてことは非常に困難になってきた、と言わざるをえません。
現在、そんな中でもYouTubeで視聴者を伸ばしているのは、ブランド力(独自性・配信者のタレント性)や専門性が高いチャンネルであるという傾向がハッキリしてきています。
そして、自分のようなニッチジャンルの配信者は元々狭い範囲での専門性を売りに狭い範囲の視聴者に対して配信していたわけで、「専門性」の評価ウェイトが上がっている今の状況はむしろ歓迎すべきものではないかと感じるのですが。
ニッチジャンル配信者の戦略
今解説したような状況があって、チャレンジ系・お笑い系・雑談系などのユーチューバーが軒並み再生数と収益を減らしているのは理解していただけたかと思いますが、近い将来、TikTokなどの新興動画サイトも飽和状態になってYouTubeと同じような経過を辿るものと思われます。
では、フラメンコのようなニッチジャンルに属する発信者はそんな現状にどう対応していったら良いのか?というテーマをお話したいのですが、これについて、いくつかの項目に分けて書いていきます。
本業への導線として活用する
まず、収益的なことから考えてみましょう。
そもそも論として、YouTube上に存在するニッチジャンルの専門チャンネルで収益化出来ているチャンネルがどれほどあるのか?という問題はあるのですが、たとえ収益化出来たとしても、登録者が数千人程度の規模だと広告収入は雀の涙の金額だし、以前に比べて広告単価も下がって不安定化している現状があるので、ニッチジャンル専門チャンネルの配信者が広告収入を当て込んで投稿に励むのは全くナンセンスです。
では、何をメインの目的として動画投稿するか?というと、教室・ライブ・店舗・物販への導線、もしくは単純に露出増加・知名度アップというのが重要事項なのではないかと。
日本のメディアはニッチジャンルのコンテンツを取り上げる事に消極的だし、YouTubeやTikTokは自前で、しかも無料でPR機会が得られる数少ない選択肢なのです。
まぁ、このあたりの事も「かかる労力と得られる再生数次第」というのも事実なのですが、他の選択肢が乏しい以上、YouTubeやTikTokで再生数・フォロワー数を増やす努力をする価値は十分にあるでしょう。
専門性を高める
ニッチジャンル動画配信者が現在の動画戦国時代をサバイバルしていくための最大のポイントは「専門性」だと思います。
現状、TikTokはそうでもなさそうですが、YouTubeにはその傾向がはっきりとあらわれてきました。
この「専門性」ですが、例えば芸術や音楽のジャンルなら当然ながら「芸術性」「音楽性」というものも含まれます。
フラメンコのアーティストなども、もともと専門性の塊のような事を生業としているわけで、そこは最大の強みだと思いますが、その専門性・芸術性を如何に動画コンテンツに落とし込んで表現するか?という事が大きなテーマになるでしょう。
再生数・登録者数を伸ばす
専門性の高い優れたコンテンツを作れたとしても、視聴者に見てもらう機会を得られなければ、自己満足で終わってしまいますよね。
これだけ動画配信者が溢れ返っている中で再生数や登録者数を伸ばしていくためには、計画的・戦略的な視点が必要になってるでしょう。
自分もこの部分では四苦八苦していますが、今までの自分自身の経験と、ウォッチしているチャンネルの成功例などから、登録者数及び再生数の増加に寄与しそうな施策を挙げていきます。
なお、ブランディング・サムネイル・紹介文・投稿ペースなど、動画サイト攻略の基本的な部分はこちらの記事にまとめてありますので、ご一読下さい。
今回は、上記記事で書いた内容からさらに一歩進めた、よりアクティブな施策を紹介します。
ショート動画活用
ショート動画は短期間で多くの再生数を獲得しやすく、また、ショートフィードに掲載されることで自分のチャンネル登録者以外の視聴者に届きやすいため新規登録者増加に役立つでしょう。
ただ、ショート動画戦略には問題もあります。ショート動画から入ってきた視聴者はショート動画しか見てくれない傾向が強いのですが、かといってショート動画ばかり増やしてしまうと、検索や関連動画にショート動画ばかり表示されるようになってメインの通常動画が伸びなくなるというリスクも念頭に置いておかなければなりません。
ショート動画をメインにするのでなければ、通常動画対ショート動画の数量バランスと、ショート動画から通常動画への誘導が課題となるでしょう。
コラボレーション
他の配信者とのコラボレーションはチャンネルの成長に非常に効果的に働くことがあります。
運良く自分よりも圧倒的にチャンネルパワーのある配信者とのコラボ機会に恵まれれば、飛躍的にチャンネルを成長させられる可能性がありますが、コラボレーション動画で得た視聴者はそのコラボ相手が出ていない動画は見てもらえない傾向はあるだろうし、コラボで得た新規登録者を自分のファンとして定着させるのが難しい面もあるでしょう。
ブログやSNSとの連携
YouTube動画の再生数は、普通は時間とともに伸び率がどんどん下がるものですが、自分のチャンネルの動画の特徴として、初速は鈍いものの長期に渡って再生数を維持する傾向があります。
こうなっている理由は、ブログとの連携効果が大きいのではないかと。
やりかたとしては、自分の場合は動画をYouTubeに公開するのと同時に、その動画の専用解説記事(YouTubeへのリンク付き)をブログにアップしてYouTubeとブログの相互補完を狙っています。
ブログ記事は検索順位が上がるのに時間がかかるため、アップ後、1か月から半年くらい経たないとアクセスが伸びて来ないのですが、一旦順位が上がったページは長期に渡って安定したアクセスを稼ぎ続けることが多く、ブログ経由のアクセスは長期になるほど効果を発揮するのです。
一方、SNSでの動画PRは数日程度の短期カンフル剤としての効果があります。
ただ、これは自分の場合ですが、複数のSNS(フォロワーは合計で7000人くらい)に同時投稿で頑張っても、それで再生数が伸びるのは数十回といったところなので、労力対効果は微妙なところです。
まぁ、ブログ経由のブースト効果を大きくするためにはブログ本体の記事を充実させたりSEOをやったりでアクセスを伸ばすのが大変だし、SNS投稿の効果はフォロワー数次第なのですが。
――今回は、最近の「YouTubeはオワコン」という風潮に対する自分の考えをまとめて、ニッチジャンル配信者の立場から様々な考察をしてみました。既に動画チャンネルで活動している方、これから始めようと思っている方の参考になれば幸いです。
コメント