ソレア・ポル・ブレリア(以下、ソレポル)のファルセータ演奏は2回目ですが、前回はポルアリーバ(Eスパニッシュ調)のものでした。
今回は、 よりスタンダードなポルメディオのものを演奏しています。
ソレア・ポル・ブレリア形式解説
ポルアリーバとポルメディオ
ミの旋法系の形式は、タラントなどの特殊なものを除くと、ほとんどがポルアリーバ(Eスパニッシュ調)か、ポルメディオ(Aスパニッシュ調)のどちらかで演奏されます。
ポルアリーバとポルメディオの使い分けですが、形式ごとに大体決まっています。
ポルアリーバの形式
ソレア、カーニャ、ロマンセ、バンベーラ、ファンダンゴ、セラーナ&リビアーナなど
ポルメディオの形式
ソレポル、ブレリア、タンゴ、シギリージャなど
この使い分けは、形式ごとの雰囲気や、よく歌われる歌の音域でキーが決まっていますが、絶対のものではなく、ポルアリーバの形式をポルメディオで演奏したり、その逆もあります。
実際の演奏では、カポタストを使って歌い手の声の高さに調整しますが、男性歌手と女性歌手で元のキー(ポルアリーバか?ポルメディオか?)が変わってくることもあります。
そして、ポルアリーバとポルメディオでは同じ形式を演奏してもかなり雰囲気が変わります。
一般的にポルアリーバのほうが柔らかい響きで、ポルメディオだと硬質な響きになり、どちらかというとポルアリーバは「重厚感」、ポルメディオは「軽快さ」を表現するのに適しています。
前置きが長くなりましたが、ソレポルはポルメディオでの演奏が一般的です。
そういえば、ソレポルはポルメディオのものをまだ演奏してなかったなぁ、というわけで今回はポルメディオのソレポルを演奏する事にしました。
スペインではじめて習ったファルセータ
このファルセータは自分がスペインに行って最初のレッスンでファン・レケーナ(Juan Requena)というマラガ出身のギタリストに習ったものです。
この時、自分はギタリストの沖仁さんと同じアパートに住んでいて、2人でお金を半分ずつ出してギターレッスンを受けたのをおぼえています。
当時は沖さんも自分も駆け出しのギタリストで、沖さんがあれほど有名なギタリストになるとは想像もしていませんでした。あ、自分のほうは今でも駆け出しのギタリストか(笑)
沖仁さんと一緒に受けたレッスン
自分は1996年の年頭からスペインにギター留学していますが、一足先にスペインに行っていた沖さんからアパートの部屋の空きがあるので入らないか?という話があり、それに便乗させてもらう形になりました。
確かスペインに行ってすぐ、何のツテも無いので、とりあえず沖さんと一緒にカサ・パタスとかアモール・デ・ディオスとかに行って、出入りしていた中で上手いと思ったファン・レケーナに声をかけてレッスンの約束を取り付けた記憶があります。
ファン・レケーナに話をきくと、まだマラガから出てきたばかりで、これからギターの仕事を増やしたい、と言っていました。
スペインで最初に住んだアパートは賑やかだった
ちなみに、沖さんはその2か月後くらいにセビージャに移りましたが、空いた部屋にやはりギタリストの西井つよしさんが入居したり(彼も1、2か月でヘレスに移りました)、もう一人の西井さんの、西井顕二さんとは相部屋で1か月くらい一緒に生活したり、向かいには関西のギタリスト松井高嗣さんが住んでたり、少し後に歌い手の近藤裕美子さんが住んだりとか、なにかと賑やかな場所でした。
ファルセータ解説【ファン・レケーナ】
そんなこんなで思い出のあるファルセータですが、今弾いてもコードワークがよく考えられているなー、と思います。
モデルノ系のフラメンコでしか使わないようなコードが随所に出て来て、微妙な転調感を伴いながら進行していきます。
コンパス的には6コンパス目の10裏から入るレマーテが7コンパス目の2拍目に抜けてるのがミソですかね。
作ったのはファン・レケーナ本人なのかハッキリしないんですが、カッコいいので長年使っています。
フラメンコギターを始めてからかなりの数のファルセータをおぼえましたが、20年以上生き残っているものは数少なく、このファルセータはそういう完成度が高いものの一つです。
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