一昨日、2018年7月14日に録音したものですが、簡単に編集・ミキシングしたのでアップいたします。
曲自体は2004年から2005年頃に作ったもので「そのうち録音したいな」と思っていたものの、長らく放置してしまっていました。
仕事で他人の録音や制作はしていても、自分のものまで手が回っていない状況がずっと続いていましたが、今回、13年の時を経てようやく形にできたわけです。
フラメンコギターの活動の一つとして、これから、こういう自作ファルセータを曲にまとめて録音して残していく、という取り組みをしていきたいと思います!
内容的には挑戦的な作り(2021年3月追記)
この曲と同時期に録音・発表した「Tango de Azul」「Memoria」(ソレア・ポル・ブレリア)は個別ファルセータの集合体という感じで、ノーマルなフラメンコの枠内でやっていますが、この「Individual Flamenco」に関しては、ブレリアのリズムを使っているものの、ファルセータ単位ではなく「オリジナル曲」としてゼロから創作したもので、自分としてはかなり挑戦的な作りになっていると思います。
具体的には、フレージングやコードが変化するタイミングが、普通のブレリア感覚から逸脱するようになっている所が多いです。
そして調性ですが、下記のように目まぐるしく転調しています。
Aマイナー
↓
ポル・タラント(F♯スパニッシュ)
↓
ポルアリーバ(Eスパニッシュ)
↓
Aマイナー
この曲は、試行錯誤しながら1年くらいかけて作った記憶があります。
YouTube版MVアップしました(2019年2月6日追記)
YouTube向けにMV(ミュージックビデオ)化したものをアップしました。
動画化するにあたり、テーマが難しくて、どういうイメージでいこうかちょっと悩みました。
この曲を作ったとき考えていた事
この曲の母体になった部分を作った時は、フラメンコポップのグループ「Galeria Rosada」を構想していた時期にあたり、「日本人としての自分、自分なりのフラメンコ」ということを考えていました。
――スペインに留学して以降「自分が専門家としてフラメンコをやる意味」ということに対して葛藤していた時がありました。
フラメンコの本拠地スペインでは、非常にすぐれた無名のアーティストがたくさんいて、しかもアマチュアでやっていたり。
当時はスペインと日本とでは、技術的なレベルも全く違いました。
日本に帰ってから、現状こんなに未熟な自分がプロギタリストとして「これが自分の芸、音楽です」ということを押し出していく、という事に自信を持てなくなってしまって悩みました。
それでもフラメンコギターをもっと上手く演奏できるようになりたかったので、スペイン人アーティストの来日公演に行っては録音して帰り、少しでも彼らのやっていることに近づこうと、ひたすらコピーする、ということを数年間やっていました。
その期間200以上のファルセータや伴奏パターンをおぼえて、自分のライブや伴奏の仕事にも実用して、それらは今の自分のギタリストとしての基礎にもなっているので、やった意味は十二分にあったと思います。
しかしそれだけでは、感じている葛藤を払拭できるものではないこともだんだん理解してきました。
スペイン人のやるフラメンコは素晴らしいし、もしかしたら自分には一生かかっても手が届かないものなのかもしれません。
でも、それはそれで一つのテーマとして持っておいて「自分が元から持つものとフラメンコの融合点があるはずなので、そこを追及して研ぎ澄ましていこう」という考えも、葛藤の末に生まれてきました。
そういう思考の過程で生まれたのが、この曲「Individual Flamenco」であり、「Galeria Rosada」の楽曲であり、今やっているゲーム音楽ソロギター演奏であったりするわけです。
まぁ、正解なんか無くて「それぞれやりたいことをやりたいようにやればいい」と思いますが、自分はそんな道筋を辿ってきました。
まだ道半ばもいいところだし、むしろここ10年くらいは逆走してる感すらあったし、ずっと悪戦苦闘が続いてますが。
そういうわけで、今回の動画テーマは「葛藤」と「前進」です。
道は見えてるはずなのに
なかなか前へ進むことができない模索の旅
そんなイメージの曲です。
演奏動画版
「Individual Flamenco」で使用しているファルセータを演奏動画化してオリジナルファルセータとしてYouTubeにアップしています。
各動画の記事内で、それぞれのファルセータについて解説していますので、ご覧いただければと思います。
「Individual Flamenco」前半部分の演奏動画
「Individual Flamenco」後半部分の演奏動画
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