今回のファルセータ動画は、ブレリアPart7です。
ブレリア形式解説
8月にアップしたブレリアPart6に続いて、ポルアリーバ(Eスパニッシュ調)のブレリアになります。
ブレリアPart6
今回も2つのファルセータのファルセータを演奏していますが、ポルアリーバのブレリアはソレアの他にバンベーラやペテネーラでも使えますので、結構使う機会があります。
では、個別に解説していきます。
1つ目のファルセータ【パコ・クルス】
スペインにいたときに、パコ・クルス(Paco Cruz)に教わったものです。
これを教わる前日にパコが出演する舞台を観に行ったんですが、踊り伴奏のソレアの中でこのファルセータを弾いていたのが印象に残って、レッスンのときに「昨日のソレアの途中で弾いてたブレリアを教えて欲しい」と頼んで教えてもらったんですよね。
このファルセータは「コンパス=サイクル理論」で言うと、基本的にずっと「3拍×2の6サイクル」(簡単に言うと3拍子です)で感じると捉えやすいです。
最初のアルペジオは上手く解放弦を絡めていますが、右手の順番がちょっと変則的です。
テクニック的には後半のpでやる上り音階(ほぼアルペジオですが)が難関で、弦移動しつつ左手が高音側にポジション移動していきます。
この後、オリジナルは違う展開になりますが、今回の演奏では次のファルセータにスムーズに繋げるために短くしてあります。
2つ目のファルセータ【カニサーレス】
2つ目のファルセータは、ポティート(El Potito)の2ndアルバム『Macande』(1992年)のCDから耳コピーしたものです。
記憶が確かなら『Macande』のギターは全曲カニサーレスが弾いています。
このCDは1993年頃買って、カニサーレスのギタープレイに衝撃を受けて、かなり耳コピーしたんですよね。
同じCDに入っていたタンギージョとかも、分からないなりに譜面に起こして「ああでもない、こうでもない」ってパズルみたいにやってた思い出があります。
1993年から1994年頃はエル・ボラとカニサーレスのギターが好きで、かなりの数のファルセータをコピーしましたが、カニサーレスのファルセータは「ええ?どうなってるの?」っていうトリッキーなものが多くて、探求心を煽られるんですよね。
当時、自分は踊り伴奏修行中で、伴奏用のファルセータを増やさないといけなかったんですが、カニサーレスのファルセータは変態すぎて踊り伴奏には使えないようなものばっかりでしたが(笑)
今回弾いてるブレリアは、カニサーレスのものにしてはシンプルで汎用性も高いと思います。
1993年当時の日本のフラメンコギター周辺事情など、以前こちらの記事でも書いていますので興味ありましたら読んでみて下さい。
このファルセータが入っているのは、『Macande』の5曲目「Yo tengo una dama」という曲ですね。このCDでは唯一のブレリアです。
曲の頭はリブレから入って、いきなりブレリアのリズムで斬り込んできて、一節だけ歌った後にすぐ入るファルセータなんですが、この一連の流れがインパクト強かったので一番最初に耳コピーしたおぼえがあります。
前半はよくある感じのアルペジオパターンですが、最初のコードがちょっと変わっててカッコいいですよね。
E7(onG♯)→CM7(onG)ですが、基本コードをオンコードにすることで面白い響きになっています。
最初耳コピーした頃は、最後のキメみたいな部分が謎だったんですが、こういうフレージングは出入り口をしっかり把握しておいて、途中はパルマやクリックを聴きながら感覚的に処理して、弾くたびに微妙に変わるようなものと思います。
一応細かく言うと、9拍目裏から入って、次のコンパスの12拍目で2拍3連にして、最後は11拍目裏(メディオコンパスなら5拍目裏)に抜けてます。
オリジナルでは、この後すぐ歌が被さって来ますが、今回の演奏ではメディオコンパス付け足して締めくくりました。
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