ブレリアPart11(Buleria11)【YouTubeファルセータ動画39】

ブレリアPart11 動画
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2か月半ぶりのファルセータ動画をアップいたします。

形式は今回もブレリアで、自作ファルセータ1つとスペインでパコ・クルスに教わったファルセータを1つ弾いています。

ブレリア形式解説

ブレリア(Buleria)【フラメンコ音楽論12】
フラメンコ音楽論第12回はブレリアです。ブレリアは12拍子系の中でも最も自由度が高く理論化は至難ですが、コンパス(リズム)やコードワークの解析に挑戦しました。

ブレリア3連発!

ここ最近、ブレリアのファルセータ動画が3回連続していますが、自分の手持ちファルセータ数の関係からそうなっています。

手持ちファルセータ数を数えてみたら、メジャーキーやマイナーキーのものを入れると全体の1/3くらいがブレリアのファルセータで占められている感じでした。

次点はタンゴ、アレグリアス、ソレア・ポル・ブレリアあたりですが、ブレリアはそれらと比べても2倍以上の量があって、ぶっちぎりのトップです。

ブレリアはフラメンコの基本的な形式ですが、最もフラメンコの音楽的な特徴が出る形式でもあり、ブレリアをどれだけ自在に弾けるか?というのはフラメンコギタリストとしての力量のバロメーターでもあると思います。

そういうわけで、ファルセータ動画もブレリア比率がかなり高くなっています。

では、今回演奏している2つのファルセータを個別に解説しますが、今回は2つともノーマルなポルメディオ(Aスパニッシュ調)です。

1つ目のファルセータ【自作】

1つ目のファルセータは2005年頃に自作したもので、自分がやっていたフラメンコポップグループ、Galeria RosadaのCDに収録されている「Clear Blue」という曲のイントロで弾いているものです。

「Clear Blue」は実験的なボーカル曲として作りましたが、ポップなボーカルラインと、複雑なコンパスの両立ということを狙っていったもので、ボーカリスト殺しの曲でした。

以前このブログで、「Clear Blue」のインストバージョンを公開したこともあります。

今回演奏のファルセータは、イントロで使用している曲の看板的なもので、歌詞か出来てから、そのイメージに合わせて作りました。

このファルセータは2拍×3で6拍とするフレージングを多用していて、5コンパス目・6コンパス目のアルペジオ以外は、ほぼ2拍×3のフレージングです。

ですので、コンパスカウントでいうところの2拍目・4拍目・8拍目・10拍目などがフレーズやコードの変わり目になる場合もあって、3拍子でとっていると少しとりにくいかもしれません。

リズム的に引っ掛かりができて面白くなるので、自分はこういう作り方は好きです。

ブレリアのコンパスのとりかたはこちらの記事も参考にして下さい。

コード進行的には、5コンパス目・6コンパス目のアルペジオのところでGm7→Am7→Fm7→Gm7という転調絡みの平行移動が入るくらいで、他はシンプルです。

ファルセータ間のブリッジのコードについて

1つ目のファルセータが終わった後のブリッジ部分で、Gsus4(♯5)というコードが出てきますが、これは作曲の意図としてはE♭6(Cmでも良いですが)の転回形で、一瞬、4度上のDスパニッシュ調へ転調しています。

ちなみに、ポルメディオ(Aスパニッシュ)の時にE♭コードが出て来るのは、ビセンテ・アミーゴがエル・ペレの伴奏をやっていた頃から好んで使っていた転調で、現代フラメンコのスタンダード的な展開です。

このポルメディオ中のE♭コードは以下の可能性が考えられます。

  • 4度上に転調したDスパニッシュ調の♭ⅡM7
  • 次のコードがDmだった場合、Dmコードを修飾するナポリコード(半音上のメジャー7thコード)
  • A7の裏コードであるE♭7

これらは本質的には同じような働きかたをするので、どれで解釈しても良いと思いますが、Dスパニッシュ調への転調と考えれば、E♭以外のコードもカバーできるし(例えばCmならDスパニッシュ調の♭Ⅶm)、次のコードに何が来たとしても説明が付きやすいです。

2つ目のファルセータ【パコ・クルス】

2つ目のファルセータはスペイン留学時にパコ・クルスに教わったものです。

前回のブレリアPart10でもパコ・クルスのファルセータを弾いていますが、彼にはブレリアだけで30個以上のファルセータを教わっていて、自分にとってかなり大きな影響があるギタリストだと思います。

全部で9コンパス半とかなり長めのファルセータですが、大まかに分けると前半5コンパス半と後半4コンパスになります。

頭から順を追って解説していきます。

まず、最初の入りが10拍目から入っていて、コードもそこから変わっていますが、これも1つ目のファルセータで解説した2拍×3のとりかたで、2拍先行のアウフタクトです。

5コンパス目からの1コンパス半は12拍ではなく、メディオコンパスでとっています。

後半の入り口(ここまで6コンパス半ですが便宜上7コンパス目とします)でE♭コードが出て来て転調になっていますが、このE♭コードは前述の通り4度上のスパニッシュ調(Dスパニッシュ調)に転調する現代フラメンコ常套句です。

そして9コンパス目でまたオーギュメント系の謎コードが出てきます。

そのままとるとCaugですが、C7(♭13)かもしれないし、他のコードの転回形かも知れないし、他のスパニッシュ調(Eとか)に転調していて、それに属するフラメンコテンションコードかもしれません。

感覚のみで作ったのかもしれないですが、感覚的にカッコいいものは、なにがしかの理論的解釈ができる場合がほとんどだし、気になるところです。

このあたり、またそのうち「フラメンコ音楽論」でちゃんと書こうと思いますが、自分の中でまだ完全には解明出来ていない部分の一つです。

そして、ラストのレマーテは、9拍目の表で終わってゴルペ2発と、やや変則的ですがカッコいいですよねー。

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