ノンダイアトニックコード【音楽理論ライブラリー07】

音楽理論ライブラリーでは前回、ダイアトニックコードとドミナントモーションなどの基本的なコード進行をやりました。

今まで、ハーモニックマイナー・メロディックマイナーという例外はありましたが、臨時記号や転調を含む内容は扱ってきませんでした。

実際の曲では臨時記号が付いたり転調したりして、ダイアトニックから外れる音やコードが頻繁に出てきますが、これらをノンダイアトニックトーン、ノンダイアトニックコードと呼びます。

このノンダイアトニックな音をどう解釈するかが、音楽を理解する上で重要かつ難しいポイントです。

臨時記号入りのコードの解釈

臨時記号として♯や♭がついた音を含むコードの解釈ですが、大別すると以下の2つになります。

  1. 「本格的転調」=他のキーのダイアトニックコードという解釈
  2. 「一時的転調」=そのキーの範囲でのノンダイアトニックな代理コード・経過コードという解釈

この2つのどちらでも解釈できる場合が多いですが、臨時記号が入る部分の長さ(一般的には長いと本格的転調として調号をふり直す)や前後の関係で判断します。

今回は、1.の本格的転調は考慮せず、2.の同じキーの中でのノンダイアトニックコードということを学習しましょう。

以下に、よく使われるノンダイアトニックコードをあげていきます。

セカンダリードミナント

ノンダイアトニックコードで代表的なのがセカンダリードミナントです。

前回、ドミナントモーションを解説しましたが、セカンダリードミナントはⅠコード以外のコードに対してドミナントモーションをかけるものです。

次のコードを5度上(=4度下)のドミナント7thコードで補強・強調する効果があります。

例えばCメジャーキーなら以下のようなものがあります。

  • D7→G7のD7(Ⅱ7)
  • A7→Dm7のA7(Ⅵ7)
  • E7→Am7のE7(Ⅲ7)

解決先のコードをⅠと数えてⅤ7がセカンダリードミナントになります。

多重ドミナントモーション

ドミナントモーションの拡張版として、二重三重にドミナントモーションをかけることもあります。

例えば、上で挙げたセカンダリードミナントでの例を二重ドミナントモーションにするとこんな感じになります。

  • A7→D7→G7
  • E7→A7→Dm7
  • B7→E7→Am7

解決先のコードをⅠと数えてⅡ7→Ⅴ7となります。

ツーファイブ進行

ジャズ系の音楽ではあるコードを修飾・強調するとき、二重ドミナントモーションになるⅡ7→Ⅴ7も使いますが、いわゆるツーファイブ(Ⅱ-Ⅴ)と呼ばれる形を多用します。以下のような形です。

  • Ⅱm7→Ⅴ7(メジャーツーファイブ)
  • Ⅱm7♭5→Ⅴ7(マイナーツーファイブ)

Cメジャーキーを例にすると、解決先がG7なら、Am7→D7→G7。

解決先がDm7なら、Em7♭5→A7→Dm7。

解決先がAm7なら、Bm7♭5→E7→Am7という形になります。

同種調コードの活用

これは今回やっている「一時的転調」と次回学習する「本格的転調」とのボーダーライン上のものと思いますが、同じルートを持つ同主調のダイアトニックコードなどを活用するのは非常によくやられる常套手段です。

例えばCメジャーキーで、E♭M7、Fm7、Gm7、A♭M7、B♭7といったコードがかなりの頻度で出てきますよね?一瞬切ない感じになるアレです。

同主調コードの活用もあまり長いサイズだと「本格的転調」として調号を変えてしまったほうが良い感じになってきますが、数小節くらいまでのサイズだと「一時的転調」と言えます。

同主調コードの活用について「同系統のコード機能のコード」は完全な代理コードでは無いものの、一定の互換性があって、差し替えることで曲に広がりが出たりします。

ちなみに「同系統のコード機能」というのは以下の組み合わせになります。

  • トニック(T)とトニックマイナー(TM)
  • ドミナント(D)とドミナントマイナー(DM)
  • サブドミナント(SD)とサブドミナントマイナー(SDM)

同主調コードはメジャーキーの中で同ルートのマイナーキーのコードが出てくる場合が圧倒的に多いですが、逆にマイナーキーの中で同ルートのメジャーキーのコードが出てくると、独特の浮遊感があって面白い効果を生みます。

ディミニッシュコードの活用

ディミニッシュコードは短3度音程のみで構成される特殊コードで、短3度で平行移動が可能です。

例えば、Cdim=E♭dim=G♭dim=Adimという感じで、これらの中身は同じコードになります。

また、ドミナント7thコードのルート音を半音上げると、ディミニッシュコードになるので、ドミナント代理として使われます。

パッシングディミニッシュ

パッシングディミニッシュは、ディミニッシュコードのこういう特性を利用して、ドミナント進行(5度進行)などをディミニッシュで代理して半音進行に置き換えるものです。

例えば、CM7→Dm7→Em7という順次進行をCM7→D♭dim→Dm7→E♭dim→Em7として半音進行にできます。

また、ドミナント代理の働きを利用して5度進行にも適用可能です。

例えば、G7→E7→Amという進行を、G7→G♯dim→Amというふうに置き換えることができます。

オーギュメントコードの全音ずらし

上に書いたように、ディミニッシュコードは短3度間隔でずらす事が可能ですが、オーギュメント(またはオーギュメント7th)コードは全音(長2度)間隔でずらす事が可能です。

まず、オーギュメントコードは全ての構成音が長3度間隔で構成されているので、長3度間隔でずらすことが可能です。

例えば、Caug=Eaug=G♯augということで、この3つは同じコードになります。

さらに、長3度を2等分した全音(長2度)に細分化して「ホールトーン(全音階)で構成されたコード」であると解釈すると、キーを変えずに全音(長2度)間隔でずらすという事が可能になります。

例えば、Caug7=Daug7=Eaug7=F♯aug7=G♯aug7=A♯aug7となります。

裏コード

ドミナント7thコードには「裏コード」と呼ばれる代理コードが存在します。

これは半オクターブ上(♭5,♯11の音程で、下に行っても同じ音程)のドミナント7thコードで、Cメジャーキーでいうと、G7(Ⅴ7)とD♭7(♭Ⅱ7)などが裏コード関係になります。

G7とD♭7はどちらもCコード(Ⅰ)に対するドミナントになります。

G7→Cという5度進行をD♭7→Cという半音下降進行に置き換えるわけですね。

逆に、半音進行→5度進行という変換も可能です。

裏コードは、セカンダリードミナントなど、ドミナント進行しているドミナント7thコードには全て適用可能なので、裏コードを考慮に入れると、そのキーで利用できるコードの範囲は一気に広がります。

ドミナント7th化されたコード

あらゆるタイプのコードをドミナント7th系コードに変換することができます。

ドミナント7th化は、セカンダリードミナントとして使われる場合が多く、その場合はコード機能はドミナントになりますが、ブルースで使うⅠ7(T)、Ⅳ7(SD)や、マイナーキーのⅣ7(SD)など、使われ方によっては他のコード機能になることもあります。

半音アプローチコード

半音アプローチはドミナントモーションに似た働きのものですが、強調したいコードの半音上または半音下からアプローチしているコードです。

普通は目標コードと同じコードタイプの半音上か下のコードを使い、その直後に半音で目標コードに解決させます。

例えばAm7に半音アプローチする場合、上から行く場合はB♭m7→Am7、下から行く場合はG♯m7→Am7となります。

ギターだと、同じ形でフレットずらせば良いので楽ちんですよね。

その他のノンダイアトニック代理コード

上にあげたようなノンダイアトニックコード以外にも、慣用句的にそのキー内の代理コードとして使われるノンダイアトニックコードがあるので、一般的なものをあげておきます。

♭ⅡM7(SDM)いわゆるナポリコード
Ⅲm7♭5(SD)
ⅣmM7(SDM)
♯Ⅳm7♭5(SD)
♭Ⅵm7(SDM)
♭ⅦM7(SDM)

――今回は臨時記号が付くコードの解釈を学習しましたが、次回は今回扱わなかった「本格的転調」についてやります。

音楽理論ライブラリー 前回

ダイアトニックコードと基本的なコード進行【音楽理論ライブラリー06】
音楽理論ライブラリー第6回は、ダイアトニックコードと基本的なコード進行を学習します。ダイアトニックコードは長調・短調の基本パーツとなるコードです。

音楽理論ライブラリー 次回

転調について考える【音楽理論ライブラリー08】
音楽理論ライブラリー第8回は、転調についてです。前回は一時的転調ということでノンダイアトニックコードなどを学習しましたが、今回は調号が変わるようなケースです。

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