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リハーモナイズ【音楽理論ライブラリー13】

前回は理論応用編として楽曲分析=アナライズを学習しました。

今回は理論応用編の第2弾として、リハーモナイズ(コードのつけ直し)のテクニックを解説します。

リハーモナイズと一言でいっても、コード構成音を少し変えたり、代理コードに差し替えたりする程度のものから、大幅な曲の改変を伴うものまで幅広いです。

自分のリハーモナイズの用途は主にギターへのアレンジですが、ここではそういう楽器演奏に使うようなリハーモナイズを中心に考えます。

リハーモナイズとアナライズは表裏一体

リハーモナイズは、前回やったアナライズと表裏一体であり、同じ知識をそのまま転用可能です。

既存の進行を解釈→アナライズ
既存の進行を変更→リハーモナイズ

ということです。

基礎的なリハーモナイズ

以下にリハーモナイズの具体的な手法を一つずつあげていきます。

曲の改変の度合いが少ない基本的なものから解説していきます。

リハーモナイズもアナライズと同様、今までの知識の応用ですので、今までやった内容と被る部分もありますが、復習も兼ねて一通りみていきます。

同ルートの同タイプのコードへの差し替え

例えば、CメジャーキーのⅠコードであるCを例にすると、CとCsus4とC6とCM7はCのトライアドをベースとしたダイアトニックトーンで構成されるコードなので、同タイプのコードと捉えることができ、無条件に差し替えが出来ます。

基本的に同ルートで、原曲のメロディーに使われているスケールの構成音から外れた音が入っていなければ、同タイプコードとして差し替え可能ですが、ここで言う同タイプコードは、広い意味では同じコードです。

ですので、リハーモナイズと言うより、単にコードボイシングや付加テンションを組み替えているだけとも言えます。

同一ルートのコードでも、CがCmやC7に変化すると、コードタイプが変わって、はっきりとリハーモナイズと言うことになりますが、コードタイプが変わるということは、多少なりとも曲の内容が変わるので注意が必要です。

コードタイプの変更を伴うリハーモナイズについては後述します。

同じキーのダイアトニック代理コード

代理コードはリハーモナイズの基本です。

とくに同じキー内のダイアトニックコードで、コード機能が同じもの同士は高い互換性があります。

ただし、トニック系コードの差し替えはイメージ変化が大きいので注意してください。

Cメジャーキーで例をあげると、

サブドミナントのFとDm
ドミナントのG7とBm7♭5

こういったものは大抵は差し替え可能です。

トニックコードに関しては、キールートのCコードを変えてしまうとまずい場合が多いですが、CとEmとAmには一定の互換性があります。

マイナーキーでも同じように、以下のようなコード差し替えが可能です。

  • ドミナントマイナー同士
  • サブドミナントマイナー同士
  • トニックマイナー同士(条件による)

――ここまでが、原曲の構成音に対して♯や♭などの臨時記号が発生しないリハーモナイズです。

以下に、臨時記号が発生する可能性のあるリハーモナイズのうち、よく使用されるものを解説していきます。

ドミナント7th化

あらゆるタイプのコードをドミナント7thコード化することが可能です。

代表的な使用法がセカンダリードミナントです。

セカンダリードミナントは、あるコードをドミナント7thコードにリハーモナイズして、次のコードへのドミナントモーションとするものですが、この場合はコード機能もドミナントへと変化します。

ドミナント7th化は、ドミナントモーションとか関係ない場合もあり、たとえばブルース進行のように、トニックをドミナント7th化したり、ⅣやⅣmをⅣ7にしたりしますが、そういう場合はコード機能は変わらないことが多いです。

Ⅱ-Ⅴ(ツーファイブ)化

Ⅱ-Ⅴ(ツーファイブ)は、ジャズでは常套句です。

ドミナント機能のドミナント7thコードをⅤ7と捉えて、そのコードを二分割してⅡ→Ⅴという形にします。

例えば
G7→Cを
Dm7→G7→Cとか
D7→G7→Cにしたり

A7→Dmを
Em7♭5→A7→Dmとか
E7→A7→Dmにしたりですね。

Ⅱ-Ⅴ(ツーファイブ)には3パターンあります。

メジャー型Ⅱ-Ⅴ
Ⅱm7→Ⅴ7の形です。次にⅠメジャーコードが来ることを示唆します。

マイナー型Ⅱ-Ⅴ
Ⅱm7♭5→Ⅴ7の形です。次にⅠmコードが来ることを示唆します。

セカンダリードミナント型Ⅱ-Ⅴ
Ⅱ7→Ⅴ7の形です。メジャーマイナーの調性感はあまりなくニュートラルな形です。次にメジャーマイナー、どちらにも転べる感じです。

Ⅱ-Ⅴの実例

例としてCメジャーキーでCM7→Fという進行があったとして、CM7をドミナント化してC7→Fにしたとします。

このC7をさらにⅡ-Ⅴに分割する場合、以下の3パターンです。

メジャー系
Gm7 C7 F
下属調Fメジャーを感じさせます。

マイナー系
Gm7♭5 C7 F
かなり強い一時的転調感があります。

セカンダリードミナント系
G7 C7 F
この場合はこれが一番素直です。

Ⅳ-Ⅴ型

ちなみにですがⅡコードはⅣコードで代理できたりするので、Ⅳ→Ⅴ(メジャー型)またはⅣm→Ⅴ(マイナー型)とすることも可能です。

上のCM7→Fのリハモ例で言うと

B♭M7 C7 F
B♭m7 C7 F

このようになって、Cメジャーキーからみると♭Ⅶコードが登場することになります。

一見、変わったコード進行に見えますが、Ⅱ-Ⅴ(ツーファイブ)をベースにしたリハーモナイズの結果です。

裏コード

ドミナント機能をもつドミナント7thコードを半オクターブ上(半オクターブ下でも同じ)のドミナント7thコードで代理します。

裏コードへのリハーモナイズは、5度進行と半音進行の変換になり、元のコードから見るとオルタードテンションの集合体になります。

例 G7 C→D♭7 C

パッシング・ディミニュシュ

ディミニュシュコードを使ってベースラインを滑らかにしたりします。

例えば
CM7 Dm7→CM7/C♯dim Dm7
のように長二度の順次進行にディミニュシュコードを割り込ませたりするのがパッシングディミニッシュです。

ディミニュシュコードでのドミナント代理

例えば、G7→A♭dim(=G7♭9)のように、半音上のディミニュシュコードでドミナント7thコードを代理できます。

ディミニュシュコードは短三度音程のみで構成されているので、短三度での平行移動が可能です。

例えばCメジャーキーでG7の代理やG7→AmのパッシングとしてA♭dimを使いたいとすると、A♭dimのほかにBdim、Ddim、Fdimの三つのコードでも代用できるため、コード進行の可能性は大きく広がります。

――以上が一般的によく使われるリハーモナイズ手法です。

ノンダイアトニックコードの時にやった知識が、ほぼそのまま活用できるのがわかると思います。

やや高度なリハーモナイズ

以下に応用的なリハーモナイズ手法を解説しますが、ここから先は曲の改変という度合いが強まるので、アレンジ・編曲の範疇と捉えたほうがいいこともあります。

同系統機能の同主調コードへの差し替え

トニック系同士とか、サブドミナント系同士とか『コード機能の系統が同じ同主調のコード』への差し換えです。

  • TとTM
  • SDとSDM
  • DとDM

ということです。
よく使う例を挙げます。

SD→SDM
全ての音楽ジャンルで非常によく使われます。
例えばCメジャーキーで
F→Fm7(またはDm7♭5)

TM→T
マイナー進行で最後だけメジャー終止にする、という形です。
例えばCマイナーキーで
A♭ B♭ Cm→A♭ B♭ C

同一キー内で機能が異なるコードへの差し替え

例え同一キーの範囲であっても、コード機能が異なるコードへのリハーモナイズは音楽の内容の改変を伴うので、注意が必要です。

コード機能の系統は三つあります。

  • トニック系
  • サブドミナント系
  • ドミナント系

このうちドミナント系とサブドミナント系は一定の互換性があります。
なのでその2つは差し替えをしても、曲の構造が全く変わってしまうということはそんなにありません。

問題はトニック系とその他の差し替えでしょうか。

例えば、SDからT、TからSDMなどトニック系がらみの機能コードの差し替えは、曲の構造を大きく改変することになるので、それを理解した上で敢えてやることになります。

リハーモナイズの可能性は無限

――ここまでやってきて
『これって、もしかして、なんでもアリなんでは?』と思われるかたもいるかもしれません。

そうなんです。
リハーモナイズはやろうと思えば、『解釈』によって何でも可能で、最終的には作曲と同じことになります。

調をまたいだリハーモナイズもダメということはありません。

重要なのはリハーモナイズの目的をはっきりさせて、その目的にあった最適なコードを導き出す、ということです。

答えも一つではなく、全ては編曲者の感性次第です。

アドリブ(即興演奏)でのリハーモナイズ

アレンジ=編曲の用途以外では、アドリブ=即興演奏においてもリハーモナイズが活用されます。

例えば、G7→Cというコード進行があって、その上で少し複雑な聴かせかたをしたい、といった場合、アドリブをしている奏者は頭の中でリハモして
A7→Dm7→D♭7→C
とか
FM7→F♯dim→G7→G♯dim→Am7
などのフレーズを弾くことが可能なわけです。

セカンダリードミナントなどを使って細分化したり、メジャー系のドミナントにオルタード系のスケールをぶつけていくと、調性感が曖昧になって、ジャズ寄りの雰囲気になっていく傾向があります。

――アレンジもアドリブも、理論的に複雑化させれば良いものが出来るか?というと、必ずしもそういうわけではなく、最終的にはセンスの問題になってきますが、知識を増やしただけ選択肢は広がります。

次回から、今まで解説してこなかった、音楽の『リズム要素』についてやろうと思います!

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楽曲分析・アナライズ【音楽理論ライブラリー12】
音楽理論ライブラリー 第12回は楽曲分析=アナライズです。今まで勉強した知識を使って楽曲の分析をして、アレンジや演奏に生かす方法を学びます。

音楽理論ライブラリー 次回

リズムの基礎【音楽理論ライブラリー14】
これまで、音楽の三大要素(メロディー・コード・リズム)のうちコードとメロディー(スケール)についてやってきました。今回からは、残る要素『リズム』を学習します。

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