YouTubeファルセータ動画も30本目ですね。
今回はシギリージャPart3ですが、2つのファルセータを演奏しました。
イントロ向けのアルペジオのものと、踊り伴奏用の転調が入るドラマチック系のものです。
シギリージャ形式については、こちらの記事をご覧ください。
では、今回演奏したファルセータを解説していきます。
1つ目のファルセータ【エル・ボラ】
1つ目のファルセータは、スペインでエル・ボラ(Agustin Carbonell “Bola”)に教わったもので、彼の1stアルバム『Bola』(『Carmen』というタイトルで再販されています)の「Esencia Jonda」という曲でイントロに弾いているものですね。
エンリケ・モレンテ(Enrique Morente、カンテ)とファン・ラミレス(Juan Ramirez、踊り、サパテアードで参加)が参加しているシギリージャです。
ちなみに、この曲の冒頭とラストで弾いている速いテンポのファルセータは今年(2020年)の春に演奏しました。
このファルセータの演奏上の注意点ですが、最初の8連符のアルペジオが少し変則的なパターンで慣れないと難しいです。
その次に、D7(♭9)→B♭(onC)→B♭7(onA♭)→A7(onB♭)という進行が出てきますが、解放弦絡みで半音ぶつかりの「フラメンコテンション」が入っていたり、一筋縄で行かないコード進行です。
ここの2回り目、B♭7(onE♭)→A7という落ちの付け方が、強引ですがカッコいいですよね。
このファルセータは全編に渡ってハイポジションコード+解放弦で複雑なボイシングを作る「フラメンコテンション」の手法をフル活用してます。
フラメンコテンションについてはこちらの記事で解説しています。
2つ目のファルセータ【アドリアン・ガリアのビデオより】
2つ目のファルセータは、アドリアン・ガリア(Adrian Galia)の踊りのビデオに入っていたものです。
前々回のティエントPart2でも、これと同じビデオに入っていたファルセータを弾きました。
このシギリージャのファルセータは、ティエントPart2のファルセータを思い出して弾いた時に芋づる式に思い出したもので、2002年頃にやった踊り伴奏の仕事の時に「このファルセータで踊りたいから」と、アドリアンのビデオを渡されて何個かコピーしたファルセータのうちの一つです。
ちなみにティエントPart2で弾いたファルセータは転調で始まりますが、このシギリージャのファルセータも冒頭から転調してCM7コードから入っています。
このCM7コードは、フレーズや前後の流れから考えて、Bマイナーキーの♭ⅡM7(ナポリコード)もしくはEマイナーキーの♭ⅥM7ですが、この後すぐにBマイナーキー/F♯スパニッシュ(ポルタラント)に行っているので、Bマイナーキーの♭ⅡM7で良いと思います。
これらを作ったギターの人は、こういう突然転調する感じが好きなんでしょうね。
そんな感じで、このファルセータの前半はBマイナーキー/F♯スパニッシュ(ポルタラント)を中心に展開しますが、後半の5度コード平行移動で強引にAスパニッシュ(ポルメディオ)に戻しています。
この5度コード平行移動で転調するのってフラメンコの常套句ですが、メタル系の曲作りもこういう動き多いんですよね。
こういうコード使いの他にも、細かいリズム表現とか、速弾きとか、メタルとフラメンコは共通の感覚多いと思うのは自分だけでしょうか?
ちょっと話が脱線しましたが、最後の3コンパス位の締めくくり部分は自分が適当に付け足して弾いているもので、オリジナルがどんなだったか憶えていません。原版のビデオは紛失してしまって確認できないのです。
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