これから、音楽理論の学習コンテンツとして「音楽理論ライブラリー」を投稿していきます。
これは、当ブログとゲーム音楽演奏ブログに散在する過去の音楽理論系の記事を統合して再構成していくものですが、今後、自分が発信するコンテンツのうち、一般的な音楽理論の話は「音楽理論ライブラリー」で扱っていきます。
はじめに
この講座では、音楽が一般的にどういう法則で構成されてるのか?というのを勉強していきますが、それに最も簡潔に答えることができるのが、音楽理論です。
自分はフラメンコギター奏者ですが、フラメンコに転向する以前に音楽学校で理論を一通り勉強しました。
その知識が、フラメンコギターに転向後も、演奏・アレンジ・作曲・採譜など、あらゆる場面で役に立っています。
自分のオリジナルなものを作るのにも、まず「一般的にはどういう作り方をしているのか?」を知らないと、遠回りすることになりがちです。
自分で苦労して編み出した!と思っていたネタが、理論を勉強した人ならすぐに思い付くものだったり……。
そういうのって、結構ショックですよね。
自分自身も、音楽理論を勉強し始めた頃はよく理解できなくて、かなりの時間をかけて習得しているものですが、本当に役立つ部分を最短で身に付けられるように構成したものをここに公開いたします。
この連載講座の内容は、後藤晃ギター教室で教えているカリキュラムの一部ですので、もし興味を持たれましたら、ギター教室へのお問い合わせをお待ちしております!
使用する表記
この連載ではスケールやコードを説明するのに略号を使用しますが、これをまず解説しておきます。
音名
C、D、Eとかのアルファベットは絶対音の「音名」をあらわします。
あとメジャートライアド(長3和音)コードのことを指す場合もありますが、紛らわしい場合はCコード、Dコードという呼び方をします。
階名
ド、レ、ミはメジャースケール・マイナースケールの何番目の音か、という「階名」をあらわします。
メジャースケールの1番目の音は「ド」、マイナースケールの1番目の音は「ラ」です。
Cメジャースケールなら「ド」はC音、Eマイナースケール(マイナーはラから始まる)なら「ド」はG音になります。
また「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ」を日本語表記で「ハ、二、ホ、へ、ト、イ、ロ」と表記する場合もあります。
日本の義務教育の音楽の教科書では、調性名などはイロハ表記ですよね。
当連載では紛らわしさを避けるために、ドレミ表記、イロハ表記はあまり使用しません。
調性名
当連載ではキー(調性)は、以下の例のように英語表記します。
- ハ長調→Cメジャーキー
- 変ホ短調→E♭マイナーキー
度数(インターバル)表記
音と音がどれくらい離れているか、ということを度数(=インターバル)といいます。
当連載では、インターバルをアラビア数字(1、2、3という数字)で表記します。
コードネームやスケール構成音を表記する時使うアラビア数字は、コードやスケールの中で何番目の「音」か?ということをあらわします。
テンションノートとして扱うものは9、11、13などのオクターブ上の数字になります。
他に数字を使うものと混じっていて紛らわしいときは3rd、7th、13thなどの序数表記や、2度、3度というふうに「度」という単位語を使うこともあります。
当連載では、ⅠやⅡといったローマ数字はそのキー(調性)の中で何番目の「コード」か?ということをあらわします。
ローマ数字が出てきたらコードのことを言っていると思ってください。
このローマ数字表記を「ディグリー表記」という言い方をすることもあります。
大文字「M」と小文字「m」
「M」と「m」はコードネームに付加されたり、インターバルを表記する時に使います。
- 大文字の「M」はメジャーの略
- 小文字の「m」はマイナーの略
例えばコードネームにつく場合、Fメジャー7thコードなら「FM7」、Aマイナーメジャー7thコードなら「AmM7」となります。
Am7→A-7みたいに、マイナーを「-」で表記する場合もありますが、当企画ではmで統一します。
「M」と「m」はインターバル表記にも使います。例を挙げると下のような表記になります。
- 長3度(メジャー3rd)→M3
- 短6度(マイナー6th)→m6
完全4度と完全5度
完全4度と完全5度の音程に関しては、P4、P5と表記します。
パーフェクト4th、パーフェクト5thの略ですが、Pも省略して「4」「5」と書く場合もあります。
インターバルをおぼえよう
略号・表記の解説を終えたところで、基礎の基礎から解説していきます。
音楽を構成する最も基本的な要素に音程(インターバル)があります。
2つの音の高さがどれだけ離れているか?という単位です。
ピアノの鍵盤ありますよね?
あれはCメジャースケール、Aマイナースケールを基準に作られていて、白鍵は譜面上で♯も♭も付かない音階になります。
ドから始めるとCメジャースケール、ラから始めるとAマイナースケールですね。
そして白鍵と黒鍵全部合わせると1オクターブ(ドから次のドまでの間隔)に12個音があるのがわかると思います。
ギターだと各弦の開放弦から12フレットまでが1オクターブで、その間に12本フレットが並んでいます。
鍵盤もギターのフレットも全部半音間隔で並んでますが、ルート音(1)から数えた音程の間隔を、「度数」「インターバル」といって「度数表記」であらわします。度数表記は「ディグリー」ともいいます。
インターバルの名称一覧
以下に当連載での表記と、よく使われる名称を一覧にします。
同じインターバルに複数の呼び名がついていて紛らわしいですが、まずは丸憶えしましょう。
同じ段の名称は全て同じ音程(インターバル)を指していて、表記順は左から、実音の度数(アラビア数字)、コードの度数(ローマ数字)、日本語表記、テンションノートとしての表記(9、11、13など)、その他の呼び名、の順です。
最初(1番目)の音はCメジャースケールの「ド」の音であるC音から始めることとします。
1番目の音程 C(白鍵)
1、Ⅰ、1度、根音、ルート
2番目の音程 C♯,D♭(黒鍵)
♭2、m2、♭Ⅱ、減2度、短2度、♭9、半音
3番目の音程 D(白鍵)
2(M2)、Ⅱ、長2度、9、全音
4番目の音程 D♯,E♭(黒鍵)
m3、♯2、♭Ⅲ、♯Ⅱ、短3度、増2度、♯9
5番目の音程 E(白鍵)
M3、Ⅲ、長3度
6番目の音程 F(白鍵)
4(P4)、Ⅳ、4度(完全4度)、11
7番目の音程 F♯,G♭(黒鍵)
♯4、♭5、♯Ⅳ、♭Ⅴ、増4度、減五度、♯11、3全音(トライトーン)、半オクターブ
8番目の音程 G(白鍵)
5(P5)、Ⅴ、5度(完全5度)
9番目の音程 G♯,A♭(黒鍵)
m6、♯5、♭Ⅵ、♯Ⅴ、短6度、増5度、♭13
10番目の音程 A(白鍵)
M6、Ⅵ、長6度、13
11番目の音程 A♯,B♭(黒鍵)
m7、♭Ⅶ、短7度
12番目の音程 B(白鍵)
M7、Ⅶ、長7度
そして13番目の音程である8度は、オクターブで、1度(ルート)と同じ音になります。
このインターバル=度数=ディグリーという単位が、今後勉強していくコードやスケールなどの基本単位になるので、まずはこれを理解しましょう。
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