モードとダイアトニックスケール【音楽理論ライブラリー09】

前回まで、音楽の成り立ちの基礎としてコード=和音と調性の事を中心に扱ってきました。

大雑把に言って音楽は以下の3つの要素で出来ています。

  1. コード(和音、調性)
  2. メロディー(旋律)
  3. リズム

今までは1つ目のコードの要素を中心にやってきました。

これから2つ目のメロディー要素を担う『スケール(音階)』を学習していきます。

メロディーは、コードをバラバラに弾いたアルペジオ(分散和音)で出来ている場合もありますが、主に音階を用いて作られます。

アルペジオも、スケールを1音飛ばしに弾いたもの、と捉えることもできますよね。

スケールにも色々な概念・用語があって混乱しがちと思います。

ダイアトニックスケール、ノンダイアトニックスケール、コードスケール、モードスケールなどですね。

今回から、これらについて学習していきます。

スケール(音階)の基本

ピアノの白鍵だけで弾いた、ドレミファソラシがCメジャースケール、ラシドレミファソがAナチュラルマイナースケールである、というのはこの講座の最初のほうでやりました。

メジャースケール・マイナースケールは西洋音楽の調性(メジャーキーとマイナーキー)を構成る最も基本的な要素です。

メジャースケール・マイナースケール以外にも、数多くのスケールが存在します。

スケールの中には7音階でないものもあるし、民族音楽系のスケールなどを入れるとかなりの数になります。

スケールの呼び名も、同じものに対して複数の名称があったりして混乱しがちです。

例えば、Cメジャースケールと、モードスケールの一つであるCイオニアンスケールは同じものですが、それを解釈する概念によって呼び方が変わったりするわけです。

スケールの構造

西洋音楽の調性のベースとなるメジャースケール・マイナースケールをはじめ、スケールは7音階のものが大多数を占めますが、その基本構造は以下の通りです。

1,3,5,7のコードトーン

2(9),4(11),6(13)のテンションノート

で、合計7音の音階となっています。

モード(旋法)とモードスケール

現代の音楽は複雑化し、メジャー・マイナーの概念だけでは対応しきれないケースが多く、もっと細分化された理論が必要になってくるのですが、そこで登場してくるのがモード(旋法)の概念です。

モードは教会旋法が基礎になっていて、その歴史はメジャー・マイナーの概念より古かったりするんですが、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンなどのジャズアーティストによって作曲・インプロビゼーションの方法論として、改めて提唱されたことで一般化しました。
以後、現代の主要な音楽理論として定着しています。

教会旋法=モードは7音階であるメジャースケール・ナチュラルマイナースケールを7つの独立した音階(モードスケール)に分けて、あらゆるコード進行に柔軟に対応しようというもので、具体的には7音階であるメジャースケールを7つに細分化したものです。
ドから始めた音階、レから始めた音階、という具合に。

以下にモードスケールの一覧を書きます。

度数表記に関しては
M2→2
P4→4
P5→5

3度,6度,7度はM(メジャー)m(マイナー)の表記を付けるという書き方で統一します。

ドから~イオニアン(1,2,M3,P4,P5,M6,M7)(=メジャースケール)

レから~ドリアン(1,2,m3,P4,P5,M6,m7)

ミから~フィリジアン(1,♭2,m3,P4,P5,m6,m7)

ファから~リディアン(1,2,M3,♯4,P5,M6,M7)

ソから~ミクソリディアン(1,2,M3,P4,P5,M6,m7)

ラから~エオリアン(1,2,m3,P4,P5,m6,m7)(=ナチュラルマイナースケール)

シから~ロクリアン(1,♭2,m3,P4,♭5,m6,m7)

これら7つの音階を指して『モードスケール』と呼ぶことがあります。

モードスケールは、このあと解説するメジャーキー・マイナーキー(ナチュラルマイナー)のダイアトニックスケールと同一のものですが『協会旋法から作られたスケール』ということで『モードスケール』という呼ばれかたもされるわけですね。

コードスケールの概念

『コードスケール』はコード単体に対して1対1で音階を対応させて、あらゆるコード進行や転調に対応できるようにする考え方です。

これにより、あらゆるコード進行でのメロディー生成・インプロビゼーションが可能になります。

ダイアトニックスケール

ダイアトニックコードに対応するコードスケールをダイアトニックスケールといいます。

ダイアトニックスケールには上で解説したモードスケールが含まれます。

メジャーキーならイオニアンがⅠコードに、マイナーキーならエオリアンがⅠmコードに、それぞれ対応します。

以下に各キーのダイアトニック・コードをあげていきます。

把握しやすいように全てC音をルートとしたキーで統一し、コードは1,3,5,7の4和音で記載します。

メジャーキーとナチュラルマイナーキーのダイアトニックスケールは、上で解説したモードスケールが用いられます。

Cメジャーのダイアトニックスケール

CM7 ⅠM7~イオニアン(1,2,M3,4,5,M6,M7)(=Cメジャースケール)

Dm7 Ⅱm7~ドリアン(1,2,m3,P4,P5,M6,m7)

Em7 Ⅲm7~フィリジアン(1,♭2,m3,P4,P5,m6,m7)

FM7 ⅣM7 ~リディアン(1,2,M3,♯4,P5,M6,M7)

G7 Ⅴ7~ミクソリディアン(1,2,M3,P4,P5,M6,m7)

Am7 Ⅵm7~エオリアン(1,2,m3,P4,P5,m6,m7)(=ナチュラルマイナースケール)

Bm7♭5 Ⅶm7♭5~ロクリアン(1,♭2,m3,P4,♭5,m6,m7)

Cナチュラルマイナーのダイアトニックスケール

Cm7 Ⅰm7~エオリアン

Dm7♭5 Ⅱm7♭5~ロクリアン

E♭M7 ♭ⅢM7~イオニアン

Fm7 Ⅳm7~ドリアン

Gm7 Ⅴm7~フィリジアン

A♭M7 ♭ⅥM7~リディアン

B♭7 ♭Ⅶ7~ミクソリディアン

Cハーモニックマイナーのダイアトニックスケール

ナチュラルマイナーから変化するコードのみ記載します。

CmM7 ⅠmM7~ハーモニックマイナー(1,2,m3,4,5,m6,M7)

E♭M7♯5 ♭ⅢM7♯5~イオニアン♯5(1,2,M3,4,♯5,M6,M7)(リディアンオーギュメントでもok)

G7 Ⅴ7~ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウ(1,♭2,M3,P4,P5,m6,m7)(以下HMP5B)

Bdim7 Ⅶdim7~オルタード♭7(1,♭2,♯2,M3,♯4,♯5,6)(ディミニッシュスケールでもok)

Cメロディックマイナーのダイアトニックスケール

CmM7 ⅠmM7~メロディックマイナー(1,2,m3,4,5,M6,M7)

Dm7 Ⅱm7~ドリアン♭2(1,♭2,m3,4,5,M6,m7)(メジャーキーへの一時転調としてドリアンでもok)

E♭M7♯5 ♭ⅢM7♯5~リディアンオーギュメント(1,2,M3,♯4,♯5,M6,M7)

F7 Ⅳ7~リディアン7th(1,2,M3,♯4,5,M6,m7)

G7 Ⅴ7~メロディックマイナーパーフェクト5thビロウ(1,2,M3,4,5,m6,m7)

Am7♭5 Ⅵm7♭5~オルタードドリアン=スーパーエオリアン(1,2,m3,4,♭5,m6,m7)(ロクリアンでもok)

B7♭5 Ⅶ7♭5~オルタード=スーパーロクリアン(1,♭2,♯2,M3,♯4,♯5,m7)

――次回はノンダイアトニックなコードスケールを学習します!

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