フラメンコ音楽論では、前回から「日本人としてのフラメンコへの取り組み」というテーマで書いています。
前回はスペイン人と日本人の環境の違いや、言語とそれに起因するリズム感覚の違い、世代間のリズム感覚の違いという事についてお話しました。
今回は、前回の話の流れの中で出ていた「環境と得られる情報の違い」「年代による違い」という事に話題を絞り、「インターネットテクノロジー(IT)の発展がもたらした影響」というテーマで書きます。
今回のテーマであるインターネットはフラメンコに限らず、あらゆる芸術ジャンル、学問、ビジネスなど、非常に広い範囲に影響を与えていて、昨今のコロナ禍では強烈にクローズアップされる結果にもなっているため、一回分の記事を割いて考察してみたいと思います。
情報化社会がコロナ禍で加速
情報化社会の成熟(=ITの発達)ということの影響が、フラメンコ含めた芸術芸能分野に対しても年々大きくなっています。
誤解無きように最初に言っておくと「フラメンコも、その他の音楽も、どれだけテクノロジーが進んだとしても、本質は生身の人間が持つ原始的なところにあり、それを最も体現できるのはライブ・生演奏である」という事実は今後も変わることはないでしょう。
しかし一方で、学習・発信という面においてインターネットは革新的なメディアです。
このブログのテーマであるフラメンコギターという範囲だけ見ても、日本人・スペイン人問わず、若い世代の向上は目を見張るものがあり、これに一役買っているのがYouTubeを始めとしたインターネットメディアです。
そして、昨年の春先から世界を席巻しているコロナ禍によってインターネットメディアは一気に影響力とスピードを増し、フラメンコなどの芸術分野だけでなく、世界そのものの在り方を変えていくかもしれない、というのは人類全員が感じている事ではないでしょうか。
インターネットメディアの普及は直近10年間
インターネットの一般利用が始まったのは1990年代前半ですが、世界的にインターネットが普及したのは2000年代に入ってからです。
さらにYouTubeが誕生して(開業は2005年)各種SNSなどとともに世界中に浸透していったのは2008年前後からで、これはスマートフォンとモバイル通信環境の爆発的普及と完全にリンクしています。
それから現在までの僅か10年あまりの間にSNSや動画サイトは世界の隅々まで浸透し、基本的な社会インフラの役割を果たすまでになりました。
今は皆がスマホを肌身離さず持って、インターネットと常時繋がっていますよね。
フラット化する世界
今までは、学問でも芸術でも、本当に重要な情報や技術は一部の人が独占していて、現地まで行ったり学校に入って習ったりしないと習得できないものでした。
元々その文化や知識技術から遠いところにいる人は、経済的に恵まれていないと学習すらできなかったり、情報が少な過ぎて偏った情報をもとに延々と非効率な練習を繰り返したり、といった状態だったのが、インターネットの普及によって爆発的に情報が供給・共有されるようになり、徐々にですが、そういう不公平は過去のものとなりつつあります。
発信に関しても、今までプロダクションやテレビ局・出版社が独占していたものが一気に解放されて、誰もが自分のコンテンツを作って全世界に発信・流通させることが出来るようになりました。
商業音楽もインターネット中心へ【ボカロPの活躍】
インターネットの力は商業音楽の在り方を大きく変えつつあります。
日本の音楽シーンも、ボカロP(ボーカロイド・プロデューサー)出身者を中心としたインターネット勢が注目を集めていて「ヒット曲はインターネットから」という流れになってきていますよね。
ボカロPについては前回も少し触れていますが、2008年頃からニコニコ動画を中心に盛り上がったカルチャーで、DAWとボーカロイド(YAMAHAが開発した音声合成ソフト。「初音ミク」が有名)を駆使して一人でオリジナル曲の音源を完成させ、それに個性的な映像(ラジカルな自作アニメが多い)を付けてMVとして動画サイトにアップする新興のアーティスト達です。
例えば、米津玄師・ヨルシカ・YOASOBI・syudou(「うっせぇわ」の作者)などはボカロP出身者で、動画サイトで自主制作のMVを配信して人気化しました。
ボーカロイドを使っていれば「現役ボカロP」ということになるのですが、上記アーティストなど、今売れているのは、ボカロPの音楽のボーカロイド部分を生歌に差し替えたものに他なりません。
彼らボカロPは、売れてから事務所やレーベルに所属することもありますが、基本的にはフリーランスで「DAWとインターネットメディアを駆使して、制作から配信まで全て自己完結」というスタイルで活動していて「ライヴは一切やらない」というスタンスの人も多いです。
インターネットによる世界のフラット化が、そういう活動スタイルでの成功を可能にしたということですが、その進化と波及は驚くほど速く、ここ10年くらいの間に商業音楽の業界構造を大きく改変しています。
日本の商業音楽の現状をザックリ言うと、下のような図式が出来上がりつつあります。
動画サイトで人気が出る
↓
TVが取り上げる
↓
一般層まで浸透して巨大ヒットになる
もっと環境整備が進めば、映画やアニメなどの映像作品も同じ状況になるかもしれないし、動画サイトが完全にTVを食ってしまうのも遠い将来の話ではないのかもしれません。
インターネットの功罪
インターネットの普及によって情報や発信手段が一般に解放されたのは素晴らしい事だと思いますが、物事には必ずデメリットもあるし、新たな落差も生じて来ているように思います。
まず、インターネットの情報は無選別・無秩序にアップされてくるので、いくら大量に情報があっても、それらを選別する基礎知識や検索スキルが無いと、逆に混乱してしまいますよね。
発信に関しても、個人の知識レベルや持っている機材で大きな差が生じてしまうし、知識や機材が無い人は業者依頼したりしてコストが高くなったり、細かいところが思い通りにならなかったり、という事になりがちです。
そして、このあたりも世代間のギャップが大きい部分ではないでしょうか。
若い世代ほどITリテラシーは高くなる傾向はハッキリしていて、若い世代はどんどん情報収集・発信のスキルを向上させていきます。
今は高齢者やアナログ人間にとっては歴史上類を見ない受難の時代なのかもしれません。
利益や人材の流動化
インターネットメディアの功罪ということだと、フラメンコ含めた芸術・芸能ジャンルにおいて、とくにコロナ禍以降に一気に顕在化してきた問題があります。
元々インターネットはオープンなメディアであり、無償提供・共有・拡散というのが基本になっているため収益化が難しく、プロアーティストは今までのようなビジネスがやりにくくなってきている、という現実です。
今はフラメンコに限らず、芸術芸能分野の収益構造と、それに関わる人の在り方が急激に変化・再編されている最中であり、アマチュアの可能性が大きく開かれて影響力が増す一方で、プロは利益の長期継続が難しくなるという「総セミプロ化」のような現象が粛々と進行しているように見えます。
一般の音楽業界では、かなり以前から(一部除いて)CDの売上中心のビジネスモデルは崩壊していて、ライブ中心の収益構造にシフトしてきましたが、現在はコロナ禍でそれも封じられて、更なる変革を迫られています。
前世紀までの「巨大プロモーターや有力事務所に所属して、テレビなどで煽って大量に売る」というやりかたは徐々に難しくなり、アーティストも個人個人で自立して発信活動をしながら複数の収入源を確保していく、という傾向はハッキリしてきていますよね。
芸術・芸能ジャンルでは、これからインターネットメディアを中心に新しいビジネスモデルがどんどん出て来て、淘汰・集約されていく事が予想されます。
このように、インターネットによるフラット化も良い面ばかりではないと思いますが、この大きな流れは誰にも止められないと思うし、今後、音楽・芸術の世界は徐々にプロ・アマチュアの垣根が無くなって流動化していくのではないでしょうか。
フラメンコ業界への影響
「インターネットの影響」というテーマについて全体的な話が長くなりましたが、後半はフラメンコ業界に対する影響と今後の予想など、自分の考えを述べたいと思います。
教室運営やライブの変化
日本のフラメンコの業界構造を考えると、教室運営(圧倒的に踊りが中心)と教室発表会含むライブ活動、というのが最も大きな柱であり、その事自体はそう簡単に変わらないと思いますが、インターネットの影響は徐々に進行していて、今回のコロナ禍をきっかけに一大転換期を迎える可能性はあります。
現状を見る限り、コロナが収束したとしても世の中が完全に元通りになるのか?は不透明ですよね。
今までは、教室もライブも、一箇所になるべく大人数を集めてやるのが一番効率的に収益化できましたが、今後はそういうビジネスはやりにくくなるのか、やはり収益性重視ということで、そこに戻っていくのか?は現時点ではちょっと予測が難しいです。
一つ言えるのは、今後もインターネットメディアが力を増していくのは確実で、それをどう収益に繋げていくのか?というのは大きなテーマだと思います。
また、収益は度外視してアマチュア活動に徹する場合でも、インターネットメディアを活用できる度合いによって、選択肢や発信力に大きな差が生まれるでしょう。
インターネットメディアの活用法
では、具体的にどのような形でインターネットメディアを活用していったら良いのか考えてみましょう。メディアの種別ごとにみていきます。
動画サイト
まずは、最も影響力が大きいと思われるYouTubeをはじめとした動画サイトについてです。
動画サイトは老舗のYouTubeをはじめ、ニコニコ動画、TikTok、さらにはSNSと一体になったWatch(Facebook)、IGTV(インスタグラム)などのサービスもあり、それぞれ特徴があります。
自分も実地で色々実験中で、動画サイトごとの細かいことは稿を改めることにしますが、今回は全体的な話をします。
学習ツールとしての動画サイト
YouTubeをはじめとしたインターネットメディアは、あらゆる学問や芸術の学習効率を飛躍的に向上させました。
フラメンコにおいても、YouTubeをはじめとした動画サイトは今や学習するのにも無くてはならないツールです。
動画サイト内でアーティスト名や形式名で検索をかければ、たくさんの動画が出てくるので、非常に役に立ちますよね。
アーティスト本人がアップしているものもあって、そこから直接コンタクトをとることも可能な時代です。
自分などは、そういう環境が想像もつかなかった時代からギターやフラメンコをやっているので、その威力の凄さをリアルタイムで体験していますが、人類にとって産業革命以降最大の変化ではないか?と感じています。
自分がフラメンコギターを始めた頃(1990年代前半)は、まだDVDすら普及しておらず、えらく画質の悪いVHSビデオを一時停止してギタリストの手を確認したりして四苦八苦してコピーしていたし、そもそも映像化されているコンテンツの数が今と比べると極端に少なく、学習効率は劣悪なものでした。
人に習おうにも、当時の日本では自分が弾きたかったようなものを教えてくれる人はいなかったので、スペインまで行くしか習得の方法が無かったのです。
それに比べたら今はYouTubeやGoogle検索、Google翻訳などを組み合わせることで、広範囲な情報を自宅から無料で見ることが出来ますよね。
更に、コロナ禍以降は配信ライブやオンラインレッスンが急激に拡充されていて、スペインまで行かずとも本場のライブやレッスンを体験出来るようになってきました。
画面越しのやりとりだけではカバーしきれない部分は当然ありますが、それでも10年、20年前から考えると信じられないような状況になってきていて、今の若い世代は自分達が10年以上かけて身につけた事を、ごく短期間でマスターできる環境にあると思います。
今後はさらに、動画サイトをどれくらい活用できるか?で学習効率が全く違ってくるでしょう。
動画サイトでの発信
自分から発信する場合も、動画サイトは必須のツールです。
動画のアカウントにメールアドレスを登録しておけば、直接コンタクトをとってくる人もいて、新たな仕事に繋がったりもします。
ただ、それなりのクオリティーの動画を制作し続けるのは大変なことだし、YouTubeなどの動画チャンネルを育てて閲覧者を増やしていくのも、かなりの時間と根気がいる事である、ということは自分も痛感しています。
とくに人が集まりにくいニッチなジャンルでは「全く労力に見合わない」ということで辞めてしまう人が大半、という世界でもありますので、再正数・フォロワー数などをあまり気にせずに楽しみながら続ける、というスタンスも重要に思います。
配信ライブ
配信ライブは、コロナ禍以降に急激にクローズアップされてきたチャンネルで、従来の会場に人を集めて行うリアルのライブと、YouTube動画などの録画コンテンツとの中間的なイメージです。
ライブ動画配信サービスは各動画サイトで独自のサービスが提供されているので、それを利用するのが手軽で良いでしょう。
スペインでも配信ライブは急激に拡充されていて、現地に行かなくてもリアルタイムで本場のフラメンコのライブが見られる、というのは凄いことですよね。
今後、5Gのモバイルネット環境が整備されてくれば、配信ライブはさらに可能性を増す分野だと思いますが、現状はまだまだ問題も多いという印象です。
まず、機材を揃えるのが個人ではなかなか大変です。資金、知識の両方が要求されますので。
スマホのみでも不可能では無いですが、現状ではちゃんとした機材でやった場合に比べて、画質と音質にかなりの違いが出てしまいます。
また、環境によっては回線速度や機材スペックが追い付かずにコマ落ちや音飛びが頻発するし、TV中継並みのクオリティーになるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。
収益化に関しても、単価を上げにくいのはある程度仕方ないとして、決済システムの整備が追い付いていません。
ライブ配信は、まだ走り始めたばかりの分野なのでフロンティア的な楽しさはありますよね。今後に期待したいです。
オンラインレッスン
コロナ禍を契機として、フラメンコ業界でもオンラインレッスンが一般化してきました。自分もコロナ禍が本格化してきた2020年4月よりオンラインレッスンを始めています。
オンラインレッスンの利点は、教える側も習う側もインターネット環境さえあればどこでもレッスンを行うことが可能、ということに尽きます。
教える側は世界中から集客できるようになるし、習う側も一気に選択肢が広がるでしょう。本場スペインのレッスンをリモートで受けることも可能な時代です。
オンラインのデメリットは、音質が悪かったり、カメラアングルに制約があったり、環境によって音や映像の遅れが酷かったりして、対面レッスンに比べると、きめ細かい指導が出来ない点でしょうか。
このあたりの事は、ある程度割り切りも必要で、オンラインではその人の環境で出来る範囲のことだけやる、という感じになりますよね。
オンラインレッスンで使うソフトや機材
オンラインレッスンは仕組みとしては配信ライブに似ていますが、双方向通信が基本なので使用するアプリや機材が異なってきます。
オンラインレッスンでは、レッスンする側と受ける側で同じアプリを使う必要がありますが、良く使用されるのが、ZOOM・Skype・LINEビデオ通話の3つです。ZOOMであればグループレッスンも比較的スムーズかと。
次に使用する機材ですが、スマートフォンやタブレットのみでも最低限のレッスンは可能ですが、その場合は、かなりの制約を伴います。
画質に関しては、あまり高画質にすると逆に回線速度が追い付かなかったりするので、そこそこで良く、今のスマートフォンのカメラ画質なら十分です。
デスクトップPCの場合はWebカメラなどの外部カメラを接続することになりますが、Webカメラの場合は画質がピンキリなので、なるべく良いものを選びましょう。
むしろ問題は音質のほうで、スマートフォンやWebカメラの内蔵マイクを使うと、音質が悪くて細かいニュアンスが全く聴きとれなくなります。
集音はオーディオインターフェースと楽器用のマイクを使うのがベストですが、オーディオインターフェースが使えない環境の場合、スマホやタブレットに直結できる高音質なマイクもありますので、そういうものを使いましょう。
音を受ける側も、スマホやタブレットの内臓スピーカーだと音質が酷いので、せめて音楽用のイヤホンを繋ぐようにしましょう。
踊りのオンラインレッスン
踊りのオンラインレッスンはスタジオにカメラとPCを設置してやることになると思いますが、ギター・歌のレッスンに比べると音質よりもカメラアングルを重視したほうが良さそうです。
そして、踊りながら自分の声を拾うために、ワイヤレス(Bluetooth等)のヘッドセットやイヤホンマイクを使用するのが、モニターも同時に出来てベストではないでしょうか。
――オンラインレッスンはコロナ禍という機会があって、その便利さを認識する人が増えていますが、今後、5Gなどの環境も整備が進むだろうし、コロナ収束後も対面レッスンとは住み分けしながら伸びていくカテゴリーだと思います。
ブログやホームページ
ブログやホームページという形態は、インターネットの世界ではもはや古典的なものですが、個人が自分のやりたいことを自由に発信するという意味では、まだまだ重要なチャンネルです。
今はSNSなどでも近い事が出来たりもしますが、SNSはフォロワーに対して一律に配信されるシステムが主流なので、投稿頻度・投稿内容・文章の長さによっては読みたくない人もいたりして、気を使うことも多いですよね。
それに対して、自分のブログなら読みたい人だけがアクセスしてくるので、長文も掲載しやすいし、より深く自分の考えを伝える事ができるので、コアなファンを作りやすいと思います。
また、そうやって文章コンテンツを増やすことでGoogleなどの検索エンジンからのアクセスを期待できる、というのも強みです。
ブログ&ホームページの欠点としては、それ単体だとSEO(検索エンジンへの最適化)や文章投稿を相当頑張らないと、人を集めるのは至難ということです。
実際にやってみると分かると思いますが、最初は本当にビックリするくらい人が来ないですから。
SNS
Twitter、Facebook、インスタグラムなどのSNS(ソーシャルネットサービス)は今や基本的な社会インフラとなっていますが、一言でSNSと言っても捉え方によっては、かなり広範囲なものです。
YouTubeやニコニコ動画やTikTokは動画メインのSNS、Line等はメッセンジャー機能がメインのSNSと捉えることもできるし、アメブロ・はてなブログなどのブログサービスにもSNS要素があったりします。
一方、TwitterやFacebookなどの主流SNSも動画配信やメッセンジャーの機能を備えていたり、ブログのかわりに使う人も多いですよね。
このように、各種WEBサービスが多機能化することでSNSの定義は曖昧なものになってきていますが、ここではTwitter・Facebook・インスタグラムといった主流SNSを想定してお話します。
SNSの特徴は、情報共有と拡散ということに優れますが、個々の投稿は流し読みされがちで、余程興味がある内容でないと深く読まれないし、長文や頻繁な営業行為は敬遠される、という傾向はあると思います。
自分のコンテンツのPRやライブの告知などにSNSを使っている人は多いと思いますが、「いいね!」などの数で世間の反応の良し悪しをリアルタイムで推測出来るのがSNSの最大のメリットではないでしょうか。
SNSの欠点としては、投稿がすぐ流れてしまって数日もすると読まれなくなるという賞味期限の短さと、長文で頑張っても検索エンジンからの評価には繋がりにくいということです。
動画サイト、SNS、ブログ&ホームページにはそれぞれ得手不得手があるので、組み合わせて使っていくのが良いのではないでしょうか。
ニッチジャンルでの収益化と問題点
動画サイト、ホームページ、ブログ、SNSなどのインターネットメディアの活用法に関して、自分の思うところを書きましたが「大変なわりに、ほとんどお金にならないんでしょ?」というのは大きな問題ですよね。
収益化に関しても少し考えてみましょう。
インターネットメディアの収益化は、例えばユーチューバーなどが職業として成り立つように、現在用意されている広告などのシステムで大きな利益を生み出すことも可能です。
しかし「フラメンコなどのニッチなジャンルで」となると広告収入だけでまともな収益にするのは至難ではないか?というのが自分自身で取り組んできた実感です。
YouTubeやGoogleアドセンスなどの広告は、単価が非常に安いため、動画なら月間で百万回単位の再生、ブログでも月間で百万単位のPVが無いと、とてもではないけれど普通の労働と比べられるような収益にはならないのです。
そして、現実問題として収益も無いところに膨大な時間と労力をかけ続けるのは難しい事で、そういう「制作の労力に対して、作り手の直接利益が少なすぎる」ということが、フラメンコなどのニッチジャンルにおけるインターネットメディア戦略最大の問題点ではないでしょうか。
自分が思うに、ニッチジャンルのインターネット戦略としては、最初から大量のアクセスによる収益を狙っても上手く行かないと思うので、まずは1日1人でも地道にファンを増やして、教室なりライブなりに来てくれるコミュニティを作っていく事(収益化は教室やライブで行う)が重要だと考えます。
このあたりの事は、このブログ全体の大きなテーマでもあり、自分自身も試行錯誤している最中なのですが、「常にアンテナを張り巡らせて最新の情報をキャッチしながら色んな事にチャレンジしていく」という事を辞めてしまったら未来は無いのだと思います。
――今回はフラメンコという事からは脱線も多くなりましたが、インターネットという例を通して「情報の重要性」という事が伝わったでしょうか?
そして、現在はインターネットの力によってスペインと日本、また個人の環境の差などに起因する情報落差は格段に小さくなって来ていますし、今後も情報落差はどんどん小さくなって行くのが世界的な流れでしょう。
これから更にインターネットメディアが力をつけていくのは確実と思われるので、上手く活用して学習や発信に役立てていきたいものです。
次回からは、フラメンコの業界構造や、その中で個人がフラメンコ(とくにギター)に取り組んでいく方法論など、よりコアな話題に入っていきたいと思います!
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