楽曲分析・アナライズ【音楽理論ライブラリー12】

この講座ではこれまで11回にわたって、キーの成り立ち、コード、スケールなど、音楽の基本的な構成要素を解説しました。

これから今までの知識を使って、応用的なことを学習していきます。

楽曲分析=アナライズとは何か?

今回は『楽曲分析=アナライズ』です。
作曲の意図を読み取り、音の意味するところを理解する、という作業ですが、分析ができなければ、アレンジ(編曲)もアドリブ演奏も感覚のみでやることになり、行き詰まりやすくなります。

楽曲分析はコード進行分析が中心になり、キーの流れの把握が主な作業ですが、モードや特殊なスケールによって作られているものもあるので、モードスケール・コードスケールも含めた総合的な知識が求められます。

キーを把握しよう!

上で述べた通り、コード分析のメインはキー(調性)の把握です。

キーの把握とは、その部分のⅠコードまたはⅠmコードを特定して、コード進行を度数(=ディグリー。キーのルート音から何番目の音の上に積まれたコードか?ということ)で理解するということです。

キーは曲全体に及んでいる場合もあるし、一部のセクションだけに限定されている場合もありますが、原則的には下記のものが、その曲全体のキー(主調)として扱われることが多いです。

  • 曲のメインテーマやAメロ出だしのキー
  • 曲の最後に終止するキー
  • 曲中で最も使用比率が高いキー

シンプルな曲だと最初から最後まで一つのキーなこともありますが、複雑な曲になると、調性が微妙に揺らぎながら進行するのでキーの判別が難しいです。

キー把握の重要性

キーを把握してコードのディグリーが確定できれば、以下のような作業の能率が全く違ってきます。

  • 省略・追加できるコードの判断
  • 代理コードへの置き換え
  • コードボイシングの組み換え
  • 適切なコードスケールをつけてメロディーを生成・変更する

スムーズに分析ができるようになると、アレンジやアドリブ演奏のみならず、作曲にも役立つし、音楽をやる上で凄く楽になります。

キー判別法の基本

転調の無い曲なら一曲通して同じキーなので分析も簡単ですが、一時的転調含む転調がある曲は、細分化してより細かく分析しないと正確な調の流れがわからないため、曲の部分部分で細かくキーを分析する必要が出てきます。

ここでは実際のキーの判別法を少し書いてみます。

簡単にいうと、曲のなかで『終止感』のあるところのベース音が、その部分のキーのルート音です。

メロディーの終止を探してそこのコードを調べたり、メロディーに使われているスケールを調べてキーを判別する、という凄くシンプルなキー判別法は、自分がやっているゲーム音楽演奏ブログの記事で解説していますので、良かったらご一読下さい。

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次に、もう少し高度な方法を解説していきます。

ドミナントモーションを頼りにしたキー特定

ドミナントモーションを頼りに、キーを判定する方法もあります。

まず、コード進行をみてドミナントモーションを探します。
裏コードによる半音進行も考慮しましょう。

そして、それがⅤ→Ⅰなのか、それ以外のセカンダリードミナントなのか判別します。

Ⅰコードの判別は解決先のコードに『強い終止感』があるかで判別します。

終止感があればⅠコードの可能性が高く、そのコードがその部分のキールートとなります。

ドミナントモーションが無い場合のキー判別法

では、ドミナントモーションが無い場合はどうするかというと、ある程度のサイズの『転調を含まないと感じるコード進行』を取り出して、ダイアトニックコード表のどこかに当てはまらないか考えます。

他のタイプのコードがドミナント7thに変化している場合もあるのでそれも考慮します。

それでもキーがわからない場合

どうしてもキーがわからない部分がある場合、該当コード進行を弾いたあとに続けてメジャーコードとマイナーコードをいろいろなルートで弾いてみます。

そのなかで据わりが良くて『終止感』のあるコードが、そこのキーのルートコードの可能性が高いです。
自分もこの手をよく使います。

このようにして、あの手この手でコード進行からキーの移り変わりを導き出します。

分析が難しい部分

上のような方法で、曲の部分部分のキーが判明したら、前後のコードにディグリーを付けていって、テンションやコードスケールを導きだして、パズルを完成させる感じで曲全体を分析していきますが、なかなかスッキリ判明しない部分も出てくるかと思います。

不明コード

楽曲のある区間を分析をしていて、その部分に想定しているキーの範囲内では説明がつかないコードがある場合、以下のことを考えます。

  1. 他のコードネームがつかないか?
    オンコードになっている可能性を考えて、コードネームのつけ直しを検討。
  2. 転調の可能性を検討
    他のキーに転調している可能性を考えて、コードのディグリーを変える。

前後の流れや、メロディーに使用されてる音なども考えて、相応しいと思う流れになるように解釈していきます。

モードや特殊スケールを活用している場合

今まで解説した作業を地道にやれば、一般的なメジャーキー・マイナーキーで出来ているものの大部分はキーの流れが判明してきますが、要注意なのはモードスケールを応用的に使っていたり、民族音階などの特殊な音階を使っている場合です。

いわゆるモード奏法や特殊スケールについては、前回学習しました。

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それぞれの特殊音階を聴きなれていれば、すぐに判別できるようになると思いますが、コード進行的にはどう聴いてもⅠ・Ⅰmなのに、メジャースケール(イオニアン)・マイナースケール(エオリアン)でない音階がメロディーに使われていて、キーの判断に迷うことがあります。

メジャーキー・マイナーキーの範疇のみで考えると『転調』ということになりますが、転調で解釈してしまうと、メロディーが終止するところのコードが、いつもドミナントやサブドミナント、ということになりがちで、かなり苦しい解釈になります。

そういう時は、モード奏法や特殊スケールを使っていると解釈して、メロディーが終止するところはトニックコードになるように考えたほうがいいです。

コード進行の分析ができればアレンジも楽々

コード分析が完了してキーの流れが完全に把握できれば、コードのディグリーが確定するので、コードスケールによる音階や、付加可能テンションが導けます。

ここまでくれば、作曲の意図を尊重しつつ、自分なりにアレンジしたり、そのコード進行上でコードスケールを使ったアドリブ演奏が出来たりするわけです。

作曲で行き詰まった場合も、自分の曲を一旦冷静に分析してみると、次の流れのヒントになったりします。

――次回からは分析ができるという前提で、さらに応用的なアレンジなどの領域も学習しようかと思います。

音楽理論ライブラリー 前回

民族音階・ブルーノート・モード奏法【音楽理論ライブラリー11】
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音楽理論ライブラリー 次回

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