リズムの基礎【音楽理論ライブラリー14】

今までの講座で一般的なコードとスケールの知識は、ほぼ網羅できたと思います。

音楽の三大要素

  1. 調性(コード)
  2. メロディー(スケール)
  3. リズム

このうち二つをやったわけです。

残りの一つ『リズム』ですが、これは音楽の横軸、時間的要素になります。

リズムに関しては、知識的に習得することよりも、メトロノームやアンサンブルで鍛えていく、という実践で向上する比率が高いと思いますが、リズムの基礎も一通り学習しておきましょう。

リズムの一番基本になる単位が『拍』です。

人間の体も心臓が鼓動してリズムを刻んでいますが、1回の鼓動が1拍というわけです。

譜面では、拍は音符や休符で書かれますが、西洋音楽の音符の書き方は4/4拍子(後述)を基準に考えられています。

4/4拍子だと4分音符1つで1拍、4拍で1小節です。

また、1小節(拍子の1サイクル)を4つに分けた音ということで『4分音符』という名称になります。

音符の長さは以下のとおりです。
下にいくほど、音が短く、細かくなっていきます。

全音符(白玉)~1小節分、4拍

2分音符(棒がついた白玉)~1小節の半分、2拍

4分音符(棒がついた黒玉)~1小節の1/4、1拍

8分音符(旗1本)~1小節の1/8、1/2拍

16分音符(旗2本)~1小節の1/16、1/4拍

32分音符(旗3本)~1小節の1/32、1/8拍

64分音符(旗4本)~1小節の1/64、1/16拍

拍子

拍を音楽のフレーズにそって何拍かまとめて、かたまりにしたのが『拍子』です。
その曲が持つ、拍のサイクルですね。

4拍子なら4拍でひとかたまり、3拍子なら3拍でひとかたまりです。

譜面だと、3/4とか6/8とか、分数の形で書かれていますが、分母は1拍の長さ、分子がひとかたまりにする拍の数です。
6/8拍子なら8分音符6つでひとかたまりです。

良く使われるのは、2/2、2/4、3/4、4/4、6/8などですが『拍子はこの範囲にしなければいけない』というのはなく、7/4拍子とか、作ろうと思えば17/16拍子とかの変態的なものもありえます。

小節

拍子の構成拍数で音楽を区切るのが『小節』で、譜面には『小節線』が書かれます。
上の拍子の解説で使っている『ひとかたまり』という表現を、譜面に書いたのが『1小節』ということになります。

3/4拍子なら4分音符3つで1小節
4/4拍子なら4分音符4つで1小節
6/8拍子なら8分音楽6つで1小節

――ここまでが、拍・拍子・小節という、リズムの基本概念です。

音楽の難しいところは、同じ音楽でも人によって感じかたが違ったりするところで、譜面を書く人によって同じ曲でも違う拍子で書いたりするのはよくあることです。

そういう記譜方法の違いはありますが、要するに、その音楽が持つ時間的サイクルを理解して伝えることができれば、書き方は何でもいいとも言えます。

音楽は、拍・小節で区切られた土台の上で、様々な種類の音符を使ってリズムを表現していきます。

以下に、各種音符をまとめていきます。

符点音符

後ろに『点』がついた音符を符点音符といいます。

符点がつくと、元の音符の1.5倍の長さになります。
以下に例をあげます。

符点4分音符
4分音符1つ+8分音符1つ(=8分音符3つ)の長さ

符点8分音符
8分音符1つ+16分音符1つ(=16分音符3つ)の長さ

符点が複数つく場合

符点が二つ以上付く場合もあります。

符点が一つ増えるごとに『前の符点で伸びた分の半分の長さ』が足されます。
例をあげてみます。

符点が2つ付いた4分音符
4分音符1つ+8分音符1つ+16分音符1つ=元の音符の1.75倍の長さ

符点が3つ付いた4分音符
4分音符1つ+8分音符1つ+16分音符1つ+32分音符1つ=元の音符の1.875倍の長さ

符点音符を使わずに記譜することも可能ですが、譜面がごちゃごちゃになりやすいので、譜面をシンプルにする、ということで符点を使用します。

連符

音符の上に3とか5とかの数字が付いた音符がありますが、あれを連符といいます。

連符はベースになる拍を上に書かれた数字で等分するものです。

連符の上に付く数字に制限はなく、例えば13連符とか、35連符とかもあり得ます。

2連符・4連符・8連符と通常音符

以下のように通常音符を連符と捉えることもできますが、これらは普通は連符として扱いません。

8分音符=2連符
16分音符=4連符
32分音符=8連符
64分音符=16連符

基本的には、通常音符で記譜可能なものは通常音符で書きます。

ただし、拍子が4/4以外だったり、ベースの音符が4分音符でない場合は2連符・4連符・8連符などが発生することがありますので、以下に解説します。

ベースの音符が4分音符以外の連符

連符の基本は、4分音符を1拍として、4分音符を上に書かれた数字で等分するものですが、4分音符以外をベースにした連符もあります。

2拍3連符とか3拍4連符とかですが、ベースの音符の長さも制限はありませんし、小節をまたぐ連符もあります。

連符は指定された拍数を、指定された数字で等分すればいいわけですが、複雑な連符では、5拍4連、7拍13連とかもあり得ます。

ただ、そのレベルになると読譜も難しいし、ポリリズムの範疇になってきますよね。

2拍以上の連符であれば、呼び名は『~拍~連符』ですが、8分音符を連符に割ったものは『半拍~連符』と呼ばれたりします。

16分音符以下の短い音符を連符に割ることもあります。

連符の記譜ルール

連符は元になる音符の長さと分割する数によって、使用する音符と旗の数が決まっています。

まず、ベーシックな4分音符を連符に割ったものの記載方法を紹介します。

3連符(旗1本)
元の音符の半分の長さの音符で記載されます。

5~7連符(旗2本)
元の音符の1/4の長さの音符で記載されます。

9~15連符(旗3本)
元の音符の1/8の長さの音符で記載されます。

17~31連符(旗4本)
元の音符の1/16の長さの音符で記載されます。

次に4分音符以外の音符がベースになった連符の記載方法をご紹介します。

半拍~連
4分音符の半分の長さの8分音符を連符に割ったもので、音が4分音符ベース連符の半分の長さになり、旗が一本増えます。
半拍3連なら旗2本、半拍5連なら旗3本になります。

2拍~連
2拍3連や2拍5連など、ベース音符が2分音符の場合は4分音符ベースの連符の2倍の長さの音符で記載され、旗が1本減ります。

4拍~連
ベース音符が全音符の場合は4分音符ベースの連符の4倍の長さの音符で記載され、旗が2本減ります。

符点音符の2連符
たまに、上に『2』の数字がついた連符がありますが、これは符点音符を2等分したものです。

3拍4連符
3拍4連はよく出てきますが、譜面では4分音符4つを『4』の数字でくくってあるものです。

音価比率表記の連符
上記以外の複雑な連符は比率による表記をされたりします。
例えば5:3なら3拍5連、7:6なら6拍7連という具合です。

入れ子式の複合連符
連符の中にさらに細かい連符が入って、入れ子式の複合連符になる場合もあります。
例えば3連符の中の音符の一つをさらに2分割したり(6連符相当)、3分割したり(9連符相当)といった形です。

表拍と裏拍

拍には、表と裏という概念があります。

例えば、4/4拍子だと拍子の頭である4分音符が表拍です。
拍子記号で規定される拍の頭が表拍ということです。

そして表拍と表拍の間に存在する拍を裏拍といいます。

4/4拍子なら、4分音符を細分化した8分音符や3連符、16分音符などの、表拍以外の拍が裏拍です。

一般的には4/4拍子なら8分音符に2等分した後ろのほうの拍を裏拍といいます。

3連符の裏拍は二つあるので、自分は『3連の二つ目の拍』とか『3連の三つ目の拍』という表現を使っています。

16分音符(4連符)の場合は、3つの裏拍が存在します。

1つ目の音~表
2つ目の音~表裏
3つ目の音~裏、真裏
4つ目の音~裏裏

などと表現したりしますが、3連符、4連符の裏拍の言い方は人によって表現が違ったりします。

16分音符の裏拍を意識した演奏はいわゆる16ビートということになりますが、1970年代あたりのファンクなどのブラックミュージックで盛んに演奏されて定着したものです。

シャッフルビート

今、ブラックミュージックの話が出ましたので、シャッフルビートも解説しておきます。

ハネもの、三連系、スイングなどとも言われるリズムですが、表拍が長く、裏拍が短く演奏されます。

  • 符点8分音符(表)+16分音符(裏)
  • 3連符の1つ目の音(表)+3連符の3つ目の音(裏)

という感じになります。

シャッフルはブラックミュージック特有のビートで、ブルース、R&B、ファンクなどはシャッフルビートが多く、ジャズの4ビート(スイング)もシャッフルの一種です。

ファンクに代表されるような16ビートにおいても、表と真裏が長く、表裏と裏裏が短く演奏される傾向です。

また、カントリー、ロックなどの白人系のアメリカの音楽も、ブラックミュージックからの影響が色濃く、シャッフルビートが多用されます。

タイとスラー

複数の音符が弧線でくくられているもので、2つの音を繋ぐ記号ですが、タイとスラーの2種類があります。

タイは同じ音程の2つの音を連結するもので、符点音符や裏拍のフレーズを通常音符で書くとタイを多用することになります。

自分は拍の頭や表裏が分かりやすくなるので、タイを使って記譜してあったほうが読みやすかったりしますが。

スラーはタイと似ていますが、音程変化を伴い、弧線でくくられた音を切れ目なくレガートに(滑らかに)演奏する、という記号です。
ギターだと、主にハンマリング・プリングで表現します。

テンポ(BPM)

拍・拍子とそれらの記譜法について学習しましたが、リズムにはもう一つ、テンポという重要要素があります。

テンポは演奏する速度ですが、一般的にBPMという単位で示されます。
クラシックなどではアンダンテとかアレグロとかの速度表記を使ったりしますが、主観的でアバウトな要素を含むので、正確を期すには、BPMを使ったほうがいいでしょう。

BPM=Beat per minuteの略で、一分間に何拍入るのか?ということです。

4/4拍子で120BPMなら一分間に4分音符が120個、1秒=2拍(4分音符2つ)という速さです。

タイム感・テンポ感

言葉的には『リズム感』『テンポ感』『タイム感』というのはだいたい同義ですが、微妙にニュアンスが違います。
大体以下のような感じと思います。

リズム感
一般的に広い意味で使われていて、リズムに関する感覚全般のことを指す。

テンポ感
BPMを一定にキープする感覚を指す。

タイム感
3拍や4拍のリズムサイクルをキープする感覚を指す。結果としてBPMもキープすることになるのでテンポ感と曖昧に使用される。

ここではタイム感ということを解説します。

タイム感はリズムのある音楽を演奏するのに極めて重要で、ドラムスなどのテンポをキープする役割の楽器奏者にとっては最優先で鍛えるべきものです。

クラシック系の楽曲やソロ演奏などでは、曲の途中でテンポを揺らしたり、テンポチェンジがあったり、指揮者やソロ奏者の裁量に委ねられる場合はありますが、『一定テンポを守って演奏できない』というのは、アンサンブルで致命的なことになります。

タイム感を鍛えるのは、いろんなやり方があると思いますが、日常的にメトロノームやリズムトラック、生の打楽器など、一定テンポ・一定サイクルを出してくれるものに合わせて練習する、というのが大基本です。

タイム感がよくなると、演奏がぐっと締まるし、アンサンブルも容易になります。

――次回はもう少し応用的なリズムの解説をしようと思います!

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音楽理論ライブラリーは今回で最終回となります。前回はリズムの基礎を解説しましたが、今回は実施によく使われるリズムパターンや、ジャンルごとの特徴を学習します。