今回のファルセータ動画はタンゴPart4で、自作曲「Tango de Azul」より、2つの自作ファルセータを演奏します。
タンゴ形式解説
「Tango de Azul」からの抜粋は3回目
タンゴPart2、タンゴPart3に続き「Tango de Azul」からの抜粋はこれで3回目、ファルセータ数にすると、今回のものを入れて合計で8つのファルセータを演奏しました。
これで「Tango de Azul」で弾いているファルセータは、ほぼ全て演奏動画化したことになりますね!
元ネタの「Tango de Azul」
タンゴPart2
タンゴPart3
今回演奏する2つのファルセータは「Tango de Azul」の中盤で弾いているものです。
今回弾いているもののうち、2つ目のファルセータはコード進行やフレージングなど、曲中の他のファルセータとの共通点も多いですが、1つ目のファルセータは他と少しカラーが異なります。
敢えて雰囲気の違うファルセータを曲のド真ん中に持ってきたのは、「ずっと同じ感じだと飽きるかも?」と思い、場面転換の効果を狙ったものです。
以下、個別に解説します。
1つ目のファルセータ【オリジナル】
1つ目のファルセータは「Tango de Azul」の曲中では、1つだけ他と雰囲気が違うファルセータです。
曲中の他のファルセータはテンションコードが多かったり、調性もDマイナーキー/Aマイナーキー寄りだったり、ノリやフレージングもソフトな感じのルンバタンゴ寄りですが、このファルセータは伝統的なフラメンコ色の濃いゴリゴリしたフレージングで、使用コードもリズム感覚もオーソドックスなタンゴのフィーリングなんですよね。
ちなみに、作った時期も他と異なります。
「Tango de Azul」は2008年頃に作った曲で、曲中で使っているファルセータも2007年から2008年頃に作ったものが多いですが、これだけはもっと以前の2002年くらいに作ったものです。
作った時は意識していなかったんですが、改めて聴いてみると、なんかトマティートぽいですよね。
とくに、最初のA(onB♭)のアルペジオとか、その後のG7から入る5度進行とか。
なんというかフラメンコギターの超王道的な展開になっていて、踊り伴奏(ティエントなどでもタンゴのファルセータはよく使う)や歌伴奏で使っても凄くウケが良いので、ついつい使用頻度が高くなりがちなものです。
そんな理由から、自分の中では十八番のファルセータの一つであり、「どこかにねじ込んで録音として残したい」という気持ちがあって「Tango de Azul」の場面転換用に使ったという事情がありました。
2つ目のファルセータ【オリジナル】
2つ目のファルセータは、原曲「Tango de Azul」の中で、上記の1つ目のファルセータで場面転換されてオーソドックスなタンゴな雰囲気になっているのを、元のマイナールンバタンゴな雰囲気に戻すような役割のセクションです。
コード進行的なポイントとしては、冒頭のGm7のところで経過音に♭5を使っていてGハーフディミニッシュぽくなるところと、3コンパス目でB♭の代わりにB♭m7を使ってるところでしょうか。
これらは通常のダイアトニックコードにAスパニッシュスケールに含まれるC♯(=D♭)音をぶつけていて、自分は「フラメンコテンション」と呼んでいるものです。
フラメンコテンションについては「フラメンコ音楽論」で解説していますので、興味あったら読んでみてください。
テクニック的には5コンパス目からのピカードがクセ者ですが、こういう部分は、ゆっくりのテンポから少しずつテンポアップさせるのが結局は一番近道です。
不安定さを感じたら無理に弾かずに、少しテンポを落として、余分な力を抜いて練習、というのが基本。
ファルセータの最後はポルメディオではなくDマイナーキーで終わっていて、「Tango de Azul」の原曲では、この後Dマイナーキーのまま「タンゴPart3」で弾いているルンバタンゴのセクションに繋げていますが、今回の演奏では少しマルカールしてポルメディオ(Aスパニッシュ調)に戻して締めくくっています。
フラメンコギターの演奏では、ファルセータや歌が転調して終わった後、マルカールで元のキーに戻すのは非常に良く出てくる手法です。
このファルセータの場合、最後のDマイナーキーに持っていっている部分は、FM7→Em7(♭5)→Ddim7(E7代理)→A7→Dm(onF)という進行ですが、ここをC7→B♭→A7などとしてポルメディオ終止に変えてしまうと、なんともありきたりな感じになってしまうんですよね。
ですので、このファルセータを伴奏等で使う場合も、最後は一旦Dマイナーに解決させた後、改めてB♭→Aなどのマルカールなりレマーテなり繋ぎフレーズなりを入れて元のキー(ポルメディオ)に戻すようにしたほうが良いと思います。
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