親指奏法【Webで学ぶフラメンコギター07】

今『Webで学ぶフラメンコギター』では、フラメンコギターの右手のテクニックを中心に解説を進めています。

前回までにアルペジオ奏法、音階奏法(ピカード奏法)をやりましたが、今回は右手親指を駆使した奏法の解説をします。

フラメンコギターでは右手親指が大活躍

フラメンコギターでは、クラシックギターなどと比べて右手親指の使用比率が高いです。

とくにヒターノのギタリストに多いんですが、ほとんどアルペジオ奏法や音階奏法を使わずに、親指奏法とラスゲアードのみで通すスタイルの人も珍しくありません。

親指奏法はゴルペ奏法との併用やアルサプアなど、特殊な動きをするものが多いので、フラメンコギターをマスターする上では大きなポイントとなります。

親指の爪の削り方

親指の爪は、手の甲側から見て左側を短く削りますが、親指スケールやアルサプアで弦が当たる角度に沿って削るようにします。

そうすると弦と親指の爪が当たる面積が大きくなって、しっかりした音が出せます。

親指奏法の基本フォーム

親指奏法のフォームは、アルペジオやピカードの形から、少しだけ手首を前に押し出して、弦に対して親指を立てるように弾きます。

その形で、力を抜いて手首のスナップと親指の第3関節(手首の中にある親指の根元関節)を使って素早く親指を上下動させて弾いていきます。

例え遅いテンポでも、ある程度の速さで親指を振るのがリズム感良く演奏するコツです。

フォームを安定させるために、1弦の上にimaを置いて支えをとりますが、高音弦を弾くときやストロークで和音を弾くときはimaは1弦から放れて宙に浮いた状態になります。

親指奏法1
親指奏法の基本フォーム

アルサプアやストローク時のフォーム

アルサプア奏法や、複数弦を一気に弾く親指ストローク奏法など、ストロークのスピードと、音の強さが必要な場面では、上の基本フォームからさらに右手首を前に出して、親指の角度をきつくして、弦と垂直に近い角度で当たるようなフォームで弾きます。

この形で脱力して弾きますが、親指がブレないように、少し親指の根元付近に力を入れておくイメージです。

親指奏法2
アルサプアや親指ストロークのフォーム

親指による単音奏法

クラシックギターなどでは右手親指はベースライン担当で、高音弦を親指で弾くことはほとんどありませんが、フラメンコギターでは親指でメロディーを弾くことも多く、普通に全音域を親指で弾きます。

親指の単音奏法は、原則的にアポヤンドのダウンストローク(ピック奏法でいうとダウンピッキング)でスケール(音階)やアルペジオ(分散和音)を弾きます。

ギタリストによっては、親指のアップストローク(アルライレ)も使うこともあります。

ピック奏法でいうところのオルタネイトピッキングの要領で、上下ストロークで交互に弾くと親指だけで細かい音符が出せます。

複数弦ストローク奏法

親指のストロークで、弦を何本かまとめて一気に弾く奏法です。

ダウンストロークが中心になりますが、アップストロークを使って複数弦を弾く場合もあります。

コードを出すことになるので、コードプレイ・リズムプレイの一環としてラスゲアード系のテクニックに絡めたりもします。

他に、コード感を出すためにフレーズの頭に入れたり、親指スケールの途中で入ったり、アルペジオやピカードに絡めたりと、どこでも入ってきます。

軽めに弾いてもかなり音量が出るので、力む必要はありません。

imaを絡めた親指奏法

親指奏法にimaの音を修飾音的に絡める弾きかたです。

pとiでやるpi奏法や、親指奏法の合間にmiやamiでのアルペジオ・トレモロを絡めるわけですが、フレーズ的に第5回のアルペジオ奏法解説の時にやった『親指でメロディーを出すアルペジオ』と近いものになってきます。

アルペジオ系奏法との違いをはっきりさせるなら、こちらの奏法のほうがimaの使用比率が低く、上で紹介したような、弦に対して親指を立てて弾くフォームで弾きます。

親指奏法とゴルペ奏法のコンビネーション

親指奏法をするときは、ほぼ必ずと言って良いほどの頻度でゴルペ奏法と組み合わせて弾かれます。

ゴルペ奏法は、指先や爪でゴルペ板を打撃する奏法の総称です。

親指奏法にゴルペを絡めるときは、親指アポヤンドや親指のストロークと同時に右手薬指の爪や指の腹で、ボディー下側のゴルペ板を叩きます。

慣れないと難しい動きに感じますが、慣れれば体が勝手に動くなるようになります。

ベーシックなマルカールのパターンにも親指+ゴルペの動きがかなり組み込まれているので、フラメンコギターを弾くために基本的かつ重要なテクニックです。

ゴルペ奏法の使い分け

ボディの下側を叩くゴルペ奏法には主に右手薬指を使いますが、爪で叩く場合と、指の腹で叩く場合があり、それぞれ得られる音質や効果が異なります。
この使い分けは原則的に以下の通りになります。

ゴルペと他の音を同時に出すとき

aの爪でゴルペします。
他の音と混じってもゴルペの打撃がはっきりと伝わります。

ゴルペ単体で打つとき

aの指の腹でゴルペします。
主に間をとったり、休符を表現したりする感じでゴルペのみ出す場合がありますが、指の腹で低い音を出したほうがマッチする場合が多いです。
この音は生音ではそんなに聴こえなかったりしますが、マイクで拾うとベースドラムやカホンの低音のような効果を発揮します。

アルサプア奏法

アルサプア奏法は親指系テクニックのラスボス的なもので、親指アポヤンド、親指ダウンストローク、親指アップストローク、ハンマリング、プリング、ゴルペ、セコのラスゲアードなどを組み合わせたフラメンコ独特の奏法です。

低音弦中心に親指でブリブリやるアレですね。

基本の動きは

  1. pダウンストローク(和音)
  2. pアップストローク(和音)
  3. pアポヤンド(単音)

というものですが、3.の単音アポヤンドから始まる事も多いし、左手のハンマリング・プリングが絡んだりして、色んなバリエーションがあります。

また、アルサプアは必ずといっていいほど、ゴルペと併用しますが、ダウンストロークか親指アポヤンドと同時にaの爪でゴルペするパターンが大多数です。

アルサプアのコツ

アルサプアは瞬発力がいるテクニックなので、力を抜いて手首のスナップの動き(主にストローク)と親指第3関節(主にアポヤンド)を使って弾きます。

親指の爪の一番長い部分がちゃんと弦に当たるようにして、力みすぎないように軽やかに弾いていくのがコツですが、最初は親指ストローク→親指アポヤンドの切り替えが難しく感じると思います。

また、テンポキープする上で左手のハンマリング・プリングもしっかり音を出すことが重要になるので、左手も鍛える必要があります。

親指奏法まとめ

今回はフラメンコギターの親指奏法を解説しましたが、アルペジオやゴルペなどと組み合わせたり、アルサプアは複数の技巧が組合わさったものだし、一言で親指奏法と言っても、複合的な動きになる事が多いです。

まずは一つ一つのアクションを分解して、それぞれの基本動作を十分に練習しましょう。

そして、全てのアクションを上で紹介した親指奏法のフォームから繰り出せるよう訓練していくのが、親指奏法上達の道です。

次回はフラメンコ奏法の象徴であるラスゲアード奏法を解説いたします!

Webで学ぶフラメンコギター 前回

ピカード奏法【Webで学ぶフラメンコギター06】
Webで学ぶフラメンコギター 第6回は音階奏法の解説です。フラメンコでは『ピカード奏法』という速弾きがありますが、それも含めた音階奏法全般を掘り下げます。

Webで学ぶフラメンコギター 次回

ラスゲアード奏法【Webで学ぶフラメンコギター08】
Webで学ぶフラメンコギター 第8回はラスゲアード奏法に代表されるリズム奏法全般を解説します。とくに踊り伴奏では9割がリズム奏法なので、極めて重要なものです。

コメント