X(旧Twitter)攻略【マイノリティのWeb戦略09】

「マイノリティのWeb戦略」は、フラメンコなどのニッチジャンルの発信者がインターネットを介して新たな視聴者・ファンを獲得していくにはどうしたら良いか?というテーマの連載です。

現在、この連載では、動画サイト・SNSの攻略法について考察していますが、今回は、日本国内での利用者も多く、拡散力に優れたX(旧Twitter)について研究してみようと思います。

ご存知の通り、長年Twitter(ツイッター)として親しまれてきた短文投稿アプリは2022年にテスラモーターズのイーロン・マスク氏に買収され、2023年7月24日に「X」に改称・リニューアルされました。

X(旧Twitter)の概要

Xは140文字(半角280文字)までの短文と画像・動画が共有出来るSNSで、その拡散力は全SNS中でも最高レベルです。

短文といっても、後からセルフリプライ(自己返信)することで、文章の追記が出来るし、サムネイル(縮小画像)付きのリンクの埋め込みも可能なので、実はFacebookの次くらいに汎用性の高いSNSではないでしょうか。

Xは匿名性が高いためにプライベートな用途に利用される一方で、政財界の要人が実名でフォーマルな発信に利用するSNSとしても知られていて、非常に幅広い層のユーザーがいます。

Xは2006年(日本語版は2008年から)にTwitterとしてサービスを開始しておりFacebook・YouTubeに次ぐ老舗と言えます。

2022年にテスラ・モーターズのイーロン・マスク氏によるTwiter買収という大きな転機があり、その直後にマスク氏が全社員の半数をリストラするというのが大きなニュースとなりました。

その後、2023年7月には名称を「X」に改め、今後の展開が注目されています。

全世界のアクティブユーザー数は3億3000万人(2019年時点)とFacebookやYouTubeと比べて一桁少ないのですが、日本国内では4500万人(2019年時点)と、インスタグラムやFacebookを上回り、LineやYouTubeに次ぐユーザー数がいる人気SNSです。

日本では、若い世代を中心に「匿名性の高い気軽なコミュニケーションツール」として人気化しましたが、一時ネットで「バカッター」と揶揄されていたように、匿名ゆえの使用者のモラルの低下が社会問題化することもありました。

Xの特徴と攻略法

Xは140文字の文字数制限があるという事以外は、画像、動画、URLリンク、ハッシュタグ、メッセンジャー機能など、コンテンツ発信をする上で欲しい機能はほとんど揃っています。

Facebookほどの多彩な機能はありませんが、基本的な機能だけでシンプルに使いたい人にはうってつけのSNSでしょう。

その手軽さとスピード感が政財界に浸透した理由でもあると思いますが、コンテンツ発信やライブ・教室のPRをしたい場合にも、Xは最小限の手間で大きな拡散効果を狙える優れたSNSだと思います。

以下にXのシテスム的な特徴と、その攻略法を考察していきますが、全SNSに共通するような基本的な事項はこちらの記事にまとめてありますので、あわせてお読みください。

投稿済みポストは修正不可

Xへの投稿はTwitter時代はツイート(呟き)と呼ばれていましたが、現在は「ポスト」と改称されました。

Xをやる上でまず頭に入れておきたいのが、投稿済みのポストは後から修正が出来ないという事です。

修正したい場合は、削除して再投稿するか、引用リポストやセルフリプライで修正を追記するか、どちらかになります。

これはXの不便な点の一つなのですが、Xはポストの回転率が高く、他のSNSに比べて1つの投稿の賞味期限が短い傾向があるので、修正事項があったら気軽に削除・再投稿しても良いのではないでしょうか。

文字数制限について

Xは「短文共有ツール」としての独自性にこだわりがあるようで、全角140文字(半角なら280文字)までの文字数制限を堅持していますよね。

関連ポストをセルフリプライの形で追加することで、元のポストの下に繋げてスレッド表示させる事が出来るのですが、Xの場合は他のSNS以上に流し読みの傾向が強く、付加ポストが沢山ついた投稿は全部読んでもらえない可能性が高いです。

ですので、なるべく140文字以内にまとめて1セクションで表示されるようにするのがベストでしょう。

140文字というのは実際に何か発信しようと思うとかなり短く、URLやハッシュタグを入れると本文はスマホ表示で3行くらいになってしまうのですが、本文中の語句をハッシュタグ化(後述)するなどして、文字数を節約しましょう。

なお、ポスト内のURLは実際の文字数に関わらず「一律23文字」でカウントされます。これは、X側で自動的に23文字の独自URLに変換されるため、予め23文字分が確保されるということです。

ハッシュタグはX(Twitter)が発祥

ハッシュタグについては上にリンクした「動画サイト・SNS攻略の基本」の中でも解説していますが、投稿中の単語に「#」をつけて共通の話題を検索できるようにする仕組みです。

ハッシュタグを最初に導入したのはTwitter時代のXで、2007年にクリス・メッシーナ氏の提言を採り入れる形でシステム化されました。

ハッシュタグとX(Twitter)の相性は非常に強力で、共通の語句を足掛かりにして加速度的に拡散していく仕組みが出来上がり、現在ではほとんどのSNSや動画サイトでハッシュタグの仕組みが導入されています。

ハッシュタグ数を増やす

ハッシュタグを付けると、ハッシュタグからの流入が発生するので、自分のフォロワー以外への拡散もされやすいです。

ただし、Xの場合140文字の制限があるので、他の情報やURLリンクも入れるなら、多くても5つくらいまでしか付けられないでしょう。

ハッシュタグの数を増やしたかったら、本文中の語句に「#」を付けて半角スペースで区切る事によりハッシュタグ化出来るので、文面を工夫することでハッシュタグ数を増やす事が出来ます。

Xの動画投稿サービス

近年になって他のSNSはこぞって動画投稿サービスを強化していますが、Xには以前から独自の動画投稿サービスがあって、あまり仕様を変えていません。

Xの動画投稿サービスは140秒(2分20秒)までの動画に対応し、アスペクト比は縦長でも横長でも大丈夫ですが、解像度はHD(1280×720または720×1280ピクセル)及びフルHD(1920×1080または1080×1920ピクセル)が推奨されています。

ポストに動画ファイルを添付すると、動画の最初のシーンが自動的にサムネイルとして表示されて、タイムライン画面上で縮小版が自動再生されるようになりますが、サムネイルをクリックすることでフルサイズの動画再生に移行するシステムです。

他の動画サービスについてですが、以前Xは、フリート(Fleets)というストーリーズ(Snapchat発祥の1日で消える1画面投稿)に類似したサービスを始めたものの、「期待した効果が得られなかった」という理由で短期間で廃止になったという事がありました。

こういう事から推察するに、Xはトレンドは追わずに独自路線を歩む方針だと思われます。

現在、他社はTikTokに類似したショート動画・リール動画サービスを積極展開していますが、以上のような理由からXが追従する可能性は低いのではないでしょうか。

※この記事はイーロン・マスク氏による買収以前に執筆した内容が多いので、とくにこのあたりの項目については、今後運営方針が変化する可能性も大きそうです。

サムネイル表示について

Xに画像や動画やURLが入った投稿をすると、自動的に画像が検出されてポスト内にサムネイルが表示されます。

Xのユーザーはタイムラインを流し読みしながら、リプライ・リポストなどのリアクションをするので、タイムライン上に表示されるサムネイルはアイキャッチ画像としてかなり重要になるでしょう。

外部動画リンクのサムネイル

XではYouTubeなどの動画リンクを投稿することも出来ますが、スマホアプリで見た時はサムネイル表示にならない仕様になっています。

これって、かなりクリック率に差が出ると思うのですが、おそらく意図的なもので「外部の動画サイトのリンクを貼るよりも、Xに直接動画投稿してね」という事かと。

そんなシステムですので、Cで動画を拡散するならポストに動画ファイルを直接添付するのが一番再生されやすい方法で、それに比べるとYouTubeリンク等への誘導は効果が今一つだと思います。

ちなみに、ブログなどのリンクはスマホアプリでもちゃんとサムネイル表示されますので、YouTubeへ誘導したかったらブログ等を経由させるというテクニックもあります。

複数URLを投稿した時の挙動

これは細かい話なのですが、1つのポストに複数のURLリンクを記載した場合、スマホアプリからの投稿だと上にあるリンクがサムネイルカードになるのですが、PCの投稿からだと下にあるURLがサムネイルカードなったりするので注意が必要です。

このあたりの細かい仕様は随時変わっていくものと思いますが、少なくともここ4年間くらいはそういう仕様になっていますので、留意しておきましょう。

Card validator

ポストにURLリンクをつけてサムネイル表示させたい場合、初めて投稿するURLなどでは画像検出が上手く行かないことも多いのですが、そんな時は「Card validator」というツールを使って該当URLの表示データを更新してやれば、大抵の場合は解決出来ます。

Twitter card validatorについては、詳しくはググって欲しいですが、Xにリンクを貼りつける人にとっては必須ツールとなるので、Xにログインしているブラウザでブックマークするなりして、すぐにアクセス出来るようにしておくと便利かと。

メディアタブ

Xのプロフィールページには「メディア」というタブがあるのですが、ここを見てその投稿者のコンテンツを探すという人が意外と多いという事を知っておきましょう。

メディアタブに表示されるツイートは、画像や動画が添付されているもののほかに、YouTubeの動画リンクなどが貼ってあるものが含まれます。

ちなみに、自分がブログの動画コンテンツを紹介する際は、スマホアプリでのサムネイルカード表示とメディアタブへの掲載を両立させるために、ブログ記事のURL(サムネイル表示用)と、YouTube動画のURL(メディアタブ掲載用)、2つのURLを掲載することにしています。文字数が相当厳しくなりますが……。

スペース

スペース(Spaces)は2021年5月に始まったサービスで、音声によるリアルタイム・コミュニケーションの場が提供されます。

これはポッドキャストや、少し前に流行したClubhouse(クラブハウス)のX版みたいなイメージですね。

スペースには、スピーカー(喋りに参加する人、10人まで)もしくは、リスナー(聴くだけの人、人数制限無し)という形で参加するのですが、リスナーもスタンプでリアクションを送ることが出来ます。

このサービス、自分はまだ使った事が無いのですが、無制限に聴衆を集められるし、チケット制スペース(Ticketed Spaces)という収益化サービスも始まったということで、音楽ライブや公開レッスンなどに利用したら面白そうですよね。

「配信はやりたいけど、顔出しは嫌」という人には良さそうです。

投稿頻度とツイートの賞味期限を伸ばすテクニック

Xの欠点の一つとして、常時大量の投稿があるために自分の投稿が埋もれやすく、他のSNSに比べて投稿の賞味期限が短いという事があります。

こればかりはシステム上仕方のない事なのですが、XをメインSNSとして本気運用するなら、1日1回は投稿する習慣が必要になると思いますし、場合によってはポストの賞味期限を伸ばしてやるテクニックも必要になるでしょう。

投稿がすぐに流されてしまう対策としては、セルフリポストというのがあります。

これは、自分の投稿に自分でリポストするのですが、こうするとタイムラインで下の方に流れてしまった投稿を上の方にひっぱりあげる事が出来るというものです。

注意点としては、一回表示されたタイムラインにはセルフリポストしても再度表示されることはないので、一定期間空けてやらないとあまり意味がありません。

セルフリツイートは1つのポストにつき1回までしか出来ないのですが、取り消しして再度セルフリポスト、ということも可能です。

また、セルフリプライ(自分のツイートに自分で返信)や引用リポスト(自分のポストを引用)でも似たような事が出来ますが、こちらは追記という形になります。

ただし、こういう「ポストを上げる」テクニックは、あまりしつこくやっても効果がどんどん薄くなるし、見る側からすると何回も同じ投稿を見せられるのは鬱陶しいものです。

最悪、フォローを外されたり、ブロックされたり、運営からスパム認定されたりするリスクもあるという事を頭に入れておきましょう。

X攻略のまとめ

今回は、2006年のサービス開始以来、独自路線を歩んできたX(旧Twitter)の攻略法を考察してみましたが、Xの特徴は「手軽」「シンプル」「スピード感」といったイメージですよね。

また、匿名でやってもそれなりの拡散力が期待できるプラットフォームでもありますが、それだけに炎上しやすかったり、モラル面での課題も大きいSNSである、ということは意識しておいたほうが良いのではないでしょうか。

攻略法としては、他のSNSと比べてシンプルなシステムなので、考えるべきことはそんなに多くはありません。

ただし、物量(ポストやリプライの頻度)がものを言う世界なので、本気でXでアクセスを伸ばしていこうと思ったら、結局はそれなりの時間を割かなければならないと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました