だいぶ間が空いてしまいましたが、久々に「低予算で実現するコンテンツ制作」の記事です。
前回から引き続き、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション=音楽制作ソフト)を使った音楽制作についてお話していきます。
前回の記事でDAWの基本的な事の解説と主要なDAWの紹介をしていますので是非ご一読下さい。
前回も書いた通り、どのDAWを選んでも出来る事に大差はありませんが、DAWの種類によって操作系や付加機能が違うので作業効率に差が出ることもあります。
今回は、どのDAWでも出来る基本的な機能を中心に解説します。
自分の制作スタイル
DAWの使い方は、その人の手掛ける音楽ジャンルや制作スタイルによって様々です。
自分はレコーディングと打ち込みの両方をやりますが、EDM系の音楽をやっている人などは100%ループと打ち込みによる制作ということでレコーディングは一切やらなかったり、逆に生演奏系の人は打ち込みは一切やらなかったりしますよね。
そのあたりは、求める音楽の内容と本人のスキルとの兼ね合いで決まってきますが、ここでは自分の制作スタイルを軸にして解説していきます。
自分のDAWの用途ですが、基本的には、それ以前にやっていたMTRでの制作を拡張した感じですね。
生楽器や歌の録音を中心に、打ち込み・ループ素材や録音素材の加工編集・ミキシング・マスタリングなどをやっていて、最近では動画制作にも使っています。
自分はアコースティック楽器の奏者なので、やはりレコーディングのほうに力を入れていて、打ち込みは「必要に応じて」という程度です。
ですので、レコーディングに関しては力を入れて解説する予定ですが、打ち込みをバリバリやりたい方は、もっと専門的な本やサイトで勉強する事をお薦めします。
DAWでの作業フロー
では、DAWでの音楽制作の各手順について解説していきますが、自分の場合、大体以下のような手順になります。
- ベーストラック制作
- レコーディングと打ち込み
- テイク選定・素材編集
- 音作り・ミキシング
- マスタリング
こんな手順ですが、2.3.4.は、やりながら行ったり来たりするので、だいたいのイメージということで。
では、1.から5.まで順を追って解説していきます。
ベーストラック制作
ベーストラックとは曲のテンポや大まかなアレンジなどをモニターするためのレコーディング用カラオケですが、最初にこれを作ります。
いわゆるプリプロダクションに当たる作業ですね。
リズムセクションはとりあえず出来合いのループ素材で良いし、それに簡単なバッキングを鍵盤かギターか打ち込みで重ねればokです。
ただし、曲の内容やレコーディング手順によってはベーストラックを使わないほうが効率が良い場合もあります。
例えば、ギターソロ曲やフラメンコのカンテなど、コード進行がイレギューラーなものは、ベーストラックを作らずにクリック音のみでレコーディングしたほうが楽だし、ケースバイケースで柔軟に判断しましょう。
ちなみに、リブレ(自由リズム)の曲などは、ベーストラックもクリックも使えないし、歌とギターの同時一発録りが一番良かったりします。
レコーディングと打ち込み
レコーディングと打ち込みに関して、まずは基礎的な知識をおさえておきましょう。
レコーディング
DAWの機能の一つにレコーディング(録音)機能があって、録音した音はDAWにwavの波形(PCM録音)として記録されます。
自宅でのレコーディング(宅録)については、次回記事にて詳細解説する予定です。
音質の事を考えると、オーディオインターフェースとコンデンサーマイクを使って録音するのがベストですが、それらの機材については以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
打ち込み(MIDIプログラム)
レコーディングは録音によって曲の素材を作る作業でしたが、「打ち込み」はMIDIと呼ばれる規格に添ってプログラムを作り、それをコンピューターに演奏させたものを素材とするやり方です。
MIDIプログラムの入力方法は、MIDIキーボードを繋いでクリックに合わせて演奏して入力する「リアルアイム入力」と、PCの画面上の操作で音を1つずつ置いていく「ステップ入力」の2種類に大別できますが、DAWの種類によって、それぞれ工夫された入力方法が用意されています。
また、MIDIプログラムを再生するためには「MIDI音源」が必要です。
MIDI音源には、PC上で全て処理する「ソフトウェア音源」と外部機器による「ハードウェア音源」があり、それぞれ以下のような特徴があります。
ソフトウェア音源
PCのみで完結できて手軽だが、CPUに負荷がかかってレイテンシー(モニター音の遅れ)が発生する
ハードウェア音源
外部機器を接続して同期をとらないといけないので少し面倒だが、PCへの負荷は少ない
WindowsでもMacでも最初から付属しているソフトウェア音源あるので、それで最低限の事はできますが、本格的な打ち込みをしたい場合は別途音源を用意したほうが良いでしょう。
打ち込みは最初にプログラムの手間がかかりますが、一度打ち込んでしまえば、アレンジ変更・テンポ変更・移調・譜面作成などが簡単に出来るのが利点で、先ほど解説したベーストラックをMIDIで作っておくと融通が効いて大変便利です。
ただし、打ち込みのパートを生演奏に近付けようと思ったら、かなりの技術と労力が必要になってくるので、作業行程が一定の段階まで来たら、生楽器でレコーディングし直すか、打ち込みを作り込むかの判断をすることになります。
レコーディング・打ち込みの作業内容
基礎知識の解説が少し長くなりましたが、DTMの2番目(場合によっては1番目)の作業工程としては、必要な素材をレコーディングと打ち込みで作っていく事になります。
歌が入る場合は、まず最初にベーストラックを作ったら、それをモニターしながら仮歌を録って、仮歌に合わせてレコーディングと打ち込みを進めたほうが歌中心のアレンジが出来て良いでしょう。
そして、ちゃんとしたアレンジのバッキングとリズムセクションが出来たらベーストラックはもう不要なのでミュートします。
最後に、出来上がったオケを聴きながらヴォーカル(仮ではない本番録音)とソロパートを録りますが、そこは時間をかけて良いテイクを録りたいところですよね。
テイク選定・編集
レコーディングと打ち込みが完了したら、どのテイクを採用するか選定したり、各パートのタイミングを揃えたり、録音レベルの不揃いを修正したり、ノイズを除去したり、打ち込みを追加して細かいアレンジを作り込んだり、といった細かい作業をやって曲を仕上げていきますが、この編集作業は制作するものによって大幅に作業内容が変わります。
例えば、自分がYouTubeにアップしている演奏動画のようなものだと、タイミングや音圧・音量を弄ってしまうと映像を重ねた時に不自然になるので、編集に時間をかけるより、一発で良いテイクが録れるまで練習とリトライを繰り返したほうが良かったりしますので。
このように、どういう作業内容になるのかは、作るものによって異なってきますが、次のミキシングの下準備として細かい部分を整える作業になりますので、この工程が雑だとクオリティーの高い音源は出来ません。
ミキシング
レコーディングと打ち込みで作った素材を編集で整えたら、ミキシングをして曲をステレオ2chのトラックにまとめますが、だいたい以下のような作業内容になります。
- 各パートの音量バランス調整
- 各パートのPANの調整
- オートメーション(自動音量調整)を書き込んで各パート内の音量を調整
- EQで各パートの音質調整
- コンプレッサーで各パートの音圧調整
- 空間系エフェクトで各パートの奥行きと残響の調整
- その他のエフェクトの選定と調整
こういう作業をして全体のバランスを整えていくわけですが、とくに重要なポイントは、各パートの周波数(音の高さ)をバラけさせて音の分離を良くする事と、クリッピング(音量が大きすぎて音割れすること)しないように音量が突出した部分の音量を下げたりする事です。
そういう細かい作業をちゃんとやらないと、次のマスタリングの作業に支障が出て最初からやり直しになったりしますので。
マスタリング
マスタリングは、ミキシングでステレオ2chにまとめられた音源に最終的な処理をして音源を完成させる作業です。
具体的には、マルチバンドコンプレッサーで全体の音圧を調整したり、出すぎている周波数帯をEQで削ったりして、聴きやすく、前に出るようなサウンドにします。
以前は「マスタリングは素人では無理」と言われていましたが、今はマスタリング用のプラグインが進化していて、そういうプラグインをミキシング段階からマスタートラックに入れておけばミキシングと一体で作業できます。
以前は何十回も再生しながら、クリッピングぎりぎりのところに音量を調整する作業をやっていたものですが、現在は自動で音圧と音量を調整をしてくれるマスタリング用プラグインがあるので、物凄く楽になりました。
ミキシング・マスタリングのためには、なるべく良いモニター環境が必要ですので、モニタースピーカーやヘッドホンの選び方も重要になってきます。以下の記事も参考にしてください。
――以上、今回はDAWでの音楽制作の手順を駆け足で解説しましたが、大体の全体像は掴めたのではないでしょうか?
次回から、個別の作業を詳細に解説しようと思いますので、お楽しみに!
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