転調について考える【音楽理論ライブラリー08】

音楽理論ライブラリーでは前回、メインのキーから少しだけ外れて臨時記号が混じる「一時的転調」=ノンダイアトニックトニックコードの活用という内容をやりました。

今回は、もう一歩進めて「本格的転調」ということを考えてみます。

臨時記号として発生した♯や♭が付いた苧とを、そのキーのノンダイアトニックノートとして捉えるより「ベースになっているキーが変わって別のキーに移行している」と解釈したほうが良い場合です。

本格的転調は譜面でいうと調号が改めて指定されるようなケースです。

一時的転調的と本格的転調の判断

採譜した曲をアレンジするためにキーの流れの分析が必要になることが多いんですが「一時的転調」か「本格的転調」かで判断が難しいことがあります。

コード進行の中で関係調をはじめとした他の調のコードが混じることは頻繁にありますが、それを「本格的転調」ととるか、あるいは「一時的転調=調のゆらぎ」として、同一キーのノンダイアトニックノートとして処理するかは、転調区間の長さだったり、メロディの動きだったり、分析する人の考えかたなどでも変わっててきます。

各自どこかで線引きするわけですが、自分の場合は臨時記号付きのコードが出てきた時に以下の可能性を考えます。

  1. ハーモニックマイナー・メロディックマイナーのダイアトニックコード
  2. セカンダリードミナントとⅡ-V
  3. 同主調など関係調からのコード借用
  4. パッシングディミニッシュ
  5. ノンダイアトニック系代理コード
  6. ドミナント7th化されたコード
  7. 裏コード
  8. 半音上や下からのアプローチコード
  9. ディミニッシュ(ディミニッシュ7th)コードの短3度、半音、全音ズラし(コンディミの解釈)
  10. オーギュメント(オーギュメント7th)コードの全音ずらし(ホールトーンでの解釈)
  11. 経過音的ベース音を含むオンコード
  12. 経過音的内声を含むコード

これらは前回解説したものですが、自分はこれらに当てはまらないものは全て「本格的転調」と捉えて分析しています。

あと、これは微妙な判断になりますが、上記の解釈が可能なものであっても、感覚的にⅠコードが変化していると感じたら本格的転調と考えて分析しています。

関係調への転調

同じ本格的転調でも、関係調への転調と関係調外への転調ではその性質が若干異なります。

関係調と短3度転調については「音楽理論ライブラリー第2回」で解説しました。

関係調への転調であれば、スムーズでさりげない感じになるので、それなりの区間にわたって転調状態が続かないと本格的転調という感じになりません。

短3度転調に関しては、同主調がらみの一時的転調も多いのでケースバイケースで判断します。

関係調以外の転調

関係調以外への転調は明らかな転調感を伴うので、例え1小節でも本格的転調と捉えたほうが良い場合が多いです。

よくある例で、同じ構成のコードが半音・全音・短3度などの間隔で上行・下行してどんどん転調していくものがありますが(ディミニッシュ短3度ずらしとオーギュメント全音ずらしは除く)、こういうのは例えコードひとつ分のサイズであっても独立した調へ転調していると考えたほうが良いでしょう。

以下に関係調以外への転調を一通り解説します。

半音転調(長7度転調)

半音上(短2度)または半音下(長7度)への転調。

Cメジャーキーを基準にすると、D♭メジャーキー(上へ行った場合)、Bメジャーキー(下へ行った場合)が該当します。

ポップス系の歌モノに多いですが、終盤にリフレインを半音上げて繰り返したりする手法が代表的です。

調号が5つ変わるのでコードの互換性はほぼ無くなりますが、メロディーなどがシンメトリーな動きになることが多いし、ギターだと1フレットずらせば良いので把握は楽です。

全音転調(短7度転調)

全音上(長2度)または全音下(短7度)への転調。

Cメジャーキーを基準にすると、Dメジャーキー(上へ行った場合)、B♭メジャーキー(下へ行った場合)が該当します。

半音転調と同様の使われかたもしますが、半音転調よりはシンメトリーな手法の比率は下がる印象です。

調号2つの変化なのでコードの互換性もそこそこあって「準関係調」と言えるかもしれません。

長3度転調(短6度転調)

短3度転調は同主調転調とほぼ同じ効果ですが、こちらの長3度転調は全然関係ない調への転調という感じになります。

Cメジャーキーを基準にすると、Eメジャーキー(上へ行った場合)、A♭メジャーキー(下へ行った場合)が該当します。

譜面上では調号4つの変化になります。

半オクターブ転調(減5度・増4度転調)

裏コードは半オクターブのドミナントコード代理関係ですが、半オクターブ転調は「裏キー」とも呼べるものです。

Cメジャーキーを基準にすると、G♭メジャーキー(=F♯メジャーキー)が該当します。

調号6つの変化でコードの互換性は全くなくなるし、かなりぶっ飛んだ感じになります。

なお、半オクターブ転調以外は上にいく場合と下に行く場合で印象も変わってきますが、半オクターブ転調は上に行っても下に行っても同じ結果になります。

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ノンダイアトニックコード【音楽理論ライブラリー07】
音楽理論ライブラリー第7回はノンダイアトニックコードです。音楽の中で臨時記号がついた場合、転調も考えられますが、今回は同じキーで処理できるコードの解説です。

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