ソレア・ポル・ブレリア(以下、ソレポル)のファルセータ演奏は二回目ですが、前回はポル・アリーバ(Eスパニッシュ)でした。

今回は、 よりスタンダードなポル・メディオのものを演奏しています。
ソレア・ポル・ブレリア形式解説

ポル・アリーバとポル・メディオ
ミの旋法系の形式は、タラントなどの特殊なものを除くと、ほぼ、ポル・アリーバ(E)か、ポル・メディオ(A)で演奏されます。
アリーバとメディオの使い分けですが、慣用的に形式ごとに大体決まっています。
ポル・アリーバの形式
ソレア、カーニャ、ロマンセ、バンベーラ、ファンダンゴ、セラーナ&リビアーナなど。
ポル・メディオの形式
ソレポル、ブレリア、タンゴ、シギリージャなど。
この使い分けは、形式ごとの雰囲気(定型フレーズなんかも含め)だったり、よく歌われる歌の音域だったりでキーが決まっています。
あとはカポタストで歌い手の声の高さに調整します。
一般的にポル・アリーバのほうが柔らかい響きで、ポル・メディオだと硬質になります。
使われる頻度は大雑把に言って、7割くらいはメインとされるキーで演奏されますが、3割くらいは他のキーでも演奏される可能性があります。
形式により異なりますが。
前置きが長くなりましたが、ソレポルはポル・メディオでの演奏が一般的です。
そういえば、ソレポルはメディオのものをまだ演奏してなかったなぁ、というわけで今回はポル・メディオのソレポルです。
スペインではじめて習ったファルセータ
このファルセータは自分がスペインに行って最初のレッスンでファン・レケーナというマラガ出身のギタリストに習ったものです。
このとき自分は沖仁さんと同じアパートに住んでいて、二人でお金を半分ずつ出してギターレッスンを受けたのをおぼえています。
そのときは、沖さんも自分も駆け出しのギタリストで、沖さんがあれほど有名なギタリストになるとは想像もしていませんでした。
沖仁さんと一緒に受けたレッスン
自分は1996年の年頭からスペインにギター留学していますが、一足先にスペインに行っていた沖仁さんからアパートの部屋の空きがあるので入らないか?という話があり、それに便乗させてもらう形になりました。
確か、スペインに行ってすぐ、何のツテも無いので、とりあえず沖さんと一緒にカサ・パタスとかアモール・デ・ディオスとかに行って、出入りしていた中で上手いと思ったファン・レケーナに声をかけてレッスンの約束を取り付けた記憶があります。
ファン・レケーナに話をきくと、まだマラガから出てきたばかりで、これからギターの仕事を増やしたい、と言っていました。
スペインで最初に住んだアパートは賑やかだった
ちなみに、沖さんはその2ヶ月後くらいにセビージャに移りましたが、空いた部屋にやはりギタリストの西井つよしさんが入居したり(彼も1~2ヶ月でヘレスに移りました)、もう一人の西井さんの、西井顕二さんとは相部屋で1ヶ月くらい一緒に生活したり、向かいには関西のギタリスト松井高嗣さんが住んでたり、少し後に歌い手の近藤裕美子さんが住んだりとか、なにかと賑やかな場所でした。
よく考えられたコードワーク
そんなこんなで、想い出のあるファルセータですが、今弾いてもコードワークがよく考えられているな~、と思います。
モデルノ系のフラメンコでしか使わないようなコードが随所に出て来て、微妙な転調感を伴いながら進行します。
コンパス的には6コンパス目の10裏から入るレマーテが7コンパス目の2拍目に抜けてるのがミソですかね。
作ったのはファン・レケーナ本人なのか、結局よくわからないんですが、カッコいいので長年使ってます。
ファルセータはかなりの数おぼえましたが、20年以上生き残っているのは数少なく、これはそういう完成度が高いものの一つです。
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