フラメンコギター動画シリーズ第1弾はソレアです。
1996年頃、スペインでパコ・クルス(Paco Cruz)というギタリストに教わった2つのファルセータを繋げて演奏しました。
フラメンコのファルセータについて
フラメンコのファルセータは人から習ったり録画やライブ録音を耳コピーしたりして外部から仕入れたものと、自分で作ったものをミックスして使うことも多いです。
仕入れ元の元ネタも、そうやってミックスされたものだったりするので、同じファルセータでも人によって細かいところが違っているのは普通のことです。
今回弾いたファルセータも元ネタはパコ・クルスに習ったものですが、細かい所は自分のアレンジとなっています。
ソレアのファルセータのテンポ
ソレア形式については、こちらの記事で詳しく解説いていますので、ご一読いただければと思います。
詳しくは上の形式解説で書いていますが、ソレアは歌伴奏と踊り伴奏で、かなりテンポが違います。
歌伴奏は100から130BPM、踊り伴奏は75から100BPMくらいが多いのですが、今回の演奏は踊り伴奏用のゆっくりしたテンポです。
以下、今回演奏したファルセータを個別に解説します。
1つ目のファルセータ【パコ・クルス】
1つ目のファルセータは3コンパスと短いですが、パコ・クルスが踊り伴奏の仕事で良く弾いていたものです。
出だしの修飾アルペジオですが、右手はi→m→a→i+pという順番で弾いています。
こういう修飾音符をフラメンコギターでは多用しますが、慣れないと難しく感じるかもしれません。
そして、最初のコードからして半音ぶつかりのF(♯11)ですよね。
「あぁ、ソレア(モデルノ系の)だなぁ」という響きです。
その後、1回り目のオチがEmadd9なのがミソでしょうか。フラメンコ的な一時転調です。
同じフレーズを繰り返した後の2回り目のオチで今度はEに解決します。
最後のコンパスはDm7から下降して、Eに落ちるひとつ手前のコードがカッコイイですが、F7(onG)かGaug9か、っていう音ですね。
2つ目のファルセータ【パコ・クルス】
2つ目のファルセータは、コンパスもコード使いも、かなりモダンな感覚です。
出だしから、G(onA)→F(onG)というオンコードから始まります。
ポル・アリーバの平行調であるCメジャーキーで考えるなら、F(onG)はポップス系の音楽では常套句のようなオンコードですが、フラメンコの語法の中で使うとまた独特ですよね。
ちなみに、F(onG)はCジャーキーのF(サブドミナント)とG(ドミナント)どちらのコードも代理できる便利なコードで、Dm(onG)でもほぼ同じ響き、同じ使用法になります。
自分がスペインに行っていた1990年代後半、このタイプのオンコードを使うのがめちゃめちゃ流行っていて、スペイン人ギタリストみんなが弾いていたし、そのあたりの時代に常用コードとして定着した感じがします。
こちらのファルセータはリズムも少し複雑で、16分音符でシンコペーションしているので、弾き方によってはコンパスをとりづらくなりそうです。
そして最後のF→Eの速いパッセージは、かなりのスピードで音を詰め込んでいますが、アルペジオ+スラーなので聴こえほどは難しくありません。
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