DAW(音楽制作ソフト)について【DTM・機材解説06】

前回はDTMに適したPC環境ということを考えてみましたが、今回はPCで動かすソフトウェア、その中でも音楽制作の中核を担うDAWについて解説します。

前回のDTM機材解説記事

DTM用のPC【DTM・機材解説05】
DTM・機材解説シリーズでは、今までヘッドホンやマイクなど音響機材を中心に扱ってきましたが、今回はDTMに適したPC環境ということを考えてみます。

DAWとは?

DAWはデジタル・オーディオ・ワークステーションの略語です。

1990年代まではPCで動かす音楽制作ソフトといえば、打ち込みに使うシーケンスソフト、レコーディングに使う録音ソフト、音の波形を編集する波形編集ソフトなどに別れていましたが、2000年前後から急激に高機能化・多機能化して、各ソフトが統合され、現在のような総合音楽制作ソフトへと進化してきました。

DAWでできる作業は、録音・音源編集・打ち込み・ミキシング・マスタリングと、音楽制作に必要な工程は全て網羅されています。

さらに最近は、動画配信の需要の増大から動画編集機能も統合されていたり、作曲やアレンジをサポートしてくれる機能が充実していたりと、その進化は凄まじいものがあります。

現在使われている代表的なDAWには、Cubase・Logic・Ableton Live・Studio One・Pro Tools・FL Studio・Ability・Cakewalkなどがあり、MacにはGarage BandというDAWが最初から入っています。

DAWの選び方

最初に言っておくと、今回紹介するような主流になっているDAWで出来ることはほぼ同じで、ソフトによって音質が変わるとか、基本的な機能が無い、ということはありません(Garage Bandは他より制約が多いですが)。

ソフトによって作業行程や操作体系は違いますが、最終的に同じようなクオリティーの音源を作ることができます。

でも、DAWの値段は無料~5万円以上とかなり差があるし、有料のものはバージョンアップにもお金を取られる場合が多いので、1年~数年おきに数万円の出費になったりして、ランニングコストにかなりの差があります。

では、何が違うのか?というと、使い勝手だったり、独自機能だったり、付属するプラグインやソフト音源だったりですね。

使い勝手や機能については、何か画期的なシステムが搭載されたDAWが出て人気が出ると、他社もこぞって似たような機能を付けて追従しあうので、結局今は何を使ってもそんなに変わらないんですが。

ただ、DAWは多機能なソフトなので、操作を覚えるのにも時間がかかり、一度習熟したソフトは長期で使うことになるので、最初に何を選ぶかで、その後の作業の快適さや、かかるコストが全く変わってきますので、ソフト選びはよく考えたほうがいいと思います。

無料のDAWもある

DAWはかつては高価なソフトでしたが、競争によって低価格化が進み、現在では無料で利用できるものもあります。

MacならGarage Bandが最初から付属しているし、WindowsにはCakewalkという最強の無料ソフトがあります。
Studio Oneの無償版でもかなりのことが出来ます。

それから、オーディオインターフェイスを買うと有料DAWの機能制限版がついてきたりします。

機能制限版でも同時編集可能なトラック数が減らされてるだけだったりするので、トラック数が少なくて済むジャンルの音楽ならそれで十分だったり。

自分は、将来的に基本的なDAWの機能は無料で利用できるのが標準になって、プラグインや追加機能にお金を払う、という形になると予測しています。

現在は過渡期に当たり、使用DAWによるコスト差が大きくなっている時期かと思います。

ちなみに自分はSONARを使っていたこともあって、SONARが無料化されたCakewalkを使っていますが、何も困ることはありません。
DAWが無料で済んでいる分、プラグインにお金をかけています。

代表的なDAW

では、代表的なDAWを一通り紹介していきます。

Cubase

CubaseはASIOドライバを開発したSteinberg社のDAWで、現在はYAMAHAが買い取って販売しています。

最先端の機能をいち早く搭載することで知られるDAWですが、WindowsとMac両方で使えることもあり、世界トップシェアを誇ります。

自分はCubase4~7の頃、少し使っていましたが、7で新しく搭載された独自機能の「コードトラック」はかなり気に入りました。
作曲するときにコード進行を管理しやすく、DAWがコードを提案してくれたり。

自分がメイン使用しなかったのは、USBドングルキーが鬱陶しかったのと、譜面打ち込みのやりずらさと、マルチディスプレイ時のウインドウの設置がやりにくかったこと(全部Cubase7の時点の話)が減点要素となりました。

YAMAHAがSOL(後述)の譜面入力をCubaseにそのまま移植してくれれば、メインDAWになっていたと思いますが。

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STEINBERG / Cubase
STEINBERG / Cubase

Logic

Macの主流DAWです。

もともとはドイツのC-Lab(Emagic)社が作っていた譜面製作ソフトが母体になって、Mac向けのDAWとして開発されるようになりました。

2002年にEmagic社がApple傘下に入ってからは、Apple純正DAWとして、上位版Garage Bandのような位置付けになっています。

当初はWindows版もあったようですが、Apple傘下になってからはMac専用ソフトになっています。

現在はダウンロード販売のみで、有料DAWとしては安めの価格に設定されています。

Garage Band

Apple社謹製のDAWで、MacシリーズのPCに最初から同梱されています。

初版は2004年ですが、Logicの開発スタッフが開発に関わっていて、Logicの体験版的なものになっています。

Garage Bandをあまり高機能にしてしまうとLogicが売れなくなる、という事情があると思うので、あまり機能アップは望めないかもしれませんね。

自分は実際に使ったことがないので詳しくはわかりませんが、Garage Band単体でも専用の組み込みプラグインを使ってソコソコのことはできるようですね。

Pro Tools

Avid社が開発するDAWで、WindowsとMac両方で使えます。

もともとはSound Designerという波形編集ソフトが母体になっていて、インターフェイスなどを含めたプロ向け音楽制作システムとして開発されていました。

ProToolsは長年、業界スタンダードの地位を占めてきました。

その理由は、1990年代からプロユースのスタジオ向けシステムとして販売されてきたため、音楽制作スタジオを中心にいち早く浸透し、個人向けのDTMが本格的に普及する段階で既にスタジオユースはほぼPro Toolsの独占状態にあった、という事情があります。

なので、2010年くらいまではスタジオ作業との互換性から「プロミュージシャンはProTools!」みたいな空気がありました。

現在では制作スタジオにもCubaseやLogicが浸透していますが、ProToolsもまだまだ高いシェアがあるし、主流DAWの一つという地位は揺るがないと思います。

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AVID / Pro Tools
AVID / Pro Tools

Ableton Live

2000年代に入ってから開発されたDAWで、MacとWindows両対応です。

Liveは従来のDAWと異なり、ループパターンを繋ぎ合わせて制作するスタイルに特化したDAWですね。

従来のDAWと同様の使い方もできますが、ループ編集に特化したセッションビューという画面が特徴で、とくにEDMなど、ループパターンで作曲する層に支持されています。

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ABLETON / Live
ABLETON / Live

Studio One

2009年頃から出てきた新興のDAWです。

DTM機器メーカーとしても有名なPreSonus社が開発していて、MacとWindowsの両対応。

無償版があり、有料版の価格も安めに設定されています。

無償版は他の有料ソフトの体験版より段違いに高機能で、インターネットで評判が広まって、とくに若い世代や初心者層を中心に支持を集めています。

Studio Oneの最大の特徴は、直感的に操作できるように設計された画面ですが、タブレットを子機として使えたり、先進的な機能を積極的に採用しています。

ネーミングは「一画面で完結できる」という意味合いと思いますが、全体として手間をかけずにスピーディーに曲を仕上げられるような設計思想で、ノートPCなど画面が小さい環境にも適していると思います。

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PRESONUS / Studio One
PRESONUS / Studio One

FL Studio

ベルギーのImage-Line社が開発しているWindows専用DAW。
その歴史は古く、初版が出たのは1997年です。

もともとはステップシーケンサーをベースに開発されたMIDIシーケンスソフトでしたが、徐々に多機能化して代表的なDAWの一つへと進化しました。

FL StudioはLiveと同じくループ系の制作を得意としていて、とくに海外のEDM系のアーティストに支持されていますが、Liveと比べて一般的なDAWに近い操作系で、そのへんは好みで選ぶといいと思います。

価格は安めの設定の上、一度購入すると恒久的に無償アップデートを受けることができるので、ランニングコストを安く抑えられます。

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IMAGE-LINE / FL Studio
IMAGE-LINE / FL Studio


――DAWはこの他にも色々とありますが、Cakewalk(SONAR)とAbility(Singer Song Writer)については、以下に書く「自分が使ってきたDAW」で紹介します。

自分が使ってきたDAW

今まで自分が使ってきたDAWをその使用感とともに紹介します。

仕事で使う場合もあるので、互換性の問題から一応CubaseやProTools、Liveも所持はしていますが、自分がメインで使ってきたDAWは主流から少し外れたものです。

YAMSHA SOL2

現在、YAMAHAはSteinbergを買収してCubaseを販売していますが、SOLはその前に自社開発していたWindows用のDAWです。

その昔、YAMAHAはXG音源というMIDI音源規格を開発・推進していて、1990年代にXGworksというMIDIシーケンスソフトを販売していましたが、それを多機能化してDAWにしたのがSOLです。

そしてVSTプラグインに対応した改良版のSOL2が2003年に発売されました。

自分は2005年にPCを買ってしばらく経った頃に、バンドのメンバーからSOL2のシリアルキーごと譲り受けたのがきっかけで、8年間ほどメイン使用してきました。

SOL2は自分が初めて使ったDAWですが、なぜこんなに長期間メイン使用したかというと、MIDIの譜面打ち込みと組み込みのプラグインが優秀で、他のDAWでは無理な体になってしまったからです。

他のDAWに音質で劣るということもなかったし、一通りのことは出来たので、そのままずっと使っていました。

使わなくなった理由は、WindowsXPがサポート終了ということで2013年にWindows8に更新したのですが、そしたらSOL2がまともに動作しなくなったため、仕方なくメインDAWを乗り換えることにしました。

でも、譜面MIDI入力に関しては、未だにSOLを超えるソフトは無いので、現在でも仮想環境でWindowsXPを動かして、打ち込みだけSOL2でやったりしています。

SONAR

SONARはCakewalk社が開発したWindows用のDAWで、日本ではローランドが2001年より販売していました。

その後、2013年にTASCAM・ギブソン(レスポールとか作ってる楽器メーカー)に移籍していますが、Windowsで動くDAWとしては2000年代から2015年頃までCubaseと人気を二分する主流派のDAWでした。

その後、ギブソンの経営不振に巻き込まれる形で2017年に開発終了になるのですが、シンガポールのBandLab社が買い取って開発が再開され、翌2018年には無料DAWの「Cakewalk by BandLab」として復活して現在に至ります。

自分はSOL2と平行してSONAR5→SONAR8をサブのDAWとして使用していて、SOLよりオーディオ編集やミックスダウン機能が優れていたので、仕上げはSONARでやることも多かったです。

上に書いた通り、2013年にメインDAWをSOL2から乗り換える必要が出てきたので、その時に色々なDAWを試して検討したんですが、結局それなりに使い慣れていて、オーディオ機能が優れるSONARをメインにすることにしました。

そして、その時最新版だったSONAR X3を購入して5年間ほどメインDAWとして使用していましたが、2018年にCakewalk by BandLabとして無料化されたので、それからはBandLab版を使っています。

Cakewalk by BandLab

2018年に無料化されたCakewalkですが、機能的には最上位グレードのSONARと同じものです。

今まで数万円払っていたのがなんだったの?というか、BandLabが太っ腹すぎますよね。

さすがにSONAR上位版にバンドルされていたプラグインは付属しませんが、SONAR X3に入っていたものはそのまま使えるので何の問題もありませんでした。

今でも年に数回アップデートされているし、もっと普及しても良さそうなものですが、これ、無料ということでPRに資金を割いていないために知らない人が多いだけかな。
BandLab社は何か思惑があるのかもしれませんが。

Cakewalkはネットの情報も少な目で、日本語サポートも期待できませんが、過去のSONARの情報はほぼそのまま適用できるし、自分で調べられる人はかなりコストを削減できると思います。

Cakewalk by BandLab ダウンロードサイト

Singer Song Writer・Ability

Singer Song Writerは、株式会社インターネットが開発する純国産DAWです。
現在はAbilityという名前になって開発・販売されています。

これも元々はSOLと同じくMIDIシーケンスソフトが母体になっているDAWなので、MIDIの譜面打ち込み機能に優れていて、SOL2の譜面入力の代替になるのはこれ以外無いということで、打ち込みのためにSinger Song Writer10を買いました。
譜面打ち込みはSONARもCubaseも使いづらいので。

買った当初はメインDAWとしての使用も視野に入れて使い倒すつもりでしたが、オーディオ機能はSONARのほうが良いと感じたし、肝心の譜面打ち込みも、結局は一から覚え直しになるのでSOL2ほどには快適に使いこなせず、どうにも中途半端であまり出番がありませんでした。

後から色々試して気が付いたんですが、MIDI打ち込みだけならPCの負荷もほとんど無い作業なので、仮想環境のWindowsXPで立ち上げたSOL2で全然出来てしまうんですよね。

しかし、現在WindowsのDAWでは譜面入力最強ソフトだと思うので、ピアノロールより譜面で打ち込みしたい人はこれを試してみると良いのではないでしょうか。

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INTERNET / Ability
INTERNET / Ability

その他のDAW

この他のDAWもいくつか持っていて、必要に応じて起動することもあります。
仕事関係でCubaseやProToolsを使ってる人が多くて、納品や修正依頼もそれらのプロジェクトファイルでやり取りする事もあるので、Cubase・ProTools・Liveも所持はしていますが、今はほとんど使っていません。
CubaseとProToolsは、ファイルが開けて最低限の作業が出来ればいいので、一番安いものをサポートが切れない程度にアップグレードしています。

Liveは少し前の製品版がありますが数回しか起動したことがなく、Studio Oneはどんなもんか無償版でたまに遊ぶくらいです。

DAWの選び方 まとめ

今回は色んなDAWを紹介しました。
こうしてみると代表的なものだけでも、種類が多くて迷いますよね。

最後に「自分だったらこうやって選ぶかな~」という、DAWの選び方をまとめておきます。

Macの人
GrageBandで不満が出たらLogicやCubaseに乗り換え

コストを抑えたい人(Windows)
Cakewalk・Studio One無償版

先進的な機能をいち早く使いたい人
Cubase・Studio One

正統派の操作系がいい人
Cubase・Logic・ProTools・FL Studio・Cakewalk

直感的な操作系がいい人
Live・Studio One

ループ中心の制作スタイルの人
Live・FL Studio

譜面で打ち込みしたい人
Ability・Logic

――今回はDAWの紹介と選び方を解説しましたが、今後、DAWの使い方やテクニック、プラグインや音源の解説、DAW以外のソフトウェアなど、DTM関連記事を作成して行きたいと思います!

【この記事の続き】
DAWによる音楽制作の基本

DAWによる音楽制作の基本【DTM・機材解説07】
久しぶりのDTM・機材解説の記事ですが、これからDAWを使った音源制作のやり方を解説していきます。今回はまず、DAWでやる作業の全体の流れを把握しましょう。

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