当ブログでは、これまで「DTM・機材解説」として音源制作関連の記事を取り扱って来ましたが、今回から対象範囲を広げた新シリーズ「低予算で実現するコンテンツ制作」に刷新し、音声コンテンツに限定せず、動画などを含めたコンテンツ制作全般について取り扱っていこうかと。
早速ですが、今回は動画制作関連のお話です。
昨年(2022年)の年末に3年2か月ぶりにスマホを更新したのですが、その際にYouTube向けに撮っている演奏動画の画質をアップすべく様々な実験を行い、アウトカメラを使った自撮り動画撮影に成功しましたので、今回は、その成果を記事にしようと思います。
今までの演奏動画撮影方法
自分は2018年5月からYouTube向けの演奏動画を作り始めましたが、映像方面に関しては全くの素人で(今もバリバリの素人ですがw)、演奏動画の画質にもそれほど拘りがなく、手軽に動画撮影出来る機材として普段使いのスマホを使っています。
スマホで動画を撮る場合、アウトカメラ(メインカメラ)を使ったほうが画質は良いのですが、アウトカメラで自撮り撮影をする場合、撮影中は画面が後ろを向いてしまってアングルなどをモニター出来ないのが問題です。
アングルをモニター出来ないと、折角良い演奏が出来ても、後で確認したら手や顔が見切れていたり、逆に部屋の映したくない部分が写り込んだりしていて、泣く泣くボツにしたりということがあるし、画面が後ろを向いた状態では録画開始・停止とか、フォーカスや露出の調整などの操作も非常にやりずらいですよね。
何回もリトライするのが前提の演奏動画では、こういうストレスがあると演奏に集中出来ません。
そんな理由で、今までは操作性とモニターの手軽さを優先してスマホのインカメラ(サブカメラ)を使って演奏動画の撮影をしていました。
撮影に使用しているスマホ
参考までに、今まで動画撮影に使ってきたスマホをご紹介しようと思います。
自分は2011年頃からスマホを使っていますが、節約のために最新機種ではなく中古の端末に格安SIMを入れて使っているので、世間一般に比べて周回遅れなスペックのものでした。
シャープ SH-04E(2019年11月まで)
YouTube活動開始(2018年5月)から2019年11月まで撮影に使っていたSH-04E(シャープ、2013年モデル)は、2015年春に買ったものです。
買った当時は動画撮影なんか全く意識せずに中古価格の安さで選んだ機種なのですが、インカメラに関しては①120万画素しかなくてHD画質(1280×720)までしか撮れない②画角が狭くて手元しか撮れない(画角が狭いと顔まで収めるのにスマホからかなり離れなければならず操作に支障が出る)③F値が高くて画面が暗い、という超絶クソ仕様でした。
当時は「メインは音。映像はオマケで、弾いている様子が伝われば良し」みたいに考えていたので、そんなに気にせず、取り敢えずそのスマホでスタートしたわけですが、今見ると画質はぬり絵みたいだし、画面が暗いですよね……。
※このページのサンプル用埋め込み動画は、画質設定を最高設定(720Pか1080P)に変更していただくと違いがより明確に分かると思います。
SH-04Eのインカメラで撮った動画
ソニー SO-04H(2019年11月から2022年12月)
その次の、2019年11月から2022年12月まで使っていたSO-04H(ソニー、2016年モデル)は、演奏動画撮影の事を考えてインカメラのスペックが良い機種ということで選びました。
インカメラの画素数は1320万でフルHD(1920×1080)撮影が可能になったし、F値も向上して明るい映像で撮れるようになり、画角も広角になったので顔出し撮影も出来るようになりました。――2019年11月からYouTubeで顔出しするようになったのはこんな事情があったのですが、ようやくまともな環境になったわけです。
SO-04Hで撮った動画
OPPO Reno5A(2022年12月から)
そして、今回購入した機種はReno5A(OPPO、2021年モデル)ですが、これも価格(型落ちモデルだったので安かった)とカメラ性能(後継のReno7Aより良い)で選びました。
Reno5Aのインカメラは1600万画素で、SO-04Hのインカメラと比較すると、フォーカス性能や解像感は若干向上している程度で、画角は少し狭くなってしまいました。
一方、アウトカメラは6400万画素(高解像度モードでの静止画撮影以外ではピクセルビニングが効いて1600万画素相当になる)でレンズ(F値1.7)やイメージセンサーも良いし、実際にインカメラと撮り比べてみるとかなりの画質差があるんですよね。
そこで、(今さらですが)なんとかスマホのアウトカメラを使って演奏動画を撮影できないかと考えて色々実験してみましたので、以下にその詳細を書いていこうと思います。
アウトカメラで自撮り撮影をするには
スマホのアウトカメラを使って自撮り演奏動画を撮影する上でネックになっているのが①モニター②操作系の2点です。
①モニターについては、ミラーリングといってスマホの画面をUSBやwifiで出力して、別のスマホやPCやTVに映す方法がありますが、もっと原始的な方法としては撮影中、スマホの後ろに鏡を置いてアングルを確認する、なんていうやりかたも考えられますよね。
②操作系のほうは、Bluetoothリモコンを使ったり、スマホ本体のハードウェアキーに機能を割り振ることで録画のスタート・ストップくらいなら操作できますが、それ以上の操作をしたければ、クライアント端末(画面を映す端末)からホスト端末(撮影用のスマホ)を操作出来るミラーリングソフトが必要となるでしょう。
こう考えると、用途に応じた高機能なミラーリングソフトさえ入手出来れば大抵の問題は解消出来そうです。
ミラーリングソフト「Vysor」
自分の動画撮影環境は、スマホ(Android)で映像を撮影しつつ、同時にPC(Windows10)でDAWに音声を取り込むというものなので、PC画面上のマウス操作で撮影用スマホとDAWを同時に操作出来るようなミラーリングソフトを探すことにしました。
今回は、Windows10の標準機能(「接続」という名前)を含めた5種類のミラーリングソフトを試してみたのですが、自分の環境(Windows10PC+Androidスマホ)だと「Vysor」というソフトが無料で使える範囲では一番良かったです。
他のソフトだと遅延が酷かったり、接続・挙動が不安定だったり、クライアント側からの操作が出来なかったり、ウィンドウの大きさや位置を変更出来なかったり、課金しないと接続時間を制限されたりと、まともに使えない感じでした。
Vysorは元々Chromeの拡張機能だったのですが、現在はアプリ版がリリースされていて、アプリ版のほうが使いやすいと思うのでアプリ版をおすすめいたします。
Vysorダウンロードサイト
https://www.vysor.io/
Vysorは無料版だとUSB接続のみの対応(有料版にすればwifiで接続可能)で、PC側に表示されるモニター映像の画質が制限(スマホ側で撮影される動画画質には影響無し)されます。
無料版の画質に関しては、カメラアプリの起動終了、動画撮影のスタート&ストップ、ピント合わせ、明るさ調整などは問題なく出来る程度の画質はあるし、USB接続限定なのも、むしろ無線接続よりもタイムラグが少なく挙動も安定しているので自分の用途だと全く問題ありません。
Vysorを使うには、撮影用のスマホは開発者オプションを有効にして、USBデバッグをオンにした上でMTPモードでUSB接続する必要があることに注意してください(分からない人はググって下さい)。
なお、PCを使わずにスマホ2台でやりたい人や、どうしても無線接続でやりたい人、双方向で操作出来なくてもモニターだけ出来ればokという人は、Vysorよりも適したソフトがありますので調べてみてください。
インカメラとアウトカメラの画質差
以上のように、Vysorを導入したことでスマホのアウトカメラを演奏動画撮影に使えるようになり、演奏動画の画質を大きく向上させる事が出来ました。
参考までに、11月にアップしたSO-04Hのインカメラ(Reno5Aのインカメラもそれほどは変わらない)で撮影した動画と、最近撮影したVysor+Reno5Aのアウトカメラで撮った映像を比較してみてください。解像感や細部のディテールに大きな差がありますよね。
11月にSO-04Hのインカメラで撮影した動画
最近Reno5Aのアウトカメラで撮影した動画(ゲーム音楽演奏)
ちなみに、解像度とフレームレートに関しては、どちらもフルHD30fpsで撮影しています。
Reno5Aの機能としては4K解像度や60fpsでの撮影に対応はしているのですが、60fpsの設定にするとシャッタースピードの関係で明るさが落ちたり、4k30fpsやフルHD60fpsでは撮影時のCPU発熱が増えて時々コマ落ちが発生するので、現状は安定性と画質をとってフルHD30fpsにしています。
恐らく、今のハイエンドのスマホならフルHD60fpsや4k30fpsは実用範囲なのかもしれませんが、本当に画質やフレームレートにこだわるなら、超小型化・薄型化されたスマホのカメラレンズやイメージセンサーでは限界があるので、専用のビデオカメラや一眼レフを買うべきなのかな。
まぁ、映像もハマり始めると機材に散財して大変そうなので、当面は手持ちのスマホを活用したベストエフォートな動画画質を追求するということで頑張っていきます!
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